オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

ノロウイルスが“季節外れ”の流行 スマホも要因か 医師が教える感染対策の基本&NG行為

症状が下痢のみの場合も要注意?

Q.ちなみに、吐き気や嘔吐、腹痛、発熱の症状がなく、下痢のみの症状が続く場合もノロウイルスの感染の可能性を疑った方がよいのでしょうか。

鈴木さん「下痢だけが続く場合でも、ノロウイルス感染の可能性は十分に考えられます。ノロウイルスによる症状は個人差が大きく、嘔吐や発熱を伴わず、下痢のみの症状で終わるケースも珍しくありません。

また、ノロウイルスは非常に感染力が強いため、『軽症だから感染ではない』と判断してしまうと、周囲への感染リスクが高まります。そのため、たとえ下痢のみであっても、特に冬季から春先にかけてはノロウイルス感染の可能性を念頭に、感染予防対策を行った方が安全です」

Q.ノロウイルスはアルコール消毒液が効かないという話を聞きますが、本当なのでしょうか。ノロウイルスの感染予防対策も含めて、教えてください。

鈴木さん「本当です。一般的に使われるアルコール消毒液は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど『エンベロープ(脂質の膜)』を持つウイルスに対して非常に有効ですが、ノロウイルスはエンベロープを持たない『ノンエンベロープウイルス』であるため、アルコールの消毒効果が弱くなります。

ノロウイルスの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒剤が効果的です。例えば、家庭用の塩素系漂白剤を薄めて使用することでノロウイルスを効果的に除去できます。

例えば、嘔吐物や便を処理する際は家庭用漂白剤を50倍希釈して0.1%濃度にしたものを、ドアノブや手すりなどの消毒には家庭用漂白剤を250倍希釈して0.02%濃度にしたものをそれぞれ使ってください。消毒の際は換気を良くし、手袋を着用するなど、安全に行いましょう。ノロウイルスの感染を防ぐには、次の対策が効果的です」

・食事前やトイレの後は、石鹸を使って流水で手をよく洗う。

・カキなどの貝類を調理する場合は、85度以上で1分以上しっかり加熱する。

・感染者の吐物や便を処理する際は、必ず使い捨て手袋とマスクを着用し、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)で適切に消毒する。

 日常生活の中で予防意識を高めることで、ノロウイルスの感染リスクを大きく減らすことができます。

(オトナンサー編集部)

【要注意】命の危険も! これが「ノロウイルス」とみられる症状が出たときに受診すべきケースです(画像12枚)

画像ギャラリー

1 2

鈴木隆二(すずき・りゅうじ)

筑波胃腸病院理事長、消化器外科専門医

聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、筑波胃腸病院理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、茨城ヘルニア研究会世話人、麻酔科標榜医、産業医、難病指定医。筑波胃腸病院(https://www.tsukubaichou.com/)。

コメント