「休肝日」はどれくらいの頻度が適切か そもそも効果は期待できる?
お酒の飲み過ぎを防ごうと「休肝日」を設けている人がいます。飲酒をセーブして、肝臓を休める休肝日はどれくらいの日数・頻度が適切なのでしょうか。
東京都などに発令されていた緊急事態宣言が解除され、10月1日から、飲食店での酒類の提供が条件付きで解禁されました。お酒好きの人には朗報かもしれませんが、飲み過ぎには注意が必要で、「休肝日」を設けようと思っている人もいるでしょう。飲酒をセーブして、肝臓を休める休肝日はどれくらいの日数・頻度が適切なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
休肝日より酒量の調整を
Q.まず、アルコールの飲み過ぎによって発症し得る病気や症状について教えてください。
市原さん「アルコールの飲み過ぎによって発症し得る病気には、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんといった肝臓の病気のほか、咽頭がん、喉頭がん、食道がんなどのがんや膵炎(すいえん)、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)、認知症など、さまざまな疾患があります。特に肝臓の病気は症状が出ないことが多いため、お酒をよく飲む人は定期的に、肝臓の機能を確認することをおすすめします」
Q.休肝日を設けた方がよい理由や根拠は何でしょうか。
市原さん「『週に1~2日は休肝日を設けた方がよい』とよく言われますが、これには医学的根拠がありません。厚生労働省が推進する国民健康づくり運動『健康日本21』によると、『節度ある適度な飲酒』は、純アルコールにして1日約20グラムとされています。これはビール500ミリリットル、日本酒1合に相当します。
この程度の飲酒であれば、健康を害することが少ないと考えられていますが、これ以上の量を毎日摂取する人はアルコールの過剰摂取にあたるため、休肝日によって、アルコールの総量を減らす意味合いがあるものと考えられます」
Q.では、休肝日に効果はないということでしょうか。
市原さん「毎日、大量に飲酒している人が週に1〜2日の休肝日を設けたとしても、それで飲酒の悪影響を解消できるという効果は休肝日にはありません。肝臓への負担はアルコールの摂取量に比例します。大量に飲酒する人が休肝日をつくっても、肝臓への負担はさほど変わりません。あくまで、適量の飲酒を心掛け、適量を超えてしまった日があれば、休肝日を設けて、アルコールの総量を調整するというのが理想です。
例えば、平日は30グラム(純アルコール量)程度を飲み、週末2日間を休肝日とすれば、1週間のアルコール総量としては同じです。個人の好みや習慣にもよりますが、毎日、適量の飲酒を守れている人であれば、あえて休肝日を設ける必要はありません」
Q.ダメージを受けている肝臓をいたわるには、どのような方法がありますか。
市原さん「ビタミンB群は肝機能を改善させるので、ビタミンB群を多く含む食べ物を積極的に摂取しましょう。お酒のつまみに適したものの中では、枝豆、冷ややっこ、レバニラ炒め、カツオやマグロの刺し身などがビタミンB群を多く含みます。また、飲酒によって脂肪肝になっている場合、過剰なカロリー摂取が続くと脂肪肝が悪化し、肝臓に負担をかけることになります。適切なカロリーコントロールを続けることも大切です」
(オトナンサー編集部)
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