綾野剛&星野源、田中圭&安田顕…春ドラマは「バディーもの」5作、活況の理由
今年の春ドラマは人気俳優たちによる「バディーもの」が5作品と活況です。その理由を専門家が解説します。
各局の冬ドラマが最終回を迎える中、4月クールの春ドラマの情報が続々と解禁されていますが、「半沢直樹」(TBS系)や「ハケンの品格」(日本テレビ系)の続編が話題になる一方、人気イケメン俳優たちによる「バディーもの」の連続ドラマが5作品もそろっています。
バディーものの“活況”について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんに聞きました。
中島健人&平野紫耀は警察学校生
まずは、4月クールのバディードラマを確認します。
■「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系)
Sexy Zoneの中島健人さん、King & Princeの平野紫耀さんのダブル主演作。共に警察学校の学生である頭脳派の本間快(中島さん)と肉体派の一ノ瀬次郎(平野さん)が、なぜか巻き込まれてしまった事件の解決に挑むクライムサスペンス。
■「MIU404」(TBS系)
綾野剛さん、星野源さんのダブル主演作。警視庁の架空の部署“第4機動捜査隊”を舞台に、野生的な刑事・伊吹藍(綾野さん)と理性的な刑事・志摩一未(星野さん)が数々の事件に奮闘する姿を描く一話完結のオリジナルドラマ。
■「らせんの迷宮~DNA科学捜査~」(テレビ東京系)
田中圭さんのゴールデン帯初主演作。変わり者の天才遺伝子科学者・神保仁(田中さん)が、直情型の熱血刑事・安堂源次(安田顕さん)と共に事件を解き明かし、人間の業に迫っていくミステリー。
■「SUITS/スーツ2」(フジテレビ系)
全米大ヒットドラマを原作にしたドラマ「SUITS/スーツ」(2018年)のシリーズ化。主演の織田裕二さん演じる敏腕弁護士・甲斐正午と、Hey! Say! JUMPの中島裕翔さん扮(ふん)する天才的な頭脳を持つ青年・鈴木大輔がタッグを組むリーガルドラマ。
■「竜の道 二つの顔の復讐者」(関西テレビ・フジテレビ系)
双子の兄弟による、養父母を死に追いやった運送会社社長への復讐(ふくしゅう)劇を描くサスペンス。顔も名前も変え、裏社会で生きる主人公・竜一を玉木宏さん、竜一の双子の弟で国土交通省のエリート官僚・竜二を高橋一生さんが演じます。
それぞれ個性の違う2人の登場人物がタッグを組み、事件や問題に挑む展開のバディーものですが、木村さんは「昔からある常套(じょうとう)手段」としつつ、現在は人気の中堅俳優が多いことを背景として、次のように指摘します。
「視聴者の嗜好(しこう)が細分化しているので、2人の俳優を並べた方が手堅い。『未満警察』の場合でも、中島健人さんと平野紫耀さんは共にジャニーズタレントですが、ファン層は一見同じようで全然違います。また、ドラマはキャラクターに共感できることが求められますが、肉体派と頭脳派、あるいは、『SUITS/スーツ』は年齢差がそうですが、対象的なキャラクターによって、そのニーズもカバーしています。
ストーリーとしても、バディー2人分の背景が描けるので、内容の濃いエピソードをたくさん入れることが可能です。出演者にとっても利点があります。SNSの普及で視聴者の声が可視化され、作品を酷評されることもありますが、評価を1人で背負わずに分散できるのです」
さまざまなメリットがあるバディーものですが、課題もあると木村さんはいいます。
「主演クラスの俳優同士の共演は本来、緊張感が売り。バディーものは演技が比較されやすく、俳優同士の『相手に負けないぞ』という姿勢から生まれる、緊張感を楽しむ要素があります。極端な話、仲の悪そうな2人がバディーを組む方が面白みがあり、どこまで2人のライバル関係を演出できるのかが鍵です。
最近では、あだ名で呼び合ったり、番宣出演時に笑い合ったりと俳優同士の仲むつまじい姿をよく見かけます。その意味で、バディーもの本来の緊張感が表現できるのか現状では分かりません。例えば、織田さんは今でもそういう考えをお持ちだと思いますが、(バディーの)中島裕翔さんはだいぶ後輩ですので、きっと本家米国の『SUITS』と緊張感を持って戦っているイメージではないでしょうか」
春のバディードラマの展開が注目されます。
(オトナンサー編集部)
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