オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

中国人が奇数ではなく偶数「2」「6」「8」を好む理由

日本人の中には「『4』は死を連想するから縁起が悪い」という人がいますが、中国人にも「縁起がいい」「悪い」数字があり、捉え方が両者で異なる場合があるようです。

「縁起がいい」数字は日中で違う?
「縁起がいい」数字は日中で違う?

 日本人の中には「『4』という数は死につながるから縁起が悪い」というように、数字について「縁起がいい」「悪い」とこだわる人がいます。中国人にとっても「縁起がいい」「悪い」数字がありますが、それらは日本人と中国人で異なる場合があり、その重みも違います。日中の異文化ギャップを数多く取材している筆者が紹介します。

「8」は「発財」「発展」に通じる

 新型コロナウイルスの影響で、「居酒屋に行く機会がほぼなくなった」という人も多いと思いますが、筆者は以前、靴を脱いでげた箱に入れるスタイルの居酒屋に行った際は、なるべく「6」「8」「9」が含まれている番号の所に入れるようにしていました。

 これらの数字が見つからないときには「4」以外の偶数を選びました。なぜかというと、それらが中国では「縁起のいい数字」だからです。

 日本で「縁起のいい数字は?」と聞かれたら、多くの人は「ラッキーセブン」である「7」や、「ナンバーワン」の「1」などをイメージするのではないでしょうか。暗証番号を登録するとき、縁起のいい数字と自分の好きな数字を組み合わせて使うという人もいるでしょう。

 また、結婚式のご祝儀を包む際、日本では「3」万円、「5」万円など、「割り切れない=縁が切れない」という意味で、奇数の金額にする人が多いと思います。

 しかし、中国では奇数よりも偶数が「縁起のいい数字」とされています。また、日本人よりも縁起を担ぐ人が多いようです。中国で最もいい数字といわれているのは「8」。「8(ba)」は「発(fa)」と発音が似ていて、「発財」(財を成す)、「発展」(発展する)などに通じるからといわれています。

「8」は電話番号や自動車のナンバープレートとしても人気が高く、ネットや特別なルートなどを通じてでも入手したいと思う人が多いといわれています。2008年に開催された北京オリンピックも、2008年8月8日午後8時8分に開幕するというこだわりようでした。

「8」と同じくらい縁起のいい数字が「9」です。「9」は奇数ですが、例外的な存在です。日本では「苦」につながるとして敬遠する人が多いかもしれませんが、中国では1桁の数字の中では最大数であり、「9(jiu)」は「久(jiu)」と同じ発音で「永遠」「長寿」につながることから、非常に好まれています。

 また、「取るに足りない」という意味を表す「九牛の一毛(きゅうぎゅうのいちもう)=たくさんの中のごく一部」という中国由来のことわざがあるように、「9」には「たくさんの」という解釈もあります。さらに、旧暦の9月9日は中国で「重陽の節句」という日として重んじられています。

 他に「6(liu)」は「流(liu)」と同じ発音で「六六大順(リウリウダーシュン)」(物事がうまくいく、順調)に通じることからいい数字。これら以外では「2」もいい数字です。「2」は対であり、シンメトリー(左右対称)が好きな中国人にとって好ましいといわれています。

中国でも「4」は「死」を連想

 中国では、結婚式のご祝儀も偶数の金額で包むのが常識です。北京や上海の友人に聞いたところ(個人差がありますし、新郎新婦との関係性によっても金額は異なりますが)、最近では、最低600元(約9000円)からで、段階的に800元、1000元、1200元、1600元、1800元、2000元と上がっていくそうです。

 1400元は偶数ですが、避けるとのことでした。これは「4」が偶数ではあるものの、例外的に縁起の悪い数字とされているからです。

 日本でも、「4」は「死」を連想するからと避ける人がいると思いますが、中国でも「4(si)」は「死」につながり、縁起が悪いとされています。ホテルやマンションで「4階」はあまり好まれません。「4」を使わなければならない場合は、その前に「8」などのいい数字をつけて「84……」という番号に変えてしまうこともあります。

 昨年末、中国・大連のホテルに宿泊した際、これを経験しました。筆者のフロアは6階だったので、別に問題ないはずでしたが、部屋番号は「8605」。同じフロアの部屋はすべて縁起のいい「8」で始まっていたことに偶然、気が付きました。

 興味を持って5階にも降りてみたところ、やはり「85…」で始まる部屋番号です。もう一つ下の4階はあるのだろうかと思って行ってみると、4階自体は存在するものの、スタッフ用の事務室になっていて、客室ではありませんでした。

 日本でも、4階はあっても「404号室」はないというケースは多いと思いますが、中国人のこだわりぶりは日本人以上。もちろん、全ての人が気にするわけではありませんが、筆者の中国人の友人は、日本に住む恋人が「401号室」に住んでいると分かった途端、顔色を変えて「早く引っ越しして!」と叫んだそうです。

(ジャーナリスト 中島恵)

中島恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学留学。中国、香港、韓国など主に東アジアの社会、ビジネス事情などについて執筆している。著書は「なぜ中国人は財布を持たないのか」「日本の『中国人』社会」「中国人は見ている。」(いずれも日本経済新聞出版社)「中国人エリートは日本をめざす」(中央公論新社)「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(プレジデント社)など多数。

コメント