意外に知らない? 「百貨店」「デパート」「ショッピングセンター」の違い、専門家が解説
百貨店とデパート、ショッピングセンターは、何が違うのでしょうか。経営コンサルタントに聞きました。
休日に百貨店やデパート、ショッピングセンターで買い物をする人は多いと思います。これらの商業施設は、さまざまな専門店が集まっており、複数の商品を同時に購入したいときに便利です。
ところで、百貨店やデパート、ショッピングセンターは類似点が多く、違いがよく分からないことがあります。これらの商業施設は、何が違うのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。
百貨店とデパートは同じ意味
Q.百貨店とデパート、ショッピングセンターは、何が違うのでしょうか。
大庭さん「岩波書店が発行する国語辞典『広辞苑』によると、『デパート』は『department store(デパートメント・ストア)』の略語で、広い売り場面積を持ち、多くの種類の商品をジャンルごとに陳列して販売する大規模な総合小売店のことです。このデパートメント・ストアを日本語に訳したのが『百貨店』といわれています。百貨店とデパートは同義語だということになります。
経済産業省の商業動態統計調査では、百貨店は、『従業員50人以上で、売り場面積が特別区および政令指定都市で3000平方メートル以上、その他の地域で1500平方メートル以上の事業所』(スーパーに該当する事業所を除く)と定義されています。
一方、『ショッピングセンター』は、日本ショッピングセンター協会が定めた以下の定義に該当する商業施設のことを言います。下記の『キーテナント』は、施設内において、集客の中心的な役割を果たしている店舗を指します」
次の要件を満たす商業・サービス施設の集合体であること
(1)小売業の店舗面積が1500平方メートル以上であること
(2)キーテナントを除くテナントが10店舗以上あること
(3)キーテナントの面積が全体の面積の80%程度を超えないこと
(4)テナント会(商店会)などがあり、広告宣伝、共同催事などの共同活動を行っていること
(5)駐車場を兼ね備えていること
Q.百貨店とショッピングセンターは、それぞれどのような強みがあるのでしょうか。
大庭さん「百貨店やデパートの主な強みとして考えられるのは、以下の4点です」
(1)ターミナル駅の近くに建てられた施設が多く、アクセス面で利便性がよいこと
(2)販売商品のアイテム数が多いこと
(3)対面での丁寧な接客を行えること
(4)複数のブランドを比較しながら商品に触れつつ、買い物ができること
インターネット通販の普及前は、『公共交通機関で行きやすく、何でも手に入れられる』『ショッピングそのものを楽しむことができる』という利便性が消費者に受け入れられていました。
一方、ショッピングセンターの最大の強みは、買い物以外にもさまざまな楽しみや価値を提供できることです。そのため、公共交通機関での移動が難しく、自家用車が必要な場所に建てられたとしても、遠方からの集客が見込めます。
Q.百貨店、ショッピングセンターの主な利用者について、教えてください。
大庭さん「経済産業省が実施した『消費者意識の変化と百貨店利用等に関する調査結果』によると、世帯収入が500万円から2000万円の中・高所得層に百貨店を利用する人が多いという結果が出ています。また、百貨店を利用する人の主な年齢層は、50~60代といわれています。つまり、経済的な余裕のある中高年の人が、百貨店やデパートの主な利用者だと言えます。
一方、民間のリサーチ会社が公表したショッピングモールに関する調査結果によると、多くの回答者が、配偶者や子ども、友人・知人と一緒にショッピングモールに行くと回答しています。このことから、ショッピングセンターの主な利用者は、家族連れや友人のグループで、中心となる年齢層は百貨店やデパートより若いと言えます」
Q.ちなみに、百貨店とデパートは同義語ということですが、どちらの言葉が多く使われる傾向にあるのでしょうか。地域によって、違いはありますか。
大庭さん「明確なエビデンスはありませんが、関東では『デパート』と呼ぶ人が多い一方、関西では『百貨店』と呼ぶ人が多い傾向にあります。東京では、『京王デパート』『小田急デパート』と呼ぶ人がいますが、大阪では『阪神デパート』『阪急デパート』などと呼ぶ人はあまり見掛けず、『阪神百貨店』『阪急百貨店』と呼ぶのが一般的です」
(オトナンサー編集部)
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