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感染した方が得? 新宿区の見舞金10万円支給、ネット上で否定的意見も…区の見解は?

新宿区が新型コロナウイルスの感染者に対し、見舞金として10万円を支給することを決めました。経緯を区に聞きました。

新宿区が見舞金10万円を支給へ
新宿区が見舞金10万円を支給へ

 東京都内で新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にある中、新宿区は感染者に対し、見舞金として10万円を支給することを決めました。同区の感染者は1179人(7月13日時点)と都内市区町村の中で最も多くなっていますが、見舞金支給についてネット上では「わざと感染する人が出てきそう」「医療従事者向けに使えばいいのに」「感染した方が得をするのか」といった否定的な意見が目立ちます。

 なぜ、見舞金を支給するのか、新宿区健康部健康政策課の担当者に聞きました。

医療従事者らへの支援を想定

Q.なぜ、新型コロナウイルスの感染者に対し、10万円を支給するのでしょうか。

担当者「もともとは、区内在住の医療従事者や、高齢者施設や障害者施設などの社会福祉施設で働く人に対する経済的な支援を想定して始めました。区内には複数の大学病院を含め多くの医療機関があり、医療従事者が新型コロナウイルスへの対応に尽力しているほか、福祉関係者は施設利用者が新型コロナウイルスに感染しないよう、注意しながら業務を続けています。

こうした人たちは、自身も常に感染リスクにさらされており、感染によっていつ生活が困窮してもおかしくない状況に置かれているといえます。そこで、見舞金を通じて少しでもお役に立ちたいと考えました。もちろん、医療従事者や福祉関係者以外の人にも見舞金を支給します」

Q.見舞金が支給される条件は。7月以前に感染した人は支給の対象外となるのでしょうか。

担当者「新型コロナウイルスに感染し、『新型コロナウイルス感染症発生届』が医療機関から保健所に届けられている上で、(1)東京都に緊急事態宣言が発令された2020年4月7日時点で新宿区に住民登録がある(2)同年4月21日までに住民基本台帳に記録する届け出がなされている(3)発生届の届け出日に住民基本台帳に記録されている――の3つの条件をすべて満たす必要があります。

なお、1月27日以降に感染した人が対象で、軽症や無症状であっても支給されます」

Q.見舞金が支給されるまでの手続きはどのようにして行われるのでしょうか。

担当者「先述の新型コロナウイルス感染症発生届を基に保健所が感染者の情報を取りまとめており、7月中にも区から対象者に見舞金の申請書を送る予定です。

ただし、新宿区以外の医療機関で陽性判定が出た場合、新宿区内の保健所に情報が通知されないため申請書が送られません。そのため、区外の医療機関で感染が判明した区民は当課の『見舞金担当』まで一度問い合わせる必要があります。見舞金の給付は8月以降を予定しています」

Q.見舞金の支給人数は制限しているのでしょうか。

担当者「1000人に給付することを想定し1億円の予算を組んでいます。今後、支給人数を増やすかどうかは未定です」

Q.ネット上では「わざと感染する人が出てきそう」「感染した方が得をするのか」「見舞金として使うお金を医療従事者に配るべき」などの意見も目立ちます。その点についてはどのように考えているのでしょうか。

担当者「わざと感染するなど、モラルの問題については特に想定していませんでした。ただ、新型コロナウイルスに感染すると、入院や隔離などで日常生活に支障が出る上、重症化するリスクもあるほか、家族や知人に感染させる可能性もあります。そのため、10万円を得るためにわざと感染しようと考える人はあまりいないのではないでしょうか。

また、4月7日時点で新宿区に住民登録がないと支給の対象とならないため、見舞金の制度を悪用して得をするのは困難だと思います。なお、医療従事者に対しては、先ほども申し上げたように、この見舞金を通じて支援していきたいと考えております」

(オトナンサー編集部)

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