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住宅から道路にはみ出た車に「マジで迷惑」…自宅敷地からの“はみ出し駐車”で拘禁刑の可能性?【弁護士解説】

自宅敷地から道路にはみ出すような形で車を長時間止めた場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

自宅の敷地からはみ出した状態で車を長時間止めるとどうなる?(画像はイメージ)
自宅の敷地からはみ出した状態で車を長時間止めるとどうなる?(画像はイメージ)

 住宅街を歩いていると、住宅の敷地や駐車場からはみ出した状態で車が止められているのを見掛けることがあります。こうした状況について、SNS上では「道路にはみ出して駐車はマジで迷惑」「自宅の駐車場に収まり切らないほど大きい車を道路にはみ出した状態で駐車している人が多い」「いつも道路にはみ出して駐車している車があるけど、違法じゃないのかな」という内容の声が上がっています。

 自宅の敷地や駐車場から道路にはみ出す形で長時間車を止めた場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

3カ月以下の拘禁刑が科される可能性

Q.そもそも、公道や私有地を占拠するような行為を実行した場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「公道での占拠行為により通行を妨害したり、交通の危険を生じさせたりした場合、道路交通法違反となり、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金がそれぞれ科せられる可能性があります。道路の真ん中に車を止めて、他の車の進行を妨げる行為が該当するのではないでしょうか。

民事では、公道や私有地の占拠によって、他人に損害を与えた場合、不法行為としてその損害賠償責任を負う可能性があります」

Q.車を止める際のルールについて、法律で定められているのでしょうか。

牧野さん「道路交通法47条2項は車の正しい駐車方法について規定しており『車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない』としています。歩道や路側帯に車がはみ出して通行の妨げになっていれば、誤った駐車方法として同法違反に当たる可能性もあります。その場合、15万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、道路交通法44条1項では『交差点の側端または道路の曲がり角から5メートル以内の部分』を駐停車禁止場所に指定しているため、車が交差点や道路の曲がり角にはみ出していれば、『駐停車禁止違反』に当たり、この場合も15万円以下の罰金が科される可能性があります。他に道路交通法の駐停車違反と判断された場合は、反則金が科せられる場合があるため、注意が必要です」

Q.住宅街を歩いていると、住宅の駐車場から道路にはみ出す形で車が止められているのをよく見掛けます。自宅の敷地から道路にはみ出すような形で長時間車を止めた場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「具体的に『自分が所有する敷地や管理する敷地から何センチはみ出すと違法』という明確な法規定はありませんが、道路にはみ出している時点で、厳密には法律に抵触する可能性があります。

例えば、保管場所に違反して、車が道路に大きくはみ出す形で12時間以上駐車もしくは夜間に道路上に8時間以上駐車している場合は交通事故の原因になるため、『自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)』に違反する可能性があります。

車庫法11条1項では『何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない』と定められており、『自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為』や『自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為』をしてはならないという記載があります。

車が道路に大きくはみ出す形で長時間駐車をすると、道路を保管場所として使用したとされる可能性があり、車庫法違反で3カ月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が科せられる可能性があります」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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