孫の代まで“1050万円”の負担が続く? 新制度「相続土地国庫帰属制度」で“売れない土地”を手放すべき2つのケース
土地を手放せない限り、永遠に続く「5つの問題」
では実際、「売れない土地」があることで、どのような問題が起こり得るのでしょうか。
松尾さんによると、「売れない土地を所有しているだけで、少なくとも『相続税や固定資産税などの税負担』『維持管理の手間と費用の負担』『崖崩れや家事などによる第三者への損害賠償』『詐欺の対象となりやすい』『“負動産”を相続人同士で押しつけ合い、争いになる』という5つの問題を抱えることになり、手放せない限り永遠に続きます」とのこと。
金銭負担についても、「1年間、1代限りで見ると、大した金額ではないかもしれませんが、長い視点で見ると、『使わないのに負担が重い』こともある」といいます。そこで、松尾さんによる、“大きな金銭負担が孫の代まで続く”2つのケース例をご紹介しましょう。
【ケース例1:子が使う予定がない“売れない山林”…親から孫の代まで、合計150万円の負担】
・前提条件
固定資産税…1万円/年
相続税評価額…100万円
相続税率…30%
・親の代…親70歳。80歳のとき相続発生(10年保有で、固定資産税は10万円)
・子の代…子50歳で相続。80歳で相続発生(計70万円)
→相続税30万円+固定資産税30万円(30年間)
→相続登記報酬10万円
・孫の代…子世代と同じ負担(計70万円)
【ケース例2:子が使う予定がない“売れない別荘地”…親から孫の代まで、合計1050万円の負担】
・前提条件
維持管理費用…7万円/年(固定資産税2万円、別荘地の組合費5万円)
相続税評価額…900万円
相続税率…30%
・親の代…親70歳。80歳のとき相続発生(10年保有で、維持管理費用は70万円)
・子の代…子50歳で相続。80歳で相続発生(計490万円)
→相続税270万円+維持管理費用210万円(30年間)
→相続登記報酬10万円
・孫の代…子の代と同じ負担(計490万円)
とはいえ、現状、同制度については「私には関係ないと思う」と関心が低い人も少なくないようです。それについて、松尾さんは次のようにアドバイスしています。
「確かに、売れない土地は価値がないので、興味も湧かず、『私には関係ない』と考える人がいるのは間違いありません。ただし、どのようなリスクや金銭負担があるかをよく調べずにいる人がいるのも事実です。
自分が当事者のときでも、リスクの他、気付いたら結構なお金が出てしまっていることがあります。また、親世代は、『自分の子にはできるだけ多くの財産を残してあげたい』と相続対策を考えるものですが、売れない土地は対策を講じずに放置している人が多く、意外と大きな出費になっていることに気付いていません。
国庫帰属制度を利用するかどうかは、その土地を所有するリスクと金銭負担がどの程度あるのかを確認した上で、判断しましょう。そして、自分の子が果たして『必要とするのか』も確認しておきたいところです。その土地のことを何も知らない子に管理責任を負わせることになるので、いつ、どのタイミングで処分するのがいいのか、この制度がスタートしたことで、改めて家族で考えるいいきっかけになるのではと期待しています」
(オトナンサー編集部)






私は、このような借金の解決は容易ではないと思います。 これほど高い借金は、まだ生まれていない世代を含め、将来の世代に引き継がれる可能性が高い。 クレイジーだよ、分かってる。