「朝シャンは頭皮に悪い」は本当? 薄毛のリスクUP? 髪の正しい洗い方を美容師に聞く
「朝シャンは頭皮に悪い」という話を聞きますが、本当なのでしょうか。美容師に聞きました。

朝、シャンプーで髪を洗う行為は、「朝シャン」と呼ばれています。「前日の夜に疲れていて、入浴しないまま寝てしまった」「就寝時に汗をかいた」といった場合に、朝シャンをする人は多いと思います。「朝シャンは頭皮に悪い」という話を聞きますが、本当なのでしょうか。髪はどのように洗うのが望ましいのでしょうか。
美容皮膚科と一体化したトータルヘアサロン「ロナロナヘアサロン」(東京都港区)に所属する、美容師の佐藤誠治さんに聞きました。
頭皮に炎症が生じるリスク
Q.そもそも、髪は朝と夜、どちらの時間帯に洗うのが望ましいのでしょうか。
佐藤さん「仕事や学校の関係で朝に活動を始め、夜に活動を終えて就寝する人が多いと思います。その場合、夜に髪を洗うのが望ましいです。なぜなら、朝から夜まで活動する中で、毛髪や頭皮に汗やほこりなどの不純物が付着するからです。
例えば、汗は体温を下げる働きがあるので、頭皮に付着した汗を放置すると、頭皮の血流が悪くなる可能性があります。また、不純物は汚れに変化しますが、汚れを放置すると、雑菌が増えて頭皮に炎症が生じるリスクが上がるため、注意が必要です」
Q.「朝シャン」は頭皮に悪影響を与えるのでしょうか。
佐藤さん「『疲れて眠ってしまった』などの理由で、前日の夜にたまたま髪を洗えなかった場合、あまり神経質になる必要はありません。ただし、夜に髪を洗わないことが習慣化すると、前日に頭皮や毛髪に付着した不純物や汚れを放置する状態が続くため、望ましくありません。
また、スタイリング剤を付けたまま寝てしまうと、雑菌が増殖する恐れがあります。それにより頭皮が炎症を起こし、髪の毛が正常に育たなくなってしまった場合、薄毛の原因となります。
このほか、朝は時間に余裕がないことが多く、どうしても髪の洗い方が雑になってしまう傾向にあります。正しい方法で髪を洗わないことが習慣化した場合も、薄毛の原因となります。
これらのことから、朝シャンは、頭皮に悪影響を与える可能性があります。どうしても朝シャンをしたい場合、1週間に1~2回にとどめてください」
Q.正しい入浴方法や、髪の正しい洗い方について、教えてください。
佐藤さん「理想としては、夜に風呂を沸かし、10分から15分ほど湯船につかりましょう。お湯の温度は38度から41度がよいでしょう。長湯が苦手な人は、2回に分けて入浴するのがお勧めです。そうすることで、全身が温まり、血流が良くなるため、頭皮にもとてもよい影響を与えます。
シャンプーによる洗髪は、就寝前など時間に余裕のあるときがベストです。以下のような手順で行ってください」
(1)まず髪全体をシャワーで洗い流してください。これで、毛髪に付いた汗やほこりなどの汚れの7割から9割は落ちます。
(2)シャンプーを手のひらに出して泡立てます。その後、襟足から耳回り、頭頂部へ向かって力を入れずにマッサージをするような形で洗います。
スタイリング剤を付けている場合、そのままシャンプーを使うと泡立ちが悪くなるため、適切に髪を洗えません。そこで、髪全体にシャンプーを付けた後、すぐに洗い流し、再度シャンプーを使ってください。
(3)(2)は汚れを浮かせているだけの状態です。そこで、雑菌やスタイリング剤などが残らないようにしっかりとシャワーですすぎ洗いを行います。この作業が重要です。
(4)必要に応じて、トリートメントを付けます。
(5)風呂から上がった際は、タオルでしっかり水分を拭き取りましょう。冬場の乾燥や夏の紫外線による乾燥が気になる人は、頭皮用のローションで水分を補うとよいでしょう。
(6)髪が自然乾燥する前に、ドライヤーで乾かしてください。
シャンプーには『界面活性剤』という物質が入っており、中には洗浄力が強い製品もあります。そのため、シャンプーを使い過ぎると、頭皮に必要な水分や皮脂が失われるため、頭皮が乾燥し、炎症につながります。基本的に、スタイリング剤を洗い流す場合を除き、シャンプーは1日1回以上使用しないようにしましょう。
Q.就寝中に汗が出た場合、どうすればよいのでしょうか。寝癖がひどい場合はいかがでしょうか。
佐藤さん「汗を長時間放置すると汚れとなり、雑菌の餌となるため、臭いが生じるようになります。ただ、就寝中の頭皮の汗は、シャンプーを使わずにシャワーで洗い流すだけで十分落とせます。
寝癖は、35度から40度までのぬるま湯で頭皮と髪をしっかりぬらすと直ります。髪のパサつきが気になる場合は、トリートメントを少し足してみてください」
Q.毎日、シャンプーで髪を洗っているにもかかわらず、かゆみやフケが出ることがありますが、なぜなのでしょうか。症状に関する対処法も含めて、教えてください。
佐藤さん「シャンプーで髪を洗ったのにかゆみやフケの症状が出る人は、『洗い過ぎ』が習慣化しているかもしれません。かゆみやフケがあるからといって、必要以上にゴシゴシと洗ってはいないでしょうか。髪を洗うときは、頭皮に強い刺激を与えないようにしてください。
また、先述のように、シャンプーの中には、洗浄力が強い製品があります。例えば、夜に洗浄力が強いシャンプーを使って洗うと、一時的ですが、頭皮や毛髪は、水分、油分が非常に少なくなるため、バリアー機能がない状態となります。その後、水分や油分は一晩で戻るのですが、水分や油分が少ない状態が習慣化すると、サイクルのバランスが乱れて炎症を起こす場合があります。
特に朝シャンのときに洗浄力が強いシャンプーを使うと、季節によっては、外出時に頭皮が外気の刺激に敏感になり、かゆみなどの症状が出ることがあるので注意してください。
かゆみやフケがある人や、頭皮の炎症や抜け毛でお困りの人は、洗浄力を抑えたシャンプーを使ったり、洗い方や洗うタイミングを見直したりすると、改善できることがあります。
症状が強い場合は、先述の方法を実践するほかに、皮膚科を受診し、医師からアドバイスをもらうことをお勧めします。また、薄毛でお悩みの人は、AGA治療(薄毛を治療する飲み薬、注射薬治療)を行っているAGA専門クリニックを受診し、適切なアドバイスを受けましょう。
症状には、遺伝的要因があるともいわれていますが、頭皮の正しいケア方法を知ることや、症状が出た際に早めにケアすることが、健康な頭皮環境の維持につながります」
(オトナンサー編集部)
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