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車でコンビニ駐車場通り抜け、再び道路へ…危険な「コンビニワープ」に「ひかれそうになった」 “違法”じゃないの?【弁護士解説】

車を運転中、交差点の左側にあるコンビニの駐車場を通り抜けて再び道路に出る行為は「コンビニワープ」といわれていますが、この場合、法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。弁護士に聞きました。

車でコンビニの駐車場を通り抜ける「コンビニワープ」は違法?(画像はイメージ)
車でコンビニの駐車場を通り抜ける「コンビニワープ」は違法?(画像はイメージ)

 車を運転中、交差点の角に広い駐車場があるコンビニエンスストアを見掛けたことはありませんか。車で交差点を左折しようとする人の中には赤信号の際、信号待ちを避けるため、左側のコンビニの駐車場を通り抜けて再び道路に出る人もいますが、こうした行為は「コンビニワープ」と呼ばれ、危険とされています。SNS上では「コンビニワープは危険で迷惑なだけ」「コンビニワープの車にひかれそうになった」「コンビニワープは危険で迷惑だからマジでやめてほしい」などの声が上がっています。

 もし車でコンビニワープをした場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

駐車場で人身事故を起こした場合は罪が重くなる可能性も

Q.交差点での信号待ちの時間を短縮するため、車の運転時、交差点の角のコンビニの駐車場を通り抜け、再び道路に出る車を見掛けることがあります。こうした行為は「コンビニワープ」といわれていますが、法的に問題はないのでしょうか。

牧野さん「状況によっては、法的責任を科される可能性があります。そもそも、道路交通法17条2項では『車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない』と定められています。

時間短縮のため駐車場を入る際、歩道の直前で一時停止を怠った場合、同法17条2項で定められている一時停止に違反する形となるため、違反点数が2点加算され、普通自動車だと7000円の反則金が科せられる可能性があります。もし反則金を納めなかった場合、3カ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金を科される可能性があります。

次に、コンビニの駐車場は私有地で公道ではありませんが、過去の裁判例で、不特定多数の人や車両が自由に通行する場所であれば『道路』とみなされるため、道路交通法が適用される可能性があります。

道路交通法70条では『車両の運転者は他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない』という安全運転の義務が定められています。そのため、もしコンビニワープ中に駐車場内の歩行者に危険を及ぼすような速度で進行した場合、道路交通法70条の安全運転義務違反に該当する可能性があります。安全運転義務違反の場合、違反点数が2点加算され、普通自動車だと9000円の反則金が科せられる可能性があります。

コンビニに隣接する駐車場も『建造物』に含まれ、施設の利用など正当な理由がある場合にのみ駐車場への進入が許可されていると考えられるため、コンビニワープをすると、刑法130条の建造物侵入罪に該当し、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に問われる可能性もあります。

もしコンビニが『コンビニ利用者以外の駐車場利用はお断り』と看板で警告していた場合、建造物侵入罪が成立する可能性が高くなるため、注意してください」

Q.ではコンビニワープを実行中、人身事故を起こした場合、法的責任が重くなる可能性はありますか。

牧野さん「車でコンビニワープ中に人身事故を起こした場合、自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)5条で定められている過失運転致死傷罪に該当する可能性があるほか、民事上の損害賠償責任が生じて、その過失割合が高く認定される可能性があります。過失運転致死傷罪の刑罰は7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です」

Q.ちなみに、コンビニの店長やコンビニの運営会社などが車のコンビニワープを防ぎたい場合、どのような対策が必要なのでしょうか。

牧野さん「コンビニの経営者側がコンビニワープを防止するためには、例えば、『コンビニ利用者以外の利用お断り』『通り抜け禁止』の看板を駐車場出入り口に掲示したり、ポールや縁石で駐車場内を区切り、物理的に通り抜けできなくしたりするなどの対策を講じる必要があるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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