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瀬下寛之監督、ゴジラに「守護神のような存在感を感じる」

映画「GODZILLA 怪獣惑星」から11月9日公開の「GODZILLA 星を喰う者」まで監督を務めた瀬下寛之監督にインタビュー。三部作を作り上げた感想などを聞きました。

瀬下寛之監督
瀬下寛之監督

 ゴジラ初の3DCGアニメーション映画「GODZILLA 怪獣惑星」から、11月9日に公開となる「GODZILLA 星を喰う者」まで監督を務めた瀬下寛之監督。「GODZILLA 星を喰う者」は、ゴジラ・アースを打ち倒す者がいなくなった地球にギドラが現れ、ゴジラと戦いを繰り広げる、アニメで描かれたゴジラの最終章です。

 オトナンサー編集部では、瀬下監督にインタビューを実施。三部作を作り上げた感想や収録現場の雰囲気、ゴジラの魅力などを聞きました。

このままの勢いで続けたいくらい

Q.三部作が完成した率直なお気持ちは。

瀬下監督(以下敬称略)「4年余りを費やし、僕も静野(孔文)監督も虚淵(玄)さんも、やっと完成できたという感無量と共に、僕個人としては少し寂しい気持ちです。すでにこの物語に対して離れがたい愛着があって、世界観設定的にはスピンオフも作ることができるので、このままの勢いで続けたいくらいです(笑)」

Q.ギドラのデザインのアイデアはどのように出されたのですか。

瀬下「オリジナルのギドラから離れすぎず、印象を残しながら、これまでとは違ったものにできるかということがテーマです。そしてストーリー上は、次元を超えてマルチバースをまたいで移動することができる、とてつもなく超越した存在です。どこかの宇宙のどこかの星の、どこかの生物が何億年もかけて進化したかもしれないという想定でした」

Q.4年余りというお話ですが、思い描いた通りになりましたか。

瀬下「ストーリーの骨格は、虚淵さんの原案という高い強度を持っていましたが、肉付け、デコレーションの部分には紆余曲折が多々ありました。実際に三部作を振り返って、結果的な良し悪しというより、物語の描き方にまだまだ多くの選択肢があったと思います。静野さんとは今でも頻繁に『こういうのも面白いはず』と話しています」

Q.ゴジラとギドラの戦いの中、ハルオやメトフィエスの戦いも繰り広げられますが、この構図も最初から考えていたのですか。

瀬下「基本的にはそうです。今回は人型の種族が4種族出てきますが、全ての種族に悪は出てきません。手法の違いはあれど、それぞれの正義、それぞれの愛、それぞれの誠意を尽くしていて、皆ハルオとともに戦い、ハルオとともにゴジラを倒したいと純粋に思っています。メトフィエスのハルオに対する愛情の強さはひときわですが、彼の振る舞いも同様です」

Q.最終章全体で一番気をつけたことは。

瀬下「全章で一貫していることですが、ハルオの葛藤、ハルオのドラマであることをとにかく主軸に置くことです。全ての出来事、ゴジラとギドラの戦いも、ハルオの内的葛藤の象徴と言っても過言ではないかと思います。その大前提の上で、ゴジラとギドラの戦いによってハルオのドラマが食われないように注意しました」

Q.ゴジラ映画の思い出はありますか。

瀬下「『ゴジラVSメカゴジラ』を子どもの頃に見てすごく興奮しました。あと記憶にないのですが3~4歳の頃に『ゴジラVSヘドラ』を見て、僕は泣き叫んだと親から聞きました。大人になって改めて見ると、『そりゃ泣くわ』と思いました。レイティングって大事ですよね(笑)」

Q.これまでに登場した怪獣で、一番好きな怪獣を教えてください。

瀬下「メカゴジラですかね。メカゴジラとキングギドラが好きです。やはり、子どもの頃に見たことが大きな理由でしょうか。個人的に、メカゴジラはゴジラよりも強い感じがします。キングシーサーとゴジラに挟まれて戦っているとき、メカゴジラの首が回ります。あれは小学校の頃に見て大ショックで『これは強い』と思いました(笑)」

Q.ゴジラの一番の魅力は何だと思いますか。

瀬下「難しいですね。あえて言うなら、僕にとって、ゴジラは守護神のような存在です。街を破壊し、人類を滅ぼすというよりは、守護神のような存在感を感じます。人間というより地球そのもの守護神のような。地球の全生命圏を守ることが最優先で、人類は二の次かも知れませんね(笑)」

 映画「GODZILLA 星を喰う者」は11月9日から全国公開。

(オトナンサー編集部)

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