食べにくくない? 居酒屋や総菜の「焼き鳥」、串から外さないのはなぜ?
居酒屋で「焼き鳥」を注文すると、ほぼ確実に、串に刺さった状態で提供されますが、食べるときは刺さったままである必要性はありません。なぜ、刺さったまま出てくるのでしょうか。
居酒屋で「焼き鳥」を注文すると、ほぼ確実に、串に刺さった状態で提供されます。スーパーの総菜コーナーや、コンビニで売られている焼き鳥も串に刺さったまま、容器に入っていることがほとんどですが、「串に刺さったままだと食べにくい」と思う人もいるでしょうし、焼き鳥を食べ終えた後に串がごみとなってしまいます。
なぜ、焼き鳥は店側で、串から外さないのでしょうか。料理研究家の長田絢さんに聞きました。
串から外すと冷めやすく…
Q.宮崎地鶏のように、串に刺さずに焼く方法もあると思うのですが、なぜ、焼き鳥は串に刺して焼くのでしょうか。
長田さん「焼き鳥は肉の切り方や串の刺し方、焼き方、味付けなど、さまざまな要素が組み合わさって、出来上がる料理です。食べやすい大きさに切った鶏肉を串に刺すことで、小さな肉でもむらなく、均等に焼くことができ、また、肉の無駄も出ないことから、焼き鳥は串に刺して焼くことが一般的になりました」
Q.調理した焼き鳥は串に刺したまま提供されることがほとんどです。なぜ、店側で串から外さないのでしょうか。
長田さん「焼き鳥を串に刺したまま提供した方が肉が冷めにくく、おいしく食べられるからです。串から外して提供すると、一つ一つの肉が外気と触れる表面積が、串に刺したまま提供するときよりも大きくなり、肉が冷めやすくなります。また、串が刺さっていた穴から肉汁があふれて、せっかくのうま味が逃げてしまいます。
串を持って、そのままかぶりついて食べるという、焼き鳥の楽しみを提供する意味もあると思います。また、焼き鳥のコース料理などでは、1本の串に1人分の適切な量の肉が使われているので、最後まで、バランスよく、おいしく食べることができます」
Q.串に刺さったままの焼き鳥を食べにくいと感じる人もいるようです。焼き鳥を串から外してから箸で食べるのは、味やマナーの面で問題ないのでしょうか。
長田さん「女性には、焼き鳥の串を持ち、そのまま、かぶりついて食べる姿を見られることに抵抗がある人もいるでしょう。そうした場合、串から外してもマナー違反ではないと思います。特に手羽先は串に刺さったままでは食べづらいですよね。また、熱くてやけどしそうなときは、いったん串から外すと、肉が少し冷めるので食べやすくなるでしょう」
Q.複数人で居酒屋に行って、焼き鳥を注文したとき、みんなでシェアするために焼き鳥を全て、串から外した後、箸で食べ始める光景を見ることがあります。この食べ方は問題ないのでしょうか。
長田さん「居酒屋で焼き鳥の種類を複数まとめたセットメニューを頼んだ場合、串が人数分ないことが多いです。そうしたときには、食べる前に全て串から外す方が、みんなで分けながら食べやすいので、先述した肉の温かさや肉汁のことを別にすれば、特に問題ありません。逆に、人数分ない串を前にして、何の断りもなく、好きな焼き鳥の串を取ってかぶりついてしまうと、周りから、ひんしゅくを買ってしまう可能性があるのではないでしょうか」
Q.マナーとしても、おいしく食べられるという意味でも、正しい焼き鳥の食べ方を教えてください。
長田さん「正式なマナーや正解はありませんが、焼き鳥専門店でコースの場合や1人1本の焼き鳥がある場合は、出されたらすぐにそのまま、串にかぶりつくのが最もおいしい食べ方だと思います。串の奥の方の肉を手前に寄せるときや、熱すぎて、やけどしそうなとき、骨付きの肉の串があるときなどは、食べづらいので箸を使用してもよいと思います。
逆に居酒屋やホームパーティーなどで、もし、1種類1本分の焼き鳥が人数分ない場合は『串から外していい?』『そのまま食べてもいい?』とひと声掛けるなど、一緒にいる人と楽しく過ごすための気遣いは大切だと思います」
(オトナンサー編集部)
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