お酒に酔ったら要注意! 嘔吐物で「窒息死」するリスクと予防法
お酒を飲んで酔っぱらった時に注意したいことの一つに、嘔吐物による窒息があります。飲酒による窒息事故を防ぐ方法について、医師に聞きました。

お酒の飲み過ぎによる事故が後を絶ちません。東京消防庁によると、2016年の管内の急性アルコール中毒による救急搬送人員は1万6138人。東京都だけでも毎年1万人以上が救急車で病院に運ばれており、その数は増加傾向にあります。
酩酊(めいてい)時の死亡事故で多いのが、嘔吐(おうと)物による窒息死です。嘔吐物が口から出ていなくても、のどの奥に詰まって呼吸ができなくなるケースもあるといいます。これについて、SNS上では「怖い」「吐くまで飲むのはやはり危ない」「吐きたい時はどうすればいいの?」など、さまざまな声が上がっています。
オトナンサー編集部では、飲酒による窒息の原因や対処法について、医師の市原由美江さんに聞きました。
顔を横向きに寝かせる
Q.そもそも、飲酒によって吐き気を催すのはなぜですか。
市原さん「大量のアルコールを摂取することで血中のアルコール濃度が上昇するため、体の防御反応として嘔気・嘔吐が起こります。吐くこと自体は、本能的な生命維持機能と言えるため、我慢する必要はありません」
Q.飲酒による窒息が起こる原因やリスクについて教えてください。
市原さん「嘔吐物が気道を閉塞(へいそく)することで無呼吸状態になる可能性があります。特に意識レベルが低下している場合は注意が必要です。口から嘔吐物が出ていなくても、のどの奥に詰まって呼吸ができなくなることがあります。その場合、周囲も異変に気付きにくく手遅れとなり、死に至る危険もあります」
Q.飲酒による窒息を防ぐために気を付けるべきことは何ですか。
市原さん「自分でできることは、意識を失うまで飲まないことに尽きます。自分の適量、その日の体調を把握して、決して無理はしないこと。一気飲みをすると血中アルコール濃度が急激に高くなり、急性アルコール中毒の危険性も高まるので、絶対にやめましょう。
吐き気を催した場合は、上半身を起こして顔を下向きにして吐くと誤嚥(ごえん)を防ぎやすくなります。ただし、指などを入れて無理に吐いてはいけません。自分で無理に吐くと、食道が傷ついて吐血することがあります。
周囲の人ができることは、酔いつぶれた人を一人にせず、顔を横向きに寝かせることです。仰向けやうつ伏せの姿勢は吐いた物が詰まりやすくなります。まだ吐いていなくても、嘔吐の可能性を考慮して、顔を横に向けて寝かせましょう」
Q.酔いつぶれた人への適切な対処法について教えてください。
市原さん「酔っぱらって寝ているだけなのか、急性アルコール中毒で意識を失っているのか、周囲が判断する必要があります。たたいても動かしても無反応、呼吸の状態がおかしい、大量に嘔吐している、失禁している、体が冷たいなどの場合は急性アルコール中毒の可能性があるため、救急車を呼びましょう」
(ライフスタイルチーム)
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