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レシピ通りに作っているのに…どうして? 「お菓子作り」に失敗する4つの原因、料理研究家に聞いた

「毎回失敗する」「苦手意識がある」という人も多い「お菓子作り」。レシピ通りに作っていても失敗しがちなのは、なぜなのでしょうか。料理研究家に聞いてみました。

お菓子作り、なぜ失敗しやすい?
お菓子作り、なぜ失敗しやすい?

 今年もバレンタインデーが近づいてきました。チョコレートを使ったお菓子を作る予定の人もいると思いますが、一方で「お菓子作りはどうしても苦手…」という人も多いのではないでしょうか。実際、お菓子作りに失敗した経験のある人は少なくないようで、「レシピ通りにやっているはずなのに、うまくできない…」「料理は得意な方だけど、お菓子作りは苦手」「毎回失敗して心が折れる」と落ち込む声も聞かれます。

 なぜ、お菓子はレシピ通りに作っていても失敗しやすいのでしょうか。「お菓子作り」に失敗する原因について、料理研究家の長田絢さんに聞きました。

忠実に「レシピ通りに作る」必要がある

Q.ずばり、なぜお菓子作りに「失敗」してしまうのでしょうか。

長田さん「お菓子作りの失敗にありがちな原因と失敗例は、次の通りです」

【計量がきちんとできていない】

小麦粉や砂糖など、材料の計量を目分量で行ったり、計量自体を間違えたりしていると、『生地がまとまらない』『スポンジが膨らまない』といった失敗をしてしまいがちです。そのため、電子スケールを使って1グラム単位できっちりと計ることが必要です。他の容器に移す工程では、ヘラやスプーンを使い、底から余すことなくきれいに取るようにしましょう。

レシピによっては、個数や『CC』の単位で記載されているものもありますが、それらを全てグラム単位に替えて計算することで、より正確に計量できます。

【温度管理ができていない】

お菓子作りでは、温度を間違えると材料の分離、焦げ、生焼けといった失敗の原因になります。卵とバターには『室温に戻しましょう』という表記があることが多いですが、これは混ぜる際、両者の間に温度差があると混ざりにくいためです。

また、オーブンでお菓子を焼くときも温度が重要です。予熱ができていないまま焼いたり、焼き上がり後に扉を開けずに放置したりしていると、失敗の原因となります。オーブンの種類によってもくせがあるので、焼いている最中も様子を見ながら、温度を調整したり、天板の向きを変えたりする必要があります。

【うまく溶けていない、混ざっていない】

チョコレートやバターを溶かす際は、湯を使って間接的に加熱する『湯せん』でゆっくり溶かすようにしましょう。直火で溶かすとうまく溶けなかったり、分離してしまったりして失敗の原因となります。

また、さまざまな材料を混ぜ合わせるときの順序を間違えたり、一度で一気に混ぜたりするときれいに混ざらず、ムラのある生地になったり、ダマになって口当たりが悪くなったりするといった失敗につながります。

【「泡立て」の工程を誤る】

生クリームには『◯分立て』という表現がよくみられますが、これを誤ってしまうと生地が膨らまなかったり、硬くなったりと失敗の原因になります。生クリームは、時間がたつと分離したり、固まったりしてしまうため、ハンドミキサーを使って素早く泡立てるようにしましょう。

Q.「料理は得意な方だけど、お菓子作りは苦手」という人も少なくないようです。料理を作ることとお菓子を作ることは、何がどう違うのだと思われますか。

長田さん「料理はある程度のレシピがあれば、材料を代替したり、調味料を好みの味に調整したりとアレンジがしやすく、それによる失敗は少ないと思います。また、調理工程も『焼く』『煮る』『ゆでる』『揚げる』といった“目で見て判断できる”工程なので、『やわらかくなったら』『きつね色になったら』など、次の工程へ進む目安も分かりやすいと思います。

レシピも、非常に簡単に作れるものからありますし、特別な調理器具を必要としないものが多いので、多くの人が手軽に取り掛かることができ、毎日の健康や節約にも役立てやすいのだと思います。

一方、お菓子作りは、ほぼ忠実に『レシピ通りに作る』ことが大切で、材料の代替や調整は、基礎知識と経験がないとなかなか難しいことだと思います。しかも、レシピ通りに作っても、思うような仕上がりにならないケースが多くあり、その原因も、明確なときもあれば『謎のまま…』という場合も多いかと思います。最終工程が『オーブンで焼く』や『冷蔵庫で冷やし固める』などの場合は、つきっきりで様子を見ながら確認することが難しいため、『焼き上がったら焦げていた』『冷やしたのに固まらなかった』という失敗も起きがちです。

さらに、製菓材料や道具は、日常では使わないものも多く、わざわざ買いそろえなくてはいけないため、費用的にも『市販のお菓子を買った方が安いのでは…』と思うこともしばしばあるでしょう。それでも、上手に出来上がったときの達成感や、アレンジして自分好みの味に作ることができた喜びは大きいので、お菓子作りにハマり、趣味とする人が多いのも納得です」

Q.お菓子作りが苦手な人が、失敗を減らすためのポイントやコツとは。

長田さん「料理と同様に、お菓子のレシピもネット上にたくさん出ていますが、まずは信頼度の高いレシピを選定することが大切です。できれば、その道のプロが出版されている書籍を参考にした方が、詳しい解説もついているため、間違いないかと思います。

そして、お菓子作りをする上で心掛けていただきたいのは、『調理を始める前の段階で、材料は適温で管理して準備する』『材料を正確に電子スケールで計る』『調理器具に汚れや水分が残らないよう、清潔にする』『一つ一つの工程を丁寧に行う』『オーブンや冷蔵庫に入れた後も放置せず、時々様子を見る』ことです。これらが、失敗を避けるポイントだと思います」

Q.ちなみに、「お菓子作りが苦手」な人でも作りやすいお菓子はありますか。

長田さん「『材料が少ない』『工程がシンプル』『経験値がものをいう見極めが必要な工程がない』『繊細な技術を必要としない』お菓子は失敗しにくいと思います。例えば、クッキーやパンケーキ、フレンチトースト、生チョコ、パウンドケーキ、ゼリーなどは初心者でも作りやすいお菓子なのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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長田絢(おさだ・あや)

料理研究家、栄養士

食の専門家として、テレビ番組のコメンテーターを務め、料理番組に出演。情報誌への寄稿やウェブコラムの執筆なども行う。飲食店の企画やメニュー開発、フードコーディネート、オペレーション指導から、企業の商品開発、レシピ制作、プロモーション支援など幅広く活躍。地域の特産品を使用した商品開発や、地域活性化のためのイベント企画、プロモーションなどを行う地域創生事業プランナーとしても活動している。インスタグラムやYouTubeでも食の情報を発信中。著書に「スーパーで買える『肉』を最高においしく食べる100の方法」(ダイヤモンド社)がある。JapanFoodExpert(https://jfe-aya.jp/)。

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