オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いとは 休日出勤で、企業に求められる対応は?

求人欄に掲載している「完全週休2日制」と「週休2日制」は何が違うのでしょうか。専門家に聞きました。

「完全週休2日制」と「週休2日制」、どう違う?
「完全週休2日制」と「週休2日制」、どう違う?

 就職先や転職先を選ぶ際、休日の日数を気にする人もいると思います。多くの企業や団体では求人欄に「完全週休2日制」、もしくは「週休2日制」と記載していますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。また、雇用主が従業員や職員を土日祝日に働かせた際、休日出勤手当を支給しなかったり、代休を取らせなかったりした場合、どうなるのでしょうか。

 休日出勤手当の支給条件などについて、社会保険労務士の木村政美さんに聞きました。

「法定休日」と「所定休日」

Q.「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いについて教えてください。また、法律で定められている休日の日数は。

木村さん「『週休2日制』とは『1カ月の間に、2日休める週が1回以上あること』を、『完全週休2日制』とは『1カ月の間に、毎週必ず2日間の休みがあること』をそれぞれ指します。労働基準法によると、企業や団体が労働者を働かせることができる時間は『原則1日8時間、1週間に40時間以内』と定められているほか、労働者に対して、『毎週少なくとも1日』、あるいは『4週間を通じて4日以上』の休日を与えなければなりません。この休日のことを『法定休日』といいます。

休日とする曜日は企業や団体が独自に決めることができますが、就業規則に記載する必要があります。そのため、企業や団体によっては、土日祝日に休みが取れるとは限らない場合があります。例えば、不動産業のように平日が休日の場合や、サービス業や医療・福祉関係の業種のように休日数だけ決めて、シフト制により、交代で休日を取得する場合などが当てはまります。

仕事を探すときには、休日になる曜日や、祝日が休みになるかどうかについて、事前に求人情報欄などで情報を得たり、面接時に確認したりする必要があります。一方、企業や団体が法定休日以外に指定した休日のことを『所定休日(法定外休日)』といいます。例えば、完全週休2日制の会社の場合、週のうち1日が法定休日で、他の1日は所定休日扱いになります」

Q.では、週休2日制の企業や団体の雇用主が法定休日や所定休日に従業員や職員を働かせた場合、どのように対応しなければならないのでしょうか。

木村さん「企業や団体が従業員や職員を休日に働かせた場合、次の3つのうち、いずれかの処遇をしなければなりません。

(1)振り替え休日扱いにする
振り替え休日とは、休日に出勤した場合、勤務先が事前に休日として指定していた他の労働日に休みを振り替えることをいいます。この場合、振り替えられた日が休日扱いとなるため、休日出勤手当は発生しません。

(2)代休扱いにする
代休とは、休日に出勤した後、その代わりに他の労働日に休みを与えることをいいます。振り替え休日とは違い、事前に休日とする労働日を決めていないのが特徴です。代休の場合は休みを与えることに加えて、さらに休日出勤分の割増賃金部分のみの賃金加算が発生します。

例えば、給料が時給換算で2000円(この金額を基礎部分といいます)、法定休日が日曜日、所定休日が土曜と祝日の場合、日曜出勤は1時間当たり700円(2000円×0.35)、土曜と祝日の出勤は週40時間を超えて働いた時間に対してのみ、同500円(2000円×0.25)の割増賃金が発生します。

(3)振り替え休日や代休扱いにせず、休日出勤手当として支給する
休日出勤手当は、出勤した日が法定休日の場合と所定休日の場合とでは計算方法が異なります。法定休日に働いた場合は、その日のすべての労働時間に対して、『給料を時給換算した金額(給料の基礎部分)×1.35倍』の金額が休日手当として支給されます。一方、所定休日に働いた場合は、1週当たりの労働時間が40時間以内の部分までは基礎部分のみ、1週当たりの労働時間が40時間を超えた部分に対しては、給料の基礎部分×1.25倍が時間外手当として支給されます。

(2)と同様の事例で考えた場合、日曜出勤は1時間当たり2700円(基礎賃金2000円×1.35)、土曜祝日出勤は週40時間までの労働時間に対しては1時間当たり2000円、週40時間以上の労働時間に対しては同2500円(2000円×1.25)になります。この場合、休日出勤したことに対して賃金で精算したことになるので、別の日に代わりの休日を与える必要はありません。

なお、企業や団体が(1)から(3)のいずれの処遇もしなかった場合、労働基準法違反として罰則の対象になる可能性があります」

Q.サービス業や不動産業のように「土日祝日は勤務で平日が休み」という場合、給料は休日出勤手当分も含めた上で支給しなければいけないのでしょうか。

木村さん「先述のように、法律上では、法定休日、および所定休日を何曜日にするかは企業や団体で独自に決めることができます。そのため、勤務体系を『土日祝日勤務、平日休み』にすることは可能です。休日出勤手当はあくまでも、法定休日や所定休日に出勤したことに対して支給される手当なので、この場合、土日祝日は普通の労働日扱いとなり、休日出勤手当は発生しません。

サービス業など、平日に比べて土日祝日が忙しい業種では、平日より、週末や祝日に出勤した方が時給や賃金が高いことがよくありますが、その処遇は法律によるところではなく、企業の判断で決めています」

Q.業種によっては「週6日勤務」の企業や団体もあるようですが、法律的に問題ないのでしょうか。雇用主が従業員を週6日働かせるときの注意点も含めて教えてください。

木村さん「労働基準法で定められている労働時間と休日日数の両方をクリアすれば、法的に週6日勤務は可能です。例えば、日曜日を法定休日にして、月曜日から土曜日までの週6日を合計40時間以内の労働時間で収まるように働かせればよいわけです(労働時間配分の一例:月曜から金曜までは1日7時間・土曜日は5時間など)。

ただし、企業が週6日の勤務体制を取る場合、休日数が少ないという点で従業員がデメリットを感じる可能性があります。そのため、従業員を雇用する際は事前に労働条件の説明を通じて、勤務体制について納得してもらうことが必要です。また、年次有給休暇の取得を積極的にすすめるなど、公休以外の休日が取りやすい環境を整えることも大切でしょう」

Q.企業や団体の中には、採用時、「休日出勤時は休日出勤手当を支給する」「休日出勤後は代休の取得が可能」と伝えておきながら、実際には休日出勤手当を支給しなかったり、代休の取得を認めなかったりするケースもあるようです。このようなトラブルに遭った場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

木村さん「企業や団体が労働者を雇用するときには、労働条件の内容を説明した上で書面を交付し、企業(または団体)と労働者の双方が納得した上で労働契約を結びます。契約時の労働条件が履行されない場合、労働者は企業や団体に対して、契約通りの労働条件で働けるように求めることができ、場合によっては即座に会社や団体を辞めることもできます。

先述のように、企業や団体が従業員や職員を休日出勤させたにもかかわらず、休日出勤手当を支給しなかったり、振り替え休日や代休の取得をさせなかったりした場合、労働基準法違反になる可能性があります。例えば、休日出勤をした従業員や職員がこうした扱いを受けた場合、勤務先(直属の上司や総務などの労務担当部署、労働組合など)に対して、休日出勤の扱いに関する確認と処遇の改善を求めます。

そこで、企業や団体が対処をしなかった場合、企業や団体を所轄する労働基準監督署や総合労働相談センターなどへ相談することになります。労働基準監督署は相談を受け、必要と認めた場合、指導勧告や調査を行います。また、事前対策として、給料明細書の内容は毎月、その都度確認し、特に時間外手当や休日手当に関しては、手当の金額などの疑問点があれば、すぐに上司や担当部署に確認するようにしましょう」

(オトナンサー編集部)

木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

コメント