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侍ジャパンは必要か? 五輪にペナント主力を参加させる超違和感!

東京五輪の野球日本代表内定選手24人が発表されましたが、ペナント中、消滅する競技に主力を参加させる意義が見いだせないと、筆者は考えます。

東京五輪に臨む野球日本代表メンバーを発表した稲葉篤紀監督(2021年6月、時事)
東京五輪に臨む野球日本代表メンバーを発表した稲葉篤紀監督(2021年6月、時事)

 6月16日、東京五輪の野球日本代表の内定選手24人が発表されました。ことさらに「侍ジャパン」を連呼する日本ですが、以前から違和感を覚えていました。江戸時代の身分別の人口割合は農民85%、武士7%、町人5%、公家・神官・僧侶1.5%、その他1.5%です。なんと、人口の85%が農民です。

 農民中心の社会ですから、「農民ジャパン」と表現する方が正解でしょう。また、侍は武士の中でも主君(皇族や貴族)に仕える者を指します。武士は武器を持ち、武力を行使する者の総称です。勇ましい、たけだけしいを意味したいなら、「武士(もののふ)ジャパン」の方がふさわしいと思います。

今回で見納めになる侍ジャパン

 しかし残念ながら、野球は国際的に人気がありません。次のパリ五輪では実施されませんし、東京五輪においても追加競技の位置付けに過ぎません。外れることは既定路線で、欧州諸国での支持を取り付けない限り、存続させることは難しかったのです。

 ここで系譜をたどってみます。野球は1992年バルセロナ五輪から正式競技となりましたが、当時はアマのみの参加でした。プロの参加が正式に認められたのは1998年からです。同年開催されたバンコクアジア競技大会にはオールアマで挑み、韓国に敗退、準優勝に終わります。

 1999年のシドニー五輪予選では、プロアマ混成チームで予選を突破するも、再び韓国に敗退。2000年シドニー五輪本選も、3位決定戦で韓国に敗れます。2003年のアテネ五輪アジア予選はオールプロの日本代表チームが結成されましたが、準決勝でオールアマのオーストラリアに敗れます。2008年北京五輪では、3位決定戦で米国に敗れ、メダル獲得には至りませんでした。

 過去の五輪を見ても、芳しい結果を残していない「侍ジャパン」。今回はオーストラリア、台湾、中国が五輪最終予選を辞退しています。野球の本場、米国はトップ選手が出場しないので五輪野球は話題にすらなりません。

 日本でも、思ったほど話題になっているようには思えません。ペナントが始まっているにもかかわらず、消滅する競技に主力を参加させる意義が見いだせないのです。

侍ジャパン選出はペナントに不利

 ここでは、選出された24人の年俸順(球団順)に並べてみました(成績は6月22日時点)。総年俸1位は楽天です。田中は2勝4敗、浅村は打率9位、打点14位、出塁率2位の成績です。

 2位は巨人です。菅野は2勝4敗で規定投球回数未満、坂本も規定打席数未満です。中川は32試合に登板し、17ホールドの成績を挙げ、4位の好成績を残しています。

 3位はソフトバンクです。柳田は本調子でないとはいえ、球界最高のスラッガーです。打率10位、本塁打2位、打点6位の成績を残しています。甲斐は正捕手として、12球団最少失点の投手陣をリードしています。栗原も打率8位、本塁打10位の成績です。柳田の穴をどのようにしていくかが課題になりそうです。

 4位は広島です。4選手と全球団で最も多い選出となりました。鈴木は出塁率4位、菊池は打率4位の好成績です。さらに、森下の防御率2.50は4位、奪三振率も4位、栗林の14セーブは2位です。広島から選出された選手は安定的な成績を残しています。今回、最も影響があるのは広島と考えられます。

 5位はヤクルトです。山田は本塁打3位、出塁率9位の成績です。村上は本塁打両リーグ1位、打点2位、出塁率2位の好成績です。山田と村上はヤクルトの3番、4番であることから、影響は大きいものになるでしょう。

 6位はオリックスです。現在パ・リーグ1位ですが、吉田は打率1位、本塁打5位、打点5位、出塁率1位の好成績です。山本に至っては防御率1位、勝利数1位、奪三振1位の投手3冠です。首位をけん引する2人の不在は大きな影響をもたらす可能性があります。

 中日、DeNA、阪神、日ハム、西武に関しては、ソフトバンク、広島、ヤクルト、オリックスほどの影響はないと思われます。ロッテに至っては選出されていませんので、巻き返すチャンスが到来したと考えることができます。阪神は岩崎、青柳の穴をうまくコントロールできれば首位固めに拍車がかかりそうです。

<総年俸順>
1位 楽天14億円(田中9億円+浅村5億円)
2位 巨人13億7500万円(菅野8億円+坂本5億円+中川7500万円)
3位 ソフトバンク8億1900万円(柳田6億1000万円+甲斐1億6500万円+栗原4400万円)
4位 広島6億6900万円(鈴木3億1000万円+菊池3億円+森下4300万円+栗林1600万円)
5位 ヤクルト6億円(山田5億円+村上1億円)
6位 オリックス4億3000万円(吉田2億8000万円+山本1億5000万円)
7位 中日3億円(大野3億円)
8位 DeNA2億8000万円(山崎2億8000万円)
9位 阪神2億5500万円(岩崎9500万円+青柳5000万円+梅野1億1000万円)
10位 日ハム1億9500万円(近藤1億9500万円)
11位 西武1億9200万円(源田1億5000万円+平良4200万円)

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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