走行中の自転車と接触 歩行者でも「賠償責任」問われる“NG行為”とは【弁護士解説】
もし歩行者と自転車の接触事故の際、自転車の運転者が転倒してけがを負ってしまった場合、歩行者側が賠償責任を負う可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

歩道を歩いているとき、前から走ってきた自転車と接触してしまった経験はありませんか。歩行者と自転車の事故では、基本的に自転車側の過失割合が高い傾向にありますが、歩行者側が責任を問われるケースもあります。では、どのようなときに歩行者が賠償責任を負う可能性があるのでしょうか。弁護士の永島徹さんに聞きました。
「歩きスマホ」をしないよう注意
Q.そもそも、歩行者と自転車の事故の場合、過失割合はどうなるのでしょうか。また、どのようなときに歩行者側が賠償責任を問われる可能性があるのでしょうか。
永島さん「過失割合は、事故当時の加害者、被害者の双方の状況によってケースバイケースですが、判例タイムズ社が発行している『別冊判例タイムズ38号』や、財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』などを参考に、類似した内容の過去の事例などを基にして算出されます。
ただし、歩行者と自転車の交通事故であれば、自転車の運転者には前方注視義務や安全速度を順守する義務があるため、自転車の運転者側の過失割合の方が大きいと判断されることが多いと思います。
他方で、急な飛び出しや不意の進路変更、スマホなどを見ながらの通行といった行為が歩行者側に認められる場合、それらの行為が事故の直接的な原因であれば、歩行者側にも相応の過失があると判断されます。その場合、過失相殺が行われ、自転車の運転者側への賠償責任を負う可能性も考えられます」
Q.では、もし歩行者の飛び出しが原因で自転車との事故が発生してしまったとします。もし事故の原因となった歩行者がそのまま現場から立ち去った場合、救護義務違反として法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。
永島さん「このケースでも、『道路交通法上の救護義務』は、車両などの運転者に課されるもので、歩行者は、救護義務違反の主体にはなりません。そのため、歩行者が、救護義務違反として責任を問われることはありません。
歩行者の救護義務は問題になりませんが、歩行者が、もしもそのまま立ち去ってしまった場合には、民法上の不法行為責任が発生する可能性はあります。
さらに、まれですが、『歩行者側が、自らの信号無視により交通事故が発生し、自動車の運転者が負傷し危険な状態であるということを認識しながら、危険な状態にある負傷者を放置してしまった』場合、別途『遺棄』や『重過失傷害罪』などの刑事事件に発展する余地があると考えられます」
Q.道を歩いているときに自転車に乗っている人とのトラブルを防ぐためにはどのような取り組みが求められるのでしょうか。
永島さん「歩行者側は、『ながらスマホ』のように不注意になる行為を控えましょう。前方だけでなく周囲をよく確認しながら歩いてください。『道路を横断する際には横断歩道を利用する』『信号はしっかり順守する』なども重要です。
また、夜間は視認性の悪さが原因で事故につながる可能性があります。反射板などを身に付けて視認性を高めれば、事故防止につながると思います。
また、自転車に乗る人に対しては、歩道を走行する際は特に徐行をするなど、歩行者優先であることを徹底してほしいです。夜間はライトを点灯させて走行するなど、基本的な安全対策を徹底することが事故などのトラブル防止につながるでしょう」
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歩行者と自転車の接触事故が発生した際、「急な飛び出し」「スマホを見ながら歩行」などの行為が歩行者側に認められた場合、賠償責任を問われる可能性があるといいます。外出時は歩きスマホや信号無視などをしないよう、徹底しましょう。
(オトナンサー編集部)




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