「放漫経営」による倒産、過去10年で最高に…4割超が“コンプラ違反”で悪質化の傾向も 帝国データバンク調査
帝国データバンクが、「放漫経営」の倒産発生状況についての調査結果を発表。放漫経営倒産の実態が明らかとなりました。
帝国データバンク(東京都港区)が、「放漫経営」の倒産発生状況について調査・分析を実施。その結果を発表しました。
リーマン・ショック直後以来となる高水準
同調査の集計期間は2023年4月30日まで。負債1000万円以上、法的整理による倒産および休廃業・解散が判明した企業を対象としています。
「放漫経営」倒産は、経営者の判断ミスやずさんな管理体制、本業以外への資金流出などの会社の私物化により、経営が困難になったことによる倒産を指すもの。調査の結果、放漫経営倒産は2022年に144件発生し、前年(124件)から16%、2年ぶりの増加となりました。
また、全倒産に占める割合は2.3%となり、過去10年では最高を記録。2000年以降ではリーマン・ショック直後の2009年(2.4%)以来となる高水準だったということです。
同社によると、放漫経営倒産は近年、悪質化の傾向もみられるといいます。放漫経営の末に、粉飾決算や業法違反、脱税といった「コンプライアンス違反」に抵触した倒産の割合は2022年に4割を占め、2年連続で増加しています。
最も多いのは、事業外への資金流出など「資金使途不正」によるもので、放漫経営倒産のうち29件、約2割を占めました。不適切な会計処理など「粉飾」による倒産も16件、約1割を占めているといい、同社は「売上高減少などで支援を要請したものの、不適切な会計処理で大幅な債務超過状態が明るみに出たことで周囲の協力を得られず、自力再建を断念したケースも多かった」とコメントしています。
なお、同社によると、放漫経営は一般に好況期に多く発生する傾向にあるとのこと。最近ではアフターコロナに向け景況感や企業活動が上向く中、コロナ関連融資などで膨らんだ債務整理といった場面で、無理な事業展開による過剰投資や粉飾決算といった過去の放漫経営が発覚するケースが多く発生しているといいます。
同社は「コロナ禍での資金繰りを支えてきた各種支援も段階的に終了していく中、事業再生などの場面で過去の放漫経営が表面化し、最終的に法的整理を余儀なくされる中小企業が今後増加する可能性がある」と分析しています。
(オトナンサー編集部)
コメント