地デジ移行10年 「テレビの耐用年数は10年」って本当? 買い替えのコツは?
「テレビ」の耐用年数は10年といわれることが多いようですが、本当なのでしょうか。専門家に聞きました。
2011年7月に「地上デジタル放送」に完全移行され、10年以上が経過しました。テレビの耐用年数は約10年といわれており、2010年から2011年ごろ、地デジ対応のテレビを購入した人の中には、故障などで買い替えを検討している人もいると思います。テレビを買い替える際のコツはあるのか、テレビの耐用年数が約10年というのは本当なのか、デジタル・家電ライターのコヤマタカヒロさんに聞きました。
ディスプレーの寿命は5万時間
Q.「テレビの耐用年数は約10年」といわれていますが、本当なのでしょうか。
コヤマさん「本当です。液晶ディスプレーや有機ELディスプレーの寿命が一般的に、5万時間といわれることが最大の理由です。1日10時間、テレビをつけていると10年で3万6500時間になり、休日につけっ放しであれば、5万時間に近づきます。もちろん、テレビをつけている時間が短ければ短いほど、ディスプレーの寿命は計算上長くなりますが、ディスプレー以外のコンデンサーなどの電子部品にも寿命があり、テレビ全体で見れば、10年前後で何らかの部品に不具合が生じることが多いです。
そのため、テレビの寿命は一般的に10年といわれています。もっとも、10年以上、問題なく稼働する製品も少なくありません」
Q.購入後、約10年使ったテレビが故障したため、業者に修理を依頼したところ、断られたケースもあるようです。製造後、あるいは購入後、10年経過したテレビは修理を受け付けてもらえないことが多いのでしょうか。
コヤマさん「修理の対象外になることが多いでしょう。なぜなら、家電メーカーが参加する業界団体である一般社団法人日本電機工業会(JEMA)では、家電ごとに補修用性能部品の保有期間を定めており、テレビの部品は8年間と設定されているからです。これはあくまで、団体での規定なので、メーカーによってはさらに長期間保有している場合もあります。
ただし、基本的には製品の販売終了後、一定期間が経過すると補修用部品がなくなることが多いため、その場合、保有期間内であっても修理できなくなります」
Q.地上デジタル放送に完全移行されてから10年以上が経過したため、故障などを理由にテレビを買い替える人もいると思います。テレビを買い替える際のコツについて、教えてください。
コヤマさん「テレビを買い換えるときは何を重視するのか、ポイントを決めるのがおすすめです。スポーツや映画などを楽しむなら、画質重視になりますし、主に情報番組やバラエティー番組を見るのであれば、コストパフォーマンスに優れた低価格モデルがベストです。また、録画機能の有無や定額配信サービスに対応しているかどうかもチェックポイントです。
なお、画質を重視する場合や多くの機能を活用したい場合、最新モデルが選択肢になりますが、使用後10年ほど経過すると、画面の明るさなどが低下することがあります。経年劣化することを考慮して選びましょう」
Q.テレビには液晶テレビと有機ELテレビがありますが、両者は何が違うのでしょうか。それぞれのメリット、デメリットについて、教えてください。
コヤマさん「液晶テレビはバックライト(液晶ディスプレーの背面につける照明)の前に、電流のオンオフにより変化する液晶素材を配置したテレビのことです。低価格なのが特徴ですが、その分、黒色の表現が苦手で発色は控え目です。有機ELテレビは自発光の有機EL素材を使ったテレビのことです。有機EL素材が自ら光るので、引き締まった黒色を描くことができ、常にコントラスト(明るい部分と暗い部分との明暗の差)が高いのが特徴です。
また、色の再現性も高く、動きの速い映像表現も得意です。その代わり、液晶ディスプレーと比べると割高です。価格重視なら、液晶テレビ、画質重視なら、有機ELテレビを選ぶのがおすすめです」
Q.家電量販店の中には、有料の長期保証サービスを行う店もあります。テレビを購入する際は有料の長期保証サービスにも加入した方がよいのでしょうか。
コヤマさん「テレビは移動させることが少なく、モーターやインバーターなどの壊れやすいパーツも多くありません。そのため、保証期間内に壊れるかどうかは運次第といえます。ただし、液晶テレビや有機ELテレビが故障した場合、修理時に基板やパネルを交換するケースが多いです。このとき、基板の交換は最低でも数万円かかるほか、パネル交換の場合はテレビ本体の購入価格と同程度の金額がかかることがあります。高価なテレビを購入した場合は長期保証に入るのがおすすめです」
Q.買い替えに伴い、不要になったテレビはリサイクルショップなどで引き取ってもらうことは可能なのでしょうか。
コヤマさん「製造後10年以内で動作に問題がなく、付属品がそろっているテレビであれば、買い取ってくれるリサイクル業者はあります。ウェブサイトなどで買い取り価格を調べてみるといいでしょう。また、大手量販店の中には、比較的新しいモデルで状態がよい製品であれば買い取る店もあります。
ただし、付属品が足りない場合や破損や故障がある場合、有償でのリサイクル扱いとなります。テレビは家電リサイクル法の対象品目で、一般的な家庭ごみには出せないので、新しいテレビの購入先(家電量販店など)に相談してみましょう」
(オトナンサー編集部)
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