学歴フィルター議論が超過熱! Fランク学生が就活で勝利する唯一の方法
自己分析も時間のムダ
大学の就職部では、講師として招いて、学生向けの自己分析講座を開設しています。自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら、自分自身の軸や志向を発見するものです。
学生にとって、自己分析は新鮮に映ります。しかし、学生が自己分析に力を注いでも意味がありません。それどころか、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることは、まずないからです。
自己分析の最大の問題点は自分を一つの型にはめてしまうことにあります。例えば、事業で成功して、社会的地位のある人でも、自己分析ができていない人はいます。自分の軸がない人もいます。それ自体は悪いことではありません。
軸を持たずに自分のやりたいことや思考を目まぐるしく変化させるのは、環境に合わせられる柔軟な思考力を持っているということです。就活の限られた大事な時間を自己分析に費やすよりも、他にやるべき大切なことに費やす方が賢明だということです。
就活がお見合い? とんでもない
就活は学生と企業が出会う素晴らしい機会、「お見合い」だと主張する識者がいます。相手を選ぶという意味では同じ意味ですが、まったくフェアなお見合いではありません。
企業にとって、新卒社員を1名入社させることは大きな先行投資になります。投資という多額の出費がかかることに加えて、費用対効果を考えますから、投資効果が見えやすいものを重視せざるをえなくなります。投資効果が見えやすいものが大学名です。
今の時代はSNSの普及により、ネガティブな情報を隠す方が難しくなっています。「厳選採用を演じる企業」と「就活を演じる学生」の矛盾は双方にとって、機会損失をもたらすことになります。見直した方が双方にとって好ましいはずですが、「学歴フィルター」はなくなりません。「新卒採用」もなくならないでしょう。
以前、学歴不問を打ち出すオープンエントリーがはやりました。ところが、大学名を書かなくても、9割方は大学名を特定することが可能でした。実際にそれらの業務を受託していた企業も存在しました。つまり、会社説明会を訪問した時点で、大学名はほぼ特定されていたのです。
経団連が「新卒一括採用」の見直しを公表していますが、無視したところで罰則はありません。だから、毎年、青田買いが行われます。内々定は解禁前に出されています。何らかの罰則や規制をかけないことには、変わるとは到底考えられないのです。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
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