猫が「こたつの中で過ごす」→実は危険! 獣医師が警鐘を鳴らす“明確な理由”があった
人間のみならず、猫にとっても魅力的な「こたつ」。一方で、猫がこたつで過ごすことにはさまざまな危険も……飼い主はどのようなことに注意すべきなのか、獣医師が解説します。
自宅の「こたつ」に入って暖まる――。毎冬、そんな時間が至福という人は多いことでしょう。どうやらこたつは猫にとっても魅力的な場所のようで、SNSなどでは人間用のこたつから顔やしっぽを出したり、こたつの中で丸くなって眠ったりしている猫たちのかわいらしい姿が多数投稿されています。しかし一方で、猫のそうした様子について「ちょっと心配」「普通に危ないと思う」「こたつの中にずっといるのは危険なのでは…」など、こたつ内部で猫が過ごすことに対する懸念の声も少なくありません。
「猫がこたつの中で過ごす」のは実際に危険なのか……ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんは「危険が全くないとはいえない」と警鐘を鳴らします。実際にどのような危険があるのか、詳しく教えていただきました。
肉眼では症状に気付けないことも
そもそも、なぜ猫は「こたつ」を好むのか――。その理由はいくつか存在します。
一つは「単純に暖かいから」です。猫は俊敏な動きをする一方で、それ以外のときは体を休ませています。体温を維持するためにはエネルギーを消費する必要がありますが、体を休めているときは筋肉から作り出される熱が減少します。そのため、暖を取ることになるのです。
もう一つは、「狭いところを好む習性があるため」です。猫が段ボール箱にすっぽり入る様子などがよく見られますが、これはそうした習性によるものです。こたつの中は周囲から隔絶された空間なので、猫にとって「暖かく」「安心できる」場所となっているのでしょう。
しかし一方で、猫がこたつの中で過ごしたり、眠ったりすることに、「大丈夫なの?」「危ないのでは?」と心配する人もいると思います。結論から言いますと、危険が全くないとはいえません。
こたつには熱源がありますが、昔ながらの練炭を使った掘りごたつの場合、やけどや一酸化炭素中毒の恐れがあります。
一般家庭にある電気ごたつの場合は、長時間こたつの中にいることによる低温やけど、脱水症状、また、それが進んだ場合には熱中症になる可能性もあります。そのため、こたつ内部が暑過ぎる状態は、猫にとって有害な環境となる可能性を含んでいることを念頭に置いておく必要があるといえるでしょう。
このようなリスクは、猫が長時間こたつの中にいることによって生じ得ます。猫の様子がいつもと異なるような状況であれば、動物病院に連絡し、必要に応じて診察を受けましょう。
軽微な低温やけどの場合、肉眼では症状に気付けないことがあります。また、飲水量の少ない猫にとって、脱水症状による体への影響はかなり大きいものです。「水分を取ることができるか」「吐き気や下痢などがないか」を確認しておきましょう。
また、幼齢あるいは高齢、さらに持病がある猫の場合は体にかかる負担が大きく、重症化する懸念があるので、こたつの中を含め、家庭内で猫がどこにいるのかを小まめに確認しておいてください。
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