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我慢比べ全敗、娘と包囲網作りたい…夫の「ちょい残し」に怒り、あきれる妻たち

麦茶やトイレットペーパー、歯磨き粉など、少ししか残っていないのに“ちょい残し”して交換しない夫がいます。ちょい残し夫の実態とイライラしている妻とのバトルを取り上げます。

ちょい残し夫の実態とは…?
ちょい残し夫の実態とは…?

 ティーパックで作った家庭用の麦茶がなくなりそうなとき、わざと少し残して、冷蔵庫に戻す夫が世の中にはいるようです。飲み切って、新しい麦茶を作ればよいだけなのですが、その作る手間が面倒で作ろうとしません。麦茶に限らず、トイレットペーパーや歯磨き粉など、交換が必要になるものはしばしば、夫の“ちょい残し”が行われているとも聞きます。

 ちょい残し夫の実態と、その実態にイライラしている妻とのバトルを取り上げます。

「卑劣で幼稚な最低の行為」

 ちょい残し夫を持つAさん(40歳、女性)は結婚生活10年を経て、やや達観した境地に到達したようです。

「トイレットペーパーやコンタクトの洗浄液など、家族で共用し、交換が必要な生活用品はすべて、ちょい残しされます。生活用品以外でも、みそ汁やカレーなど、鍋に入っている食べ物を夫が自分でよそうときにも必ず、鍋に少し残します。家事分担で夫が食器洗いの当番になっていても、手間がかかる鍋を洗わなくて済むようにです。夫のちょい残しにはすっかり慣れていますが、よくよく考えるとムカついてきますね」(Aさん)

 こうした夫に対して、Aさんのようにおおむね許容の姿勢を見せる人もいれば、強い怒りを燃やす人もいます。結婚7年目になるBさん(33歳、女性)は「(ちょい残しは)卑劣で幼稚な最低の行為」と話します。

「夫婦に限らず、人は支え合って生きていくものだと思うのですが、ちょい残しは相手に対する一方的な甘えです。さらに腹立たしいのは、夫が『私に甘えている』という自覚がないことです。これまでに何度も注意しましたが直らなかったので、きっと、一生このままなのだろうと思います。

唯一の救いは、5歳の娘が私の夫に対するストレスをだいぶ理解してくれるようになったことです。このままの調子で娘が成長してくれれば、将来は“夫包囲網”が作れるのではないかと期待しています」(Bさん)

詰め替え袋から直接使う夫

 結婚5年目のCさん(38歳、女性)はこれまで、夫のちょい残しと激しい戦いを繰り広げてきました。

「夫はちょい残しがひどいですが、むしろ、“交換しない”という方が私としてはしっくりきます。例えば、シャンプーがなくなりそうでも詰め替えをしないので、『空になったら詰め替えてほしい』というメッセージを込め、詰め替え袋を風呂場に置いておきました。すると、夫は詰め替え袋を開けて、そこから直接使っていたのです。

また、ごみ箱が満杯でも、かたくなにごみ袋を交換しようとしませんでした。『いつかは交換してくれるだろう』という夫の他人任せの姿勢が嫌で、意地になってそのままにしていたのですが、満杯になったごみ袋に夫がさらにごみを詰めて、袋が裂けたことがあり、それ以降は『裂ける前に私が交換しなければ』と思うようになりました」(Cさん)

 こうした「どちらが交換するかの我慢比べ」というような静かな対決は幾度となくあったようです。そして、その対決について、Cさんは「全敗です」と話します。

「リモコンの電池がなくなると、テレビの場合はテレビ本体で操作、エアコンの場合は別の部屋にある同種のリモコンを持ってきて操作していました。部屋の電球が切れたときは、夫はスマホのライトを使ってしのいでいました。『何が何でも絶対に自分が交換しない』という夫のかたくなな信念には『とてもかなわない』とお手上げで、結局はすべて、私が交換していました」

 しかし、そんな夫でも俊敏に動く瞬間があるそうです。

「高級チョコレートなどのお菓子の贈り物は箱の中に結構な量が残っていても、ふとした隙に全部平らげられ、しかも、箱はどこかへ処分されたようで跡形もなく、完璧な証拠隠滅が行われます。これをやられると、ちょい残しをされたのと同じような感覚になります」

 ちょい残しと、贈り物のお菓子証拠隠滅は「夫のセコさに触れた」という点が共通しているのでしょう。

ちょい残しは妻への甘え

 ちょい残し夫である本人はどう考えているのでしょうか。「確かにちょい残しをしているかも」と恥ずかしそうに話すDさん(33歳、男性)。結婚4年目にして、自身の夫婦生活を振り返っているようです。

「確かに、開き直って堂々と『別にいいでしょ』と言えるような格好いいことではないですね。麦茶の他にティッシュも残り少なかったりすると、それは使わずに他の部屋のティッシュを使うことがあります。思い出せるのはこれくらいですが、他にもちょい残しをしているかもしれません」(Dさん)

 ちょい残しをする理由はあるのでしょうか。

「妻の在宅時間の方が圧倒的に長く、家事は主に妻にやってもらい、私は手伝うという形になっています。もちろん、私も麦茶を作ることはありますが、仕事で忙しいときは『飲み切らずにちょっと残して、妻に作ってもらおう』とつい甘えてしまうことがあります。妻から何か言われたことはありませんが、気を付けないといけませんね」

 ちょい残しと言うと、いかにも取るに足りないことのようですが、これが日々積み重なると、妻側のストレスは相当なものになります。ちょい残しに端を発して、離婚に至るケースすらあります。

 逆に考えると、麦茶をちょっと作るだけで妻に感心されたり、妻を喜ばせたりできるかもしれません。夫婦の形は円満だけが正解ではありませんが、ネガティブな要素はなるべく排除しつつ、ポジティブを増やして、健やかな毎日を手にしたいところです。

(フリーライター 武藤弘樹)

武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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