「面倒」「無視していい?」などの声 「国勢調査」スルーやうそ、ペナルティーは?
日本に住むすべての人を対象にした「国勢調査」が行われています。「面倒くさい」という人もいるようですが、もし、回答しなかったり、うそをついたりしたら、どうなるのでしょうか。
5年に1度、日本に住むすべての人を対象に世帯構成や住居の種類、職業などを聞く「国勢調査」の調査票(紙)による回答が10月1日に始まりました。インターネットでも回答でき、9月14日から、オンラインで始まっていますが、SNS上では「面倒くさい」「無視していいよね?」「うそを書いたらどうなるの?」などの声が上がっています。調査の意義や、もし、回答しなかったり、うそを書いたりしたらどうなるのか、総務省統計局国勢統計課の担当者に聞きました。
2020年は実施100年の節目
Q.国勢調査の意義を教えてください。
担当者「国勢調査はわが国の人口・世帯の実態を明らかにすることを目的として行う、国の最も重要な統計調査で、日本国内に住んでいるすべての人・世帯を対象として、5年ごとに行っています。2020年の調査は大正9年(1920年)を第1回として21回目に当たり、実施100年の節目を迎えます。
国勢調査では、10月1日現在、日本国内に普段住んでいるすべての人について普段住んでいる場所で調査します。このため、日本に住んでいる外国人も調査の対象になります。国勢調査から得られるさまざまな統計は、国や地方公共団体における福祉施策や生活環境整備、災害対策など、さまざまな施策を立案するための基礎資料として用いられることはもとより、国民の共有財産として、研究・教育活動、経済活動などの幅広い分野で利用されます」
Q.「住民基本台帳」で人口は確認できないのでしょうか。
担当者「住民基本台帳からも、人口の様子をある程度捉えることができます。しかし、住民基本台帳は例えば、住居を移してもすぐに届け出なかったり、住民登録を残したまま、1人住まいで大学に通っている場合や単身赴任している場合があったりするなど、届け出の状況が人によってさまざまです。
また、住民基本台帳には氏名、生年月日、性別という限られた情報しかなく、産業別・職業別の就業者数、昼間の人口と夜間の人口の違いなど、国勢調査で把握できる人口のさまざまな実態に関する統計情報を得ることはできません。
地域の振興計画や街づくり、福祉対策など各種の行政施策の基礎資料としては、男女・年齢別などの基本事項と組み合わせた就業の状況や従業地・通学地の状況など、さまざまな統計を必要とするため、国勢調査を行う必要があるのです」
Q.「マイナンバー」が全国民に振られているはずですが、それで代替、もしくは活用できないのでしょうか。
担当者「マイナンバーは、法律で定められた範囲以外での利用・提供が禁止されています。当面、社会保障・税・災害対策の行政手続きに限り利用が認められていますので、国勢調査で利用することができません。
また、たとえ、マイナンバーの情報が使用できたとしても、国勢調査で必要となっている項目全てを把握することはできません。なお、マイナンバーは住民基本台帳の登録地をベースとしたものであり、居住の実態を調べる国勢調査とは異なっています」
Q.調査を無視したり、拒否したりするとどうなるのですか。
担当者「国勢調査は統計法に基づき、報告義務のある基幹統計調査として実施しています。統計法には、基幹統計調査の報告を拒み、または虚偽の報告をした者に対し罰則の規定があり、同法61条で『50万円以下の罰金』と定められています」
Q.調査に対し、うその内容を回答した場合、例えば、独身なのに架空の妻子の名前を書いた、あるいは無職と知られたくなくて架空の会社名を書いた、勤め先として実際には勤めていない大企業名を書いたなどをすると、ペナルティーがあるのでしょうか。
担当者「先述した通り、統計法には、基幹統計調査の報告を拒み、または虚偽の報告をした者に対する罰則の規定があります。報告いただいた内容全ての真偽を確認することは困難ですが、正確な回答が得られないと、作成される統計が不正確なものとなってしまいます。皆さんを対象とした、福祉施策などさまざまな政策に影響が出る可能性があります」
Q.調査拒否や虚偽報告で罰を受けた例はありますか。
担当者「過去の国勢調査において、個々の回答者が調査拒否や虚偽報告によって罰則を適用された例はありません。しかし、地方自治体が人口を水増しして、町の幹部が統計法違反で罰則を適用された事例はあります」
コメント