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「ティッシュを詰める」→実はNG! 誤解だらけの「鼻血」対処法3つ、耳鼻科医に聞いた

医学的に正しい「鼻血の対処法」とは?

Q.医学的に推奨できる「正しい鼻血の対処法」を教えてください。

市村さん「まず、出血した側と同じ側の親指を小鼻付近に当て、内側(鼻の仕切り)に向けて一定の力で圧迫しましょう。出血時間は通常1〜5分なので、最低でも5分以上を目安にしてください。鼻の穴から1センチほどの『キーゼルバッハ部位(入り口付近)』から出血するケースが多いので、その場合は、この方法でしっかり圧迫できます。このとき、先述したように、顔を上に向けてはいけません。座って前傾姿勢にし、親指での圧迫を続け、5分たってもまだ出血が続く場合はさらに5分間繰り返しましょう」

Q.それでも鼻血が止まらない場合、どういったことが考えられますか。

市村さん「この方法で止まらない場合は、『血液の凝固機能に異常がある』か、『出血点がキーゼルバッハ部位以外の、より奥からの出血である』、あるいは『(オスラー病のように)多数の部位から出血している』ことが考えられます。特に大量出血の場合は、鼻の後方からの出血が多いので要注意です。また、次のような場合は、危険な鼻血の可能性があります。

・押さえても止まる気配がない
・出血量が明らかに多い
・顔色が青ざめている、ふらふらしている
・歯茎など他の部位からの出血もある
・10分たっても止まらない

たかが鼻血と侮るのは禁物です。大量に出血する場合や、血が止まらない場合は、迷わず医療機関を受診しましょう」

(オトナンサー編集部)

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市村恵一(いちむら・けいいち)

医師(耳鼻咽喉科、「東京みみ・はな・のど サージクリニック」名誉院長)

東京大学医学部医学科卒業。医学博士、自治医科大学名誉教授、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医、補聴器適合判定医(厚生労働省)、日本気管食道科学会認定専門医。鼻血を繰り返す全身性の難病「オスラー病」の数少ない権威でもあり、全国から患者が訪れる。耳と鼻、気道といった耳鼻科全般の豊富な経験を持つ。現在は短期滞在手術施設「東京みみ・はな・のどサージクリニック」(東京都多摩市)の名誉院長を務め、一般外来、補聴専門外来を担当。(https://tokyo-ent-surgi.com/)。

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