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「健康のために1日1万歩」、本当に正しい? パンプスで歩き過ぎるとどうなる?

歩数が多いほど健康によいのは本当なのでしょうか。専門家に聞きました。

パンプスでたくさん歩くと、どうなる?
パンプスでたくさん歩くと、どうなる?

「健康維持のために、1日1万歩程度歩くのがよい」と厚生労働省が「健康日本21」で呼び掛けて久しくなります。仕事などで日頃からよく歩く人も多いとは思いますが、歩数が多いほど健康によいのは本当なのでしょうか。また、仕事の関係で日頃からビジネスシューズやパンプスでたくさん歩いた場合、足にどのような影響があるのでしょうか。

 シューフィッター(客の足の形を計測し、最適な靴選びをサポートする販売員)の育成などに取り組む、一般社団法人「足と靴と健康協議会」(東京都台東区)の事務局長、木村克敏さんに聞きました。

まずは正しい靴選びから

Q.そもそも、人は1日にどの程度歩いているのでしょうか。

木村さん「年齢や職業などによって異なりますが、例えば営業など外回りが多い仕事の場合、1日に7000~8000歩程度、歩いていることが多いです。一方、自宅近くのコンビニやスーパーに行く程度で、家にいる時間の方が長い人(シニア世代の人など)の場合、1日2000~3000歩程度と言われています」

Q.健康維持のために、1日1万歩程度歩くのがよいと言われていますが、本当なのでしょうか。

木村さん「『1日1万歩』に無理に取り組む必要はありません。体に負担をかけずに健康を維持するには、1日5000~6000歩で十分です。先述のように、外回りが多い仕事に就いている人であれば無理なくこなせると思いますが、自宅にいる時間が長い人の場合、かえって体に負担をかけてしまいます。

特に中高年の人は、膝や腰などにトラブルを抱えやすいので、注意が必要です。『健康のために』と、必要以上に歩き過ぎてしまい、足や膝、腰を痛めて整形外科を受診するケースも珍しくありません」

Q.働いている人の多くがビジネスシューズやパンプスを履いています。このような靴でたくさん歩いた場合、足にどのような影響があるのでしょうか。

木村さん「パンプスは足先が細く、かかとが高い構造なので、足が前に滑りやすく、つま先に体重がかかります。そのため、長時間履き続けるとつま先が圧迫され、足の親指が小指側に曲がる『外反母趾(ぼし)』や、足指の爪が肉に食い込む『陥入爪(かんにゅうそう)』などの足の病気になりやすいです。

このほか、足が前に滑らないよう、足指を曲げた状態で歩きがちなので、足指の裏にたこができることもありますし、この状態が癖になると、足指が曲がったまま固まる『ハンマートウ』という病気にもなり得ます。できれば、『通勤時はスニーカー』『勤務時はパンプス』といった形で、場面によって履き替えるのが望ましいです。

ビジネスシューズは、スニーカーと同等の履き心地の製品が増えており、クッション性に優れたアウトソール(靴底)やインソール(中敷き)を備えた製品であれば、長時間歩いても問題はないでしょう。ただし、サイズ選びを間違えると、当然ですが、足に負担をかけてしまいます。足の病気を防ぐには、靴の種類だけでなく、自分の足のサイズに合った靴を選ぶことが重要です」

Q.では、自分の足のサイズに合った靴を選ぶときのコツについて、教えてください。店舗で試し履きをしたときに少しでもきつく感じた場合、足に合っていないと考えた方がよいのでしょうか。

木村さん「まずは、シューフィッターが在籍している店舗で自分の足のサイズを正確に測ってもらうことをお勧めします。足用の計測器を設置している店舗もあるので、そちらを利用するのもよいでしょう。足のサイズは、体重の増減や加齢に伴い変化するので、年に1回程度、計測するのが望ましいです。

足がきつく感じることに抵抗があるためなのか、自分の足よりも若干大きめのサイズの靴を選ぶ人が非常に多いのですが、実は『ちょっときついかな』と感じるぐらいがちょうどよいです。

大きめのサイズの靴を履くと、足が前方に滑りやすく、つま先が圧迫されがちなので、外反母趾などの原因となります。『外反母趾は女性に多い足の病気』とよくイメージをされますが、男性でも日頃から大きめのサイズの靴を履いている人は、外反母趾になりやすいので、注意が必要です。

ビジネスシューズは、アウトソールやインソールにクッション機能が付いた製品を選ぶのがお勧めです。特に扁平(へんぺい)足の人は、土踏まずがない分、足が疲れやすいので、足裏の内側をしっかり支える構造の靴を選ぶとよいでしょう。靴選びで迷った場合は、シューフィッターに相談してください」

Q.「店舗に行く暇がない」という理由で、通販サイトで靴を買う人もいます。足の正確なサイズを把握していれば、通販サイトで自分の足に合った靴を選ぶことは可能なのでしょうか。

木村さん「足の正確なサイズを把握していても、通販サイトで自分に合った靴を選ぶのは難しいです。例えば同じ27センチのスニーカーでも、ブランドによってサイズ感や靴の構造(足幅が広い、細いなど)が異なるためです。

通販サイトによっては、返品無料で試し履きができるサービスを提供していることがあります。通販でなければ靴の購入が難しい場合、そうしたサービスを利用して自分の足のサイズに近い靴を何足が取り寄せ、試し履きをしてみるとよいかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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