35歳看護師と40歳派遣社員の“二兎”と仮交際、一兎も得られなかった男性の悲しき顛末
二兎を追う者は一兎をも得ず
秋山陽太さん(41歳、仮名)は藤田里絵さん(35歳、同)、太田美香子さん(40歳、同)の2人と仮交際をしていました。
里絵さんは看護師で、美香子さんは派遣社員でした。どちらの女性も明るく、優しい人だったのですが、秋山さんとしては、選ぶなら里絵さんかなと思っていました。その理由がこうでした。
「結婚後に僕が病気になって、一時的に働けなくなったとしても、看護師の資格を持っている里絵さんなら、仕事に困らないだろう。でも、派遣社員の美香子さんの場合、僕にアクシデントがあったら、共倒れになるかもしれない。それに、子どもを授かることを考えたら、35歳の里絵さんの方がいい」
そう思っていたようでしたが、4回目のデートの別れ際に美香子さんから、「私たち、真剣交際に入りませんか?」と言われたのです。これまで婚活を続けてきて1年、なかなか、真剣交際にまで進めた女性がいなかったので、これは願ってもないことでした。しかし、秋山さんは里絵さんを断って、美香子さんと真剣交際に入る決断がつきませんでした。そこで、美香子さんに言ったのです。
「お返事の時間を2、3日頂いてもいいですか?」
すると、美香子さんは「分かりました」と笑顔で答えたようです。その日は土曜日で、翌日の日曜日には里絵さんと会うことになっていたので、真剣交際の話をそれとなくしてみて、里絵さんの反応次第で、美香子さんとの真剣交際に入るかどうかを決めようと思ったのでした。
日曜日、里絵さんと自然公園を散歩していたとき、秋山さんは言いました。
「僕は里絵さんといるとすごく自然でいられるし、安心できるので、この交際を大切に考えています。里絵さんの気持ち次第ですが、真剣交際に入れたらいいなと思っているんです」
そんな秋山さんに里絵さんは言いました。
「ありがとうございます。結婚相談所のお付き合いなのだから、交際も時期が来たら、先に進めないといけないんですよね」
その言葉を聞いて、とてもいい感触を得た気がしていました。そのため、美香子さんと真剣交際に進むのはお断りしようと思って帰宅しました。
ところがその夜、美香子さんの相談室から、「交際終了」の連絡が先に来ていました。断る前に断られてしまったのです。終了の理由は「真剣交際の打診にすぐに答えられないのは私との結婚を迷っているから。今、出せない答えは、待ったところでいいお返事は来ないと思います」というものでした。
秋山さんは驚きましたが、美香子さんと真剣交際に入るのはお断りするつもりでいたので、気持ちのどこかで少しホッとしました。
ところが翌日、今度は里絵さんの相談室からも「交際終了」の連絡が来たのです。
「デートで真剣交際という言葉を出されたとき、私には秋山さんとの結婚がイメージできませんでした」
“二兎を追う者は一兎をも得ず”ということわざがありますが、秋山さんは判断を誤ったため、2人の女性を逃してしまったのです。
 たくさんの選択肢の中から、何を判断して、どう決断を下していくか。人生はその繰り返しだと思います。慎重に考えることも大切ですが、そこで行動を止めてしまったためにチャンスを逃すこともあります。婚活も人生も、よい結果を導き出せる人というのは、判断力と決断力のある人ではないでしょうか。
(仲人・ライター 鎌田れい)

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