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「食欲の秋」といわれるのはなぜ? “食べ過ぎ”防ぐには? 医師が解説

体重増加の原因となる食べ物は?

Q.秋に旬を迎える食べ物のうち、体重増加の原因となる食べ物について、教えてください。

石田さん「『食欲の秋』と言われるほど、秋は食欲をそそる食材が多く、中でも果物がおいしい季節です。果物には砂糖の1.15~1.73倍の甘みを感じるといわれる『果糖(フルクトース)』が含まれています。そのため、果物は『血糖値が急上昇しやすいため、太る』とよくイメージされますが、正しくは、『果物は食べ過ぎれば太る』です。

果物は確かに甘い糖質を含みますが、血糖値の上昇が緩やかな『低GI食品』です。また、糖質以外に食物繊維やビタミンC、カリウム、ポリフェノール、食物酵素、ミネラルなどの栄養素を含みます。『適量』を心掛けていれば、美容と健康に有効な食材です。

ただし、果物を食べ過ぎると、糖質の過剰摂取により、中性脂肪の増大や肥満を招く恐れがあります。食べるタイミングは朝がお勧めです。

ダイエット中に果物を食べたい場合、一緒に摂取する白米などの炭水化物は控えめにすることがポイントです。中でも、ぶどうは100グラム当たり69キロカロリー、糖質は16.0グラムと多く、ダイエット中の食べ過ぎには注意しましょう。

秋は、おいしい野菜も多く収穫されます。秋野菜は夏野菜に比べて水分が少ないため、味が濃く甘みが強いのが特徴です。中でも代表的な芋やカボチャは糖質が多く、野菜の中でもカロリーが高い部類に入ります。秋野菜はとてもおいしく栄養価が高いですが、糖質の多い物は食べ過ぎに注意しましょう。

このほか、秋に旬を迎えるサンマやサケなどの魚は脂がのっており、通年で出回っているものと比べるとカロリーが高くなるため、食べ過ぎには注意しましょう。

一方、イワシなどの青魚に含まれる『EPA(エイコサペンタエン酸)』と『DHA(ドコサヘキサエン酸)』は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪を減らす働きがあるオメガ3系の『不飽和脂肪酸』に該当します。

EPAは、血液をサラサラにする効果があり、血栓や動脈硬化のリスクを下げることが期待できるほか、脳卒中や心筋梗塞などの予防にも効果的だとされています。DHAは脳の灰白質や網膜、神経中に存在しており、柔らかい細胞膜や複雑な神経細胞を形成するのに必要な栄養素です。さらに、EPAやDHAは、体の炎症やアレルギーを抑える働きもあります。旬の青魚はぜひ食卓に取り入れてほしいものです。

秋は運動の季節でもあり、食後に散歩やジョギングをすることで血糖値の上昇を抑える効果があります。血糖値をコントロールしながら、楽しい秋を過ごしましょう」

(オトナンサー編集部)

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石田清隆(いしだ・きよたか)

医師

肝臓学の専門医で、広島ステーションクリニック理事長。長年、基幹病院の一線でウイルス性肝炎、肝細胞がんの診療を行い、ウイルス性肝炎の経口剤治療、肝細胞がんのラジオ波焼灼療法やカテーテル治療の経験が多数ある。現在は、画像診断、栄養解析データをベースに脂肪肝、糖尿病などの生活習慣病に対して徹底的な栄養、運動指導を行い、薬に頼らない治療を目指している。2023年1月にアンチエイジングセンター「Milky Cloud Well-being Center」を開設。著書に「人生を好転させる2‐week鉄活」(幻冬舎)がある。広島ステーションクリニック(https://hs-clinic.jp/)。

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