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【要注意】飲酒で“栄養不足”→疲労&イライラの原因に…どんな食べ物がお勧め? ベストな組み合わせを医師に聞く

飲酒時に体から失われてしまう栄養素のほか、摂取すべき食べ物について、医師に聞きました。

飲酒時に体から失われる栄養素とは?
飲酒時に体から失われる栄養素とは?

 すでに職場の忘年会が終わった人もいれば、後日、忘年会の予定があるという人もいると思います。12月は、お酒を飲む機会が増えますが、健康のためにも飲み過ぎには注意したいところです。

 ところで、飲酒時はアルコールを分解するために、体からさまざまな栄養素が失われやすいといわれています。実際にどのような栄養素が失われるのでしょうか。失われる栄養素を補給するために、飲酒時にはどのような食べ物を組み合わせるとよいのでしょうか。

 栄養不足で生じる症状や飲酒時の注意点などについて、広島ステーションクリニック(広島市東区)理事長で医師の石田清隆さんに聞きました。

「ナイアシン」「ビタミンB1」「亜鉛」などが失われる

Q.お酒の1日の適正な摂取量について、教えてください。

石田さん「厚生労働省が推進する『健康日本21』によると、1日の適正な飲酒量は純アルコールで20グラム程度とされています。

注意すべきなのは、お酒に対する強さは、一人一人違うということです。一般的に、女性よりも男性、また年輩の人よりも若い人の方が、アルコールの分解能力が高いです。体重が重い人と体重が軽い人が同量のお酒を飲んだ場合、重い人の方が血中アルコール濃度が低くなるため、酔いにくいといえます。

さらに、アルコールを分解する酵素の一つである『アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)』の働きは遺伝的に個人差があるほか、お酒を常飲することで、アルコールを分解する酵素である『シトクロムP450』が活性化することが分かっています。

純アルコールの量は、『お酒の量(ml)×アルコール度数(%)×0.8(アルコールの比重)』で求めることができます。純アルコール量の摂取量を約20グラムに収めるには、次の量が目安となります」

【お酒の適切な摂取量】
・ビール(5%)中瓶1本程度 500ml
・日本酒(15%)1合 180ml
・ワイン(12%)2杯弱 200ml
・缶チューハイ(7%)1本 350ml
・焼酎(25%)グラス2分の1杯 100ml
・ウイスキー・ブランデー(40%)ダブル1杯 60ml

Q.体内でアルコールが分解される過程で、さまざまな栄養素が失われやすいといわれていますが、なぜなのでしょうか。

石田さん「肝臓内でアルコールを分解する際は、『アルコール脱水素酵素(ADH)』のほか、先述のアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が使われます。また、飲酒量が多いと、先述のシトクロムP450などの酵素群である『ミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)』の働きも活発になります。

アルコールは、肝臓で主にアセトアルデヒド、酢酸と変化していき、最後には末梢(まっしょう)の筋肉や脂肪組織などで二酸化炭素と水となり、尿や汗、呼気で排出されます。

これらの分解の過程で補酵素である『ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)』が大量に消費されます。NADはビタミンB群の一種である『ナイアシン』が化学変化したもので、ナイアシンがないと作れません。そのため、ナイアシンが不足すると、アルコールを分解できず、悪酔いや二日酔いの原因となります。

また、糖や脂質、尿酸を代謝する際もNADを必要とするため、NADが不足すると、肥満や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなるほか、エネルギー産生がうまくできなくなるため、疲れやすくなります。

アルコールを分解するときだけでなく、アルコールが体の組織で酢酸を経てエネルギーに変換されるときは、ビタミンB1が大量に消費されます。アルコールはビタミンB1の吸収を阻害したり、排せつを促したりするため、ビタミンB1は飲酒によって不足しやすいのです。

ビタミンB1が不足すると、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったりするほか、食欲不振や手足のしびれなどの症状が出るようになります。

亜鉛(Zn)はADHの中に含まれている重要なミネラルで、飲酒によりADHが使用されると大量に消費してしまいます。マグネシウム(Mg)は、飲酒による利尿作用で大量に排せつされるため、亜鉛と同様、失いやすいミネラルの一つです」

【画像で丸わかり!】失われる栄養素を補給して! 飲酒時にお勧めの食べ物、NGの食べ物を一挙公開! アルコールが分解される仕組みも

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石田清隆(いしだ・きよたか)

医師

肝臓学の専門医で、広島ステーションクリニック理事長。長年、基幹病院の一線でウイルス性肝炎、肝細胞がんの診療を行い、ウイルス性肝炎の経口剤治療、肝細胞がんのラジオ波焼灼療法やカテーテル治療の経験が多数ある。現在は、画像診断、栄養解析データをベースに脂肪肝、糖尿病などの生活習慣病に対して徹底的な栄養、運動指導を行い、薬に頼らない治療を目指している。2023年1月にアンチエイジングセンター「Milky Cloud Well-being Center」を開設。著書に「人生を好転させる2‐week鉄活」(幻冬舎)がある。広島ステーションクリニック(https://hs-clinic.jp/)。

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