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奈緒、中村アン、瀧内公美…ドラマに欠かせない「助演女優」たちの魅力

奈緒さん、中村アンさん、瀧内公美さん…「助演」の立ち位置で活躍し続ける彼女たちの魅力について、専門家に聞きました。

中村アンさん、高橋メアリージュンさん(2019年6月、時事通信フォト)
中村アンさん、高橋メアリージュンさん(2019年6月、時事通信フォト)

 主人公を支える役、あるいは、物語のキーパーソンとしてドラマの脇を固める助演女優の活躍が目立っています。奈緒さん、中村アンさん、瀧内公美さん…限られた出番ながらも存在感を放ち、数多くのドラマで顔を見る彼女たちが重宝される理由や作中での役割、もたらされる効果とはどのようなものでしょうか。

 彼女たちが「助演」という立ち位置で活躍を続ける理由について、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんに聞きました。

器用、かつ助演の立ち回りがたくみ

 関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「姉ちゃんの恋人」(毎週火曜 後9:00)に、有村架純さん演じる主人公の幼なじみ役として出演している奈緒さん。前クールの「竜の道 二つの顔の復讐者」(同)で見せた冷静、かつ愛想のない役どころとは対照的に、主人公に寄り添う良き相談相手として愛らしい表情を見せるキャラクターを演じています。

 奈緒さんはNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年度前期)で、永野芽郁さん演じるヒロインの親友役が注目を集め、以降、多数の作品に出演。2019年に放送された「あなたの番です」(日本テレビ系)では、猟奇的な怪演ぶりが話題となり、ザテレビジョンドラマアカデミー賞で助演女優賞を受賞する活躍を見せました。

 勢いそのままに、2020年も多くの作品に出演した奈緒さんについて、田幸さんは「器用、かつ助演というポジションでの立ち回りがうまい女優」と評します。

「『あなたの番です』での怪演や『竜の道 二つの顔の復讐者』での無表情キャラなど、振り切れた演技が話題になりがちですが、彼女の魅力が発揮されるのはむしろ、主人公を引き立てたり、際立たせたりすることのうまさにあると感じます。『姉ちゃんの恋人』『半分、青い。』のようにヒロインの横に奈緒さんがいることによって、ヒロインの人柄が見えてくるような存在。作品ごとに別人のような印象を与えてくれる女優です」(田幸さん)

 TBS系連続ドラマ「危険なビーナス」(毎週火曜 後9:00)には、妻夫木聡さん演じる主人公が院長代理を務める動物病院の看護師・蔭山元美役で中村アンさんが出演しています。

 モデル、タレントとしてブレークした中村さんは2015年ごろから、女優業を本格的に開始。2015年10月期の「5→9~私に恋したお坊さん~」(フジテレビ系)出演以降、10クール連続でドラマ出演、2018年4月期の「ラブリラン」(日本テレビ系)でドラマ初主演を果たすなど女優としてのキャリアを着実に重ねてきました。

 中村さんについて、田幸さんは「癖がなく、どの作品にもなじむ華やかな存在」と評します。

「『SUITS/スーツ』『集団左遷!』のようなお仕事モノの作品の中で才色兼備の役回りが多いように感じます。モデル出身ということもあり、どんな衣装でも抜群の着こなしを見せてくれますし、菜々緒さんほど悪女のイメージもなく、ちょうどいい存在なのです。CMやSNSで時折見せる美ボディーを武器に、今後はアクション系の演技も見てみたいと期待しています」

 テレビ東京系連続ドラマ「共演NG」(毎週月曜 後10:00)での斎藤工さんとのコンビ、TBS系連続ドラマ「恋する母たち」(毎週金曜 後10:00)で演じる嫌な女ぶりなど作中での存在感やその演技が度々注目を集めている瀧内公美さん。

 瀧内さんは2017年公開の映画「彼女の人生は間違いじゃない」で主演を務め、全国映連賞女優賞や日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞を受賞。また、2019年公開の主演映画「火口のふたり」では大胆なぬれ場を体当たりで演じ、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を受賞するほどの実力を備えています。

 数々の作品で独特の存在感を見せつける瀧内さんについて、田幸さんは「画面に映ると気になってしまう存在、作品をざわつかせる存在」と評します。

「悪だくみであったり、嫌な女の役が似合う女優です。しかも、その嫌なことを楽しそうに演じている姿が印象的で、他には思い当たらない珍しいタイプの女優。ふてぶてしさや精神のずぶとさをむき出しにできて、なおかつ、愛嬌(あいきょう)がある演技は瀧内さんの大きな魅力ではないでしょうか」

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田幸和歌子(たこう・わかこ)

ライター

1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経て、フリーランスのライターに。Yahoo!公式コメンテーター「エンタメライター」。週刊誌・月刊誌・ウェブ等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)、「KinKiKids おわりなき道」「Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき」(いずれもアールズ出版)など。

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