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ノートの絵が立体的で不思議! ジオラマアニメーターMOZU、数学の“線”から生まれる世界

「MOZU トリックラクガキアート集」(玄光社)が出版された、ジオラマアニメーターの「MOZU」さん。インタビューを通じて作品の世界観に迫ります。

「MOZU トリックラクガキアート集」より(玄光社提供)
「MOZU トリックラクガキアート集」より(玄光社提供)

 本物そっくりのゴミ集積場、線の途中が浮き上がった「あみだくじ」。「ミラクル エッシャー展」で販売されていた作品に注目が集まりました。エッシャーの公式グッズではなく、作者はある10代の若者です。

 今回は「MOZU トリックラクガキアート集」(玄光社)を紹介します。ジオラマアニメーターとして活動する「MOZU」さんの、「MOZU 超絶精密ジオラマワーク」(同)に続く第2作目。簡単にメディア出演実績を紹介しておきます。TBS主催のアジア最大の映画祭「Digicon6」で、Youth部門の最優秀賞ゴールドを受賞、米テレビ局「Right This Minute」、「NHKワールド」、日本テレビ系「スッキリ」、「週刊新潮」のカラーグラビアでも紹介されるなど活躍の場を広げています。

誰もが見た目にダマされる

 同書では、中学生の頃から制作を続けている作品がまとめられています。ノートに描かれた絵が、角度によっては立体的に見えたり、浮いて見えたりします。目の錯覚を利用した精巧なジオラマですが、アイデアが斬新で何度見ても読者を飽きさせません。

 MOZUさんがトリックアートを描いたのは、中学2年生の授業中のこと。この頃は、美術高校へ進学するためにデッサンを学び始めた時期だったこともあり、習った影の描き方を応用したと解説しています。「学生のノート」という、とても身近なものを題材にしたのもポイントだったようです。

 また、図の後ろに文章を透かして見えるように描くことで、図に立体感を出してみたり、図の中央に進出色を引くことで、より立体感が強く伝わるように表現したりするなど、かなり手のこんだ作りになっています。

Q.作品の多くは、ゴミ集積場や電柱、教室など、通常は扱わないディテールのものです。なぜ、こうしたものを作品にしているのですか。

MOZUさん「ゴミ集積場は、展示会に提出するジオラマ作品の題材を探していた時に行き着きました。日頃から近所のゴミ捨て場が目に入ってきました。よく見ると、こんなに生活感にあふれた場所はなく、作ってみたかった家電もあり、僕の好きなものが詰まっていることに気がつきました。展示会用の作品だったので工夫も必要でした」

MOZUさん「360度どこからでも鑑賞できるようにするのが作品のポイントです。ゴミ捨て場だけでなく周囲のアスファルトまで再現しているのは、こうした事情によるものです。近所にあったゴミ捨て場だけでは参考にする材料が足りなかったので、インターネットで検索して、ゴミ捨て場のエッセンスを集めて作品に反映させています」

Q.ほかに、作品にまつわるエピソードがあれば教えてください。

MOZUさん「テーマは日常的なものが多いです。テーマさえ決まれば、あとは一気に発想が膨らんでいきます。以前、三角定規を描いたことがあります。ノートの上にそっと置いてあるかのごとく丁寧に描きます。消しゴムの消しカスもしっかり見て描きます。さらに、バリエーションを増やして、たくさん描いてみます」

MOZUさん「ある日、3つの定規が描いてあるノートを開いていると、先生に質問されました。『なぜそんなに三角定規を持っているのか』と。描いた三角定規ですから、ノートをパッと逆にしても落ちません。先生は目を丸くしていました」

Q.MOZUさんは、描くことは簡単だと言います。本物を横に置いて描くだけだから、誰でもできますと。誰も気がつかないモチーフの方が興味深いと。

MOZUさん「数学の時間にある問題が目に入ってきました。A君とB君がある場所まで行き、その時間を答える問題です。ただし、興味が湧いたのは、問題ではなく図形の方でした。2つの伸びた線、もし片方がものすごく遠回りしていたらどうなるのか。そんな発想で、線があらぬ方向に出るなどのアイデアが吹き出てきました」

MOZUさん「線を湾曲させて描き、指にも線を描くことで、一定の角度から見ると、本当に線をつまんでいるように見えます。描いている道具は、コピックのペンと鉛筆、影をぼやかす時に使うティッシュだけです。それ以外使いません」

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書はビジネス書を中心に11冊。2018年1月「あなたの文章が劇的に変わる5つの方法」(三笠書房)は即重版、同10月「即効! 成果が上がる 文章の技術」(明日香出版社)は発売1週間で重版。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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