オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

犬も「猫アレルギー」になる? 猫の「犬アレルギー」は? 獣医師に聞く

犬が「猫アレルギー」を発症することはあるのでしょうか。獣医師に聞きました。

犬が「猫アレルギー」を発症することはある?
犬が「猫アレルギー」を発症することはある?

「犬と猫、どっちが好きか?」と聞かれたことのある人も多いと思います。「犬は好きだけど猫は苦手」「猫は好きだけど犬は苦手」といった話をよく聞きますが、中には、犬も猫も好きで、両方同時に飼う人もいるようです。ところで、人間が猫や犬と一緒にいると、くしゃみや鼻水などの症状が出ることがあります。これらは「猫アレルギー」「犬アレルギー」と呼ばれていますが、では、犬が猫アレルギーを発症したり、猫が犬アレルギーを発症したりすることはあるのでしょうか。獣医師の増田国充さんに聞きました。

アレルギー発症の可能性あり

Q.そもそも、人間が「猫アレルギー」「犬アレルギー」を発症するメカニズムについて、教えてください。また、猫アレルギーと犬アレルギーは何が違うのでしょうか。

増田さん「人間によく見られる『猫アレルギー』や『犬アレルギー』とは、人間が主に猫・犬の毛やフケ、またはこれらに付着する寄生虫を触ったり、吸い込んでしまったりすることで、体の免疫が過剰に反応する状態を指します。実際に、動物の毛やフケ、寄生虫、食べ物、ハウスダスト、花粉などがアレルギーを引き起こすことが確認されています。医学的に、アレルギーを引き起こす原因物質のことを『アレルゲン』と呼びます。

動物の種類によってそれぞれ特徴的なアレルギー症状があるわけではなく、猫アレルギーも犬アレルギーも基本的に、軽度の風邪や花粉症と似た症状が見られます。例えば、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、眼の充血、流涙(涙が過剰に出る症状)、喉の違和感やせきなどです。また、皮膚にも症状が現れることがあり、発赤(皮膚や粘膜の一部が充血して赤くなること)やかゆみにつながることもあります」

Q.では、犬が猫の毛やフケなどを通じて猫アレルギーを発症するケースや、猫が犬の毛やフケなどを通じて、犬アレルギーを発症するケースはあるのでしょうか。

増田さん「根拠となる文献が少ないので、いずれのケースも実在するかどうかは、はっきりと答えられません。ただ、人間と同様、動物もアレルゲンによって体の免疫が過剰に反応することがあるので、犬や猫が他の動物(質問でいえば猫や犬)の毛やフケ、寄生虫によってアレルギーを発症する可能性は十分あるのではないかと考えられます。

なお、犬や猫も、アレルギーを発症する原因は、個々の動物の体質や環境によって異なります。例えば、犬の場合、遺伝的にアレルギーになりやすい犬種や血統も存在します。これらが総合的にかつ複合的に関連しあって、アレルギーを発症すると考えられます」

Q.自宅で飼っている犬や猫が、アレルギーを引き起こしやすい体質かどうかを検査する方法について、教えてください。

増田さん「家庭の愛犬や愛猫が何らかのアレルギーを持ち合わせているかどうかを確認する方法として、『特異的IgE検査』があります。これは『IgE』と呼ばれる、特定のアレルゲンにだけ反応する抗体の量を測定する検査です。ただし、食物アレルギーの中には、白血球の一つの種類であるリンパ球が関連したタイプのものもあり、この場合、先述のIgE検査では陰性となることがあるため、リンパ球反応検査によってアレルギーの存在が明らかになることもあります。

これらは、血液を採取して検査します。検査結果は、採血した時点でのアレルギーの状況が反映されるため、加齢や季節などによって結果が変動することがあります。そのため、アレルギーがあると判断された場合は、獣医師の指示によって定期的に検査が行われることがあります」

Q.犬と猫は同時に飼ってもよいのでしょうか。また、同時に飼う場合は、「犬用の部屋」「猫用の部屋」といった形で部屋を分けるのが望ましいのでしょうか。

増田さん「衛生面に気を配ることができるのであれば、犬と猫を同時に飼ってもよいと思いますし、その際、犬と猫の居住スペースは完全に分けなくてもよいでしょう。

たとえば、犬が散歩してきたときにノミを付けて持ち帰ったとします。家にいる猫にノミが寄生したことで、猫にノミアレルギーと思われる症状が出る可能性もあるかもしれません。このような場合、ノミやマダニといった外部の寄生虫を適切に駆除することが有効です。

また、室内にアレルゲンが存在する可能性があれば、部屋を掃除したり、空気清浄機を活用したりするなどして、取り除くことをおすすめします」

(オトナンサー編集部)

【画像】猫と仲の良い犬

画像ギャラリー

増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

コメント