オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

コーヒーブランドのはずでは? サントリー「BOSS」から紅茶、フルーツオレなどが次々登場する理由とは?

サントリー食品インターナショナルのコーヒー飲料ブランド「BOSS」から、紅茶飲料やラテ飲料などが次々と発売されています。その理由について、同社に聞きました。

「BOSS」からコーヒー以外の飲料が次々登場
「BOSS」からコーヒー以外の飲料が次々登場

 サントリー食品インターナショナル(東京都港区)のコーヒー飲料ブランド「BOSS(ボス)」が、今年で発売30周年を迎えました。中高年の人にとって、BOSSといえば「缶コーヒー」の印象が強いと思いますが、近年は同ブランドから紅茶飲料や「抹茶ラテ」「フルーツオレ」などの商品が次々と登場しています。コーヒー以外のBOSSブランド商品を積極的に開発するのはなぜでしょうか。同社ブランド開発事業部課長の大塚匠さんに聞きました。

働き方の多様化が背景

Q.1992年に「ボス スーパーブレンド」が発売されました。そもそも、BOSSはどのような目的で誕生したブランドなのでしょうか。

大塚さん「BOSSブランドの開発を始めた1990年当時、缶コーヒーの典型的な購入者は、トラック運転手や工事現場の作業員などのお客さまでした。彼らは会社を出ると1人の場面があります。ある意味、自由で自分の裁量で仕事ができますが、同時に、孤独で話し相手がいない傾向にあります。そんな場面で彼らを励まし、頼りになる缶コーヒー飲料を作りたいと考えました。

そこで、『働く人の相棒』というコンセプトを規定し、理想の自分像として『BOSS』と命名しました。さらに相棒として人格化しやすいように、“ボスおじさん”のロゴマークを開発しました」

Q.その後、BOSSブランドのさまざまな缶コーヒーやペットボトルコーヒー「クラフトボス」が登場する中、2019年に紅茶飲料「クラフトボスTEA ノンシュガー」が発売されました。その狙いについて教えてください。評判や売れ行きはいかがでしょうか。

大塚さん「『ペットボトルコーヒーの枠を超えて、働く人に快適さを提供したい』という思いで発売しました。クラフトボス(コーヒーシリーズ)の発売当時、『若者や女性からの支持を得ている』『コーヒー以外の飲料からの流入が多い』という特徴がありました。そこで、缶コーヒーのBOSSとは違う強みを新商品の開発に生かせると考えました。

また、開発当時、仕事中に緑茶やブレンド茶などの『無糖茶』を飲む割合は、コーヒーと比べて増加傾向にあったので、無糖の紅茶として発売しました。

BOSSからの新しい提案がお客さまから好評をいただき、今では『フルーツティー』『レモンティー』『ミルクティー』『抹茶ラテ』『ほうじ茶ラテ』『フルーツオレ』など、クラフトボスのラインアップを拡充しています」

Q.なぜコーヒー以外のBOSSブランド商品を積極的に開発しているのでしょうか。

大塚さん「働き方の多様化が進む中、飲料においてもより多様な選択肢が求められるようになっていることが背景にあります。

例えば、2021年に発売した『クラフトボス 抹茶ラテ』は、デジタルツールの普及によりテレワークが加速し、仕事時間と休憩の境目が曖昧となる中、ちょっとした時間にほっと一息つける“憩い”のひとときを提供したいという思いで開発しました。発売後、BOSSを飲んだことがないお客さまから『BOSSを手に取るきっかけになった』という、うれしい声も頂いています」

Q.ちなみに、「ボス」と「クラフトボス」の違いについて、教えてください。

大塚さん「BOSSブランドの中に『クラフトボス』というカテゴリーがあります。クラフトボスは開発当初、コーヒーの楽しみ方や求める価値が多様化する中で、缶コーヒーやボトル缶コーヒーになじみがないお客さまの“相棒”となるべく、新たな価値を提供するコーヒー飲料として発売しました。

現代のオフィスワーカーの新しい働き方に合わせた味わいを追求し、時間をかけて少しずつ飲むことを想定しているので、現状ではクラフトボスは、ペットボトルでの販売となっています。ただし、ボスの中には、ペットボトルで販売している商品もあり、必ずしも『缶コーヒー=ボス』『ペットボトル飲料=クラフトボス』とは言い切れません」

Q.なぜ「クラフトボス」と名付けたのでしょうか。

大塚さん「クラフトボスの『クラフト(CRAFT)』は、英語で『技巧』『工芸』などを意味する言葉です。クラフトボスは、満足感がありながらも、すっきり飲み続けられる味わいを実現するために、焙煎(ばいせん)・抽出・調合における200以上の工程を経て、手間を惜しまず仕上げています。そのため、『丁寧に物作りをしている』『多くのプロセスを踏んでいる』といった意味でクラフトボスと名付けました。

それはデザインにも反映されており、本格的なコーヒー感と愛着を感じていただけるよう、ガラス瓶のようなボトルやボコボコとしたエンボス(図形や模様を表現する加工方法)を採用しています」

Q.「BOSS」シリーズの現在の購買層について、教えてください。主にどのような世代の人が購入しているのでしょうか。

大塚さん「BOSSのユーザーは発売当初から拡大しており、2011年と2022年(1月時点)で比較すると、約1.8倍に増加しています。特に、女性ユーザーは2017年のクラフトボス発売後に大きく増加し、2021年に『クラフトボス 抹茶ラテ』を発売して以降、さらに拡大しています。各カテゴリーの主なメインユーザーは次の通りです。

缶コーヒー:40~50代
クラフトボス(コーヒー):20~30代
クラフトボス(紅茶):20~30代
クラフトボス(抹茶オレなど):20~30代

ただし、年々、カテゴリーの垣根を越えてユーザーの年代や飲用場面が広がっています。例えば、クラフトボス(コーヒー)は発売当初、オフィスワーカーがデスクで飲む場面が多かったのですが、今では車の運転時に飲む人や、旅のお供として外出先で飲む人も増えています」

(オトナンサー編集部)

【懐かしい!】サントリー「BOSS」歴代缶コーヒー、「ボスジャン」大集合

画像ギャラリー

コメント