えっ、伝統だと思ってた…実は《企業の商業的戦略》がきっかけで始まった「季節の文化・行事」4選
季節の定番となっている文化・行事の中には、「実は企業が仕掛けたことがきっかけで定着した」ものが多く存在しています。今回はそのうちの4つをご紹介。あなたはすべて知っていましたか?

伝統行事だと思っていたあのイベント、実は「売りたい」気持ちから始まったものだった……? 企業のマーケティングがきっかけで誕生し、今では季節の定番になった行事は複数存在します。歴史を知ると、毎年の習慣がちょっと違って見えてくるかもしれません。
「正月の定番」も実は商業的なPR戦略だった
6月に挙式を行う「ジューンブライド」に憧れる女性は多いでしょう。しかし、日本では6月は梅雨時にあたり、足元も悪くなるため、結婚するカップルは少なめでした。そこでブライダル業界が目をつけたのが、「6月の花嫁は幸せになれる」という西洋の言い伝え。梅雨時の需要を生み出そうと、「幸運のジューンブライド」というロマンチックなイメージを広め、6月の結婚式が次第に浸透していったのです。
ウナギが食卓に上る「土用の丑(うし)の日」も、商業的な発想から誕生した文化の一つです。本来、天然ウナギの旬は冬。夏に売れ行きが落ちることを悩んだ江戸のウナギ屋が、発明家・平賀源内に相談し、「土用の丑の日にウナギを食べよう」というキャッチコピーが考案されました。看板に掲げたところ、注目を集め、多くの店が追随。結果として、ウナギは旬ではない夏の“定番食”としての地位を築くことになります。
「バレンタインデー」も企業のアイデアから生まれた行事です。1936年、兵庫県神戸市の洋菓子メーカー「モロゾフ」が「バレンタインにチョコレートを贈ろう」と新聞広告を出したのが始まりとされています。その後、製菓業界が2月の販促イベントとして注力し、女性が男性にチョコレートを贈るスタイルが日本独自の習慣として定着しました。
意外なところでは、「初詣」も商業的な仕掛けによって普及した例です。明治以降、鉄道会社が沿線の寺社への集客を目的にキャンペーンを展開。中でも京浜急行電鉄(京急)が川崎大師(平間寺)への参拝を呼びかけたことが契機となり、三が日に神社仏閣を訪れる流れが広まりました。現在のような国民的行事に育った背景には、鉄道会社のPR戦略があったのです。
行事の裏にあるマーケティング戦略。その視点で見直すと、季節のイベントはもっと面白く感じるかもしれませんね。
(オトナンサー編集部)



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