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臭いが気になる、病気かもと不安に…女性の「おりもの」が変化する原因や隠れた異常とは?

「おりもの」の量や臭いを気にする女性が多いようです。おりものの変化や、それが示す異常について医師に聞きました。

おりもので悩む女性は多い
おりもので悩む女性は多い

 女性の「おりもの」について先日、ネット上で話題になりました。女性のデリケートゾーンにまつわる悩みとして、おりものの量や臭いを気にする声は多く、特に体調によるおりものの微妙な変化に戸惑う人も少なくないようです。ネット上では「おりものが多くてかぶれてしまう」「臭いが気になる」「おりものの状態が変わると、病気かもしれないと不安になる」など、さまざまな声が寄せられています。

 おりものの変化や、それが示す異常について、医師の尾西芳子さんに聞きました。

体調の悪化で変化が出ることも

Q.そもそも、おりものとは何でしょうか。

尾西さん「おりものとは、子宮の入り口(頸部=けいぶ)や膣の分泌物のことで、医学用語では『帯下(たいげ)』と呼ばれます。帯下の中には、乳酸菌などの常在菌がすんでおり、膣の中に雑菌や真菌(カビ)が繁殖しないようにする働きがあります。また、帯下は性交時にスムーズに挿入したり、摩擦による膣のダメージを和らげたりする働きがあります。

排卵期にはサラサラして透明になったり、排卵後は白く粘っこくなったりと、生理周期によって量や色が変わります。つまり、帯下は、排卵時は精子が子宮に入りやすくし、排卵後は他の精子や雑菌が子宮に入ってこないようにするなど、妊娠に適した働きをしているのです」

Q.正常なおりものとは、どのような状態ですか。

尾西さん「正常な帯下は無色~やや白色で、スーッと伸びてボトッと落ちるような粘度です。臭いはほとんどありません。ただし、量に関しては個人差が大きく、もともと体質的に多い人もいるため、治療でよくならない場合もあります」

Q.体調が悪いと、おりものに変化が現れるのでしょうか。

尾西さん「体が弱っていると免疫力も落ちてしまうため、常在菌(よい菌)による自浄作用がうまく働かず、雑菌や真菌(カビ)が繁殖してしまいます。それによって、臭いがきつくなったり、かゆみやヒリヒリ感が出たりするなどの症状が現れます」

Q.年齢による、おりものの変化はありますか。

尾西さん「帯下は女性ホルモンによって分泌されるため、閉経すると急激に量が減ってしまいます。そうすると、膣内が乾燥して荒れてしまう『萎縮性膣炎』になることがあります。女性ホルモンの膣錠で改善するので、閉経後の性交痛などがある方は婦人科を受診してみてください」

Q.医師に相談すべき異常の目安や、考えられる病気について教えてください。

尾西さん「量に関しては個人差があるため、人と比べるのではなく、『今までと違う量が出る』『色がいつもと違って黄色や緑色っぽい』『臭いがきつい』『白っぽくてもろもろしている』などの変化で判断します。これらの症状が見られる場合は、病気の可能性があるので受診が必要です。

また、クラミジアや淋(りん)病、トリコモナスといった性病の場合もあるため、気になる時は早めに受診しましょう。特に、クラミジアや淋菌の場合は、自分の免疫力では治りきらず、おなかの中に炎症が及んで不妊の原因になってしまうことがあります」

Q.おりものによるデリケートゾーンのトラブルを防ぐポイントはありますか。

尾西さん「温水洗浄便座を使う人も多いと思いますが、ビデを使い過ぎると膣の中のよい常在菌が洗い流されてしまい、カビや雑菌が繁殖する原因になります。基本的には夜、シャワーで外陰部を洗い流すだけで十分です。同様に、石けんによる洗浄も過度に行うと悪化することがあります。最近はデリケートゾーン専用の洗浄剤も出ているので、気になる時は使用してもよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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