オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

ピリピリ痛む「帯状疱疹」、実は“何度も発症する”って本当? 皮膚科医に聞いた

発疹のピリピリとした痛みが特徴的な「帯状疱疹」。「もう二度とかかりたくない」という声が多い病気ですが、実際のところ、繰り返し発症する可能性はあるのでしょうか。

帯状疱疹は“何度もかかる”の?
帯状疱疹は“何度もかかる”の?

 皮膚に発疹ができる「帯状疱疹(ほうしん)」。発疹によるチクチク、ピリピリとした痛みが数日間続く場合もあり、経験者からは「あれはつらかった」「もう二度とかかりたくない」の声が多く聞かれますが、帯状疱疹は繰り返し何度も発症する可能性があるのでしょうか。肌クリニック大宮(さいたま市)院長で皮膚科医の相馬孝光さんに聞きました。

原則的には“生涯に一度”の発症だが…

Q.「帯状疱疹」とはどのような病気ですか。

相馬さん「帯状疱疹は、典型的には体の左右どちらか一方に、前駆症状としてピリピリとした痛み(神経痛症状)が出た後、皮膚症状として赤い斑点や小さな水ぶくれが帯状に現れる病気です。原則的に体のどこにでも発症するリスクがありますが、好発部位は胸部・背部などの上半身です。また、顔面(特に目の周囲)も発症しやすい部位です。

帯状疱疹は、体内に潜伏感染していた、ヘルペスウイルスの一種である『水痘・帯状疱疹ウイルス』が再活性化することによって起こります。皮膚症状が帯状に現れるのは、ウイルスが再活性化した神経に沿って炎症が生じるからです。

水痘・帯状疱疹ウイルスは、初めて感染したときはいわゆる『水ぼうそう』として発症します。体がウイルスに対する抗体を作ることによって、症状としての水ぼうそうは治癒するわけですが、ウイルスは体の『神経節』といわれるところに潜伏感染してしまい、疲労、老化、病気、治療などによって免疫機能が低下することをきっかけに再活性化するのです。

帯状疱疹の発症年齢は、水痘に罹患(りかん)歴のある全ての年齢が対象ですが、50代以降に多いとされ、80代までに3人に1人が発症するといわれています。なお、帯状疱疹の一番の問題点は『帯状疱疹後神経痛』という後遺症が残ってしまうケースですが、高齢者になるほどそのリスクが高くなります。そのため50代以降では、帯状疱疹予防のワクチンを受けることも推奨されています」

Q.特有の痛みなどの理由から「もう二度とかかりたくない」との声もある帯状疱疹ですが、実際のところ、何度もかかる可能性はあるのでしょうか。

相馬さん「帯状疱疹は、原則的には生涯に一度しか発症しないとされています。これは、水ぼうそうも同様ですが、体の免疫系がウイルスに対する抗体を作ることで抑え込んでしまうからです。一方で、病気や治療によって免疫機能が低下している患者さんの場合は、繰り返し発症することもあり得ます」

Q.帯状疱疹の発症を防ぐために、日常生活上で気を付けるとよいこととは。

相馬さん「先述のように、帯状疱疹は原則的に“生涯に一度”の発症です。発症しないために日常で気を付けることとしては、やはり十分な睡眠や、バランスの取れた食事を取るなどして体調管理をしっかりと行い、免疫力を維持することだといえるでしょう」

(オトナンサー編集部)

1 2

相馬孝光(そうま・たかみつ)

医師(皮膚科)

肌クリニック大宮院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。社会人経験を経て、東海大学医学部に3年次学士編入学。2005年卒業。日本赤十字社医療センターで内科研修後、2007年東京慈恵会医科大学皮膚科学講座入局。同本院・柏病院、NTT東日本関東病院で勤務を経て、2012年にさいたま市にて肌クリニック大宮院長就任。一般皮膚科診療やアレルギー科診療から皮膚外科手術・美容皮膚科・アンチエイジングの相談まで幅広く診療しており、特にニキビ診療に注力している。患者さんの悩みにオールマイティーに応えていけることを理念とし、患者さんが笑顔になる瞬間にやりがいを感じて日々の業務に従事している。肌クリニック大宮(https://e-hifu.jp/)。

コメント