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「リコカツ」話題! 永山瑛太から、今後ますます目が離せない理由

TBS系連続ドラマ「リコカツ」における、航空自衛隊員・緒原紘一役が話題の永山瑛太さん。その魅力を専門家に聞きました。

永山瑛太さん(2018年2月、時事)
永山瑛太さん(2018年2月、時事)

 現在放送中のTBS系連続ドラマ「リコカツ」(毎週金曜 後10:00)に出演している俳優・永山瑛太さん。同ドラマは、ファッション誌の編集者・水口咲(北川景子さん)と航空自衛隊員・緒原紘一(永山さん)の2人が運命的な出会いをきっかけにスピード結婚をしたものの、生活習慣や価値観の違いから離婚を決意し、水面下で離婚に向けた「リコカツ」を始める姿を描いたストーリーです。

 同作での一風変わった個性的なキャラクターが話題を呼び、その演技が注目を集める一方、これまでも多くの作品でさまざまな役柄を演じてきた永山さん。その特徴や魅力について、作家・芸能評論家の宝泉薫さんに聞きました。

大河「篤姫」出演が転機に

 永山さんは1999年、「EITA」の芸名でモデルデビューし、2001年放送のドラマ「さよなら、小津先生」(フジテレビ系)で俳優デビュー。その後、芸名を「瑛太」に改名し、「WATER BOYS」(同)や「オレンジデイズ」(TBS系)、「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)などの話題作に出演し、俳優としてのキャリアを重ねていきました。

 2009年放送の「ヴォイス~命なき者の声~」(同)で連ドラ初主演を飾り、以降、「それでも、生きてゆく」(同)、「最高の離婚」(同)の他、映画「余命1ヶ月の花嫁」「ミックス。」など数々の作品で主演を務め、その演技力が高い評価を受けてきた永山さん。宝泉さんは「大河ドラマ『篤姫』への出演が、俳優としての価値を高めた一つの転機」と話します。

「元々はイケメン若手俳優枠の一人で、『WATER BOYS』への出演がきっかけとなり、注目を集めた永山さんですが、『篤姫』への出演が俳優としての転機だったのではないでしょうか」(宝泉さん)

「一般的にはあまりなじみのない小松帯刀役を務めていましたが、宮崎あおいさん演じる篤姫との関係性が作品のヒットにつながりましたし、永山さんの真面目でストイックな感じが表れていて、はまり役だったように感じます。その後、出演したドラマ『それでも、生きてゆく』での演技が作品とともに大きなインパクトを残し、俳優としての評価は揺るぎないものになりました」

 宝泉さんは「リコカツ」で、永山さん演じる紘一のキャラクターが話題になっていることにも言及しています。

「これまでにあまりなかったキャラクターで、声のトーンや体形の見せ方など、作品の意図をくんで役を作り込んでいるなと感じます。役に誠実に向き合う真面目な人間性が垣間見える一方で、これまでのイメージから変化しようとしていることの表れなのかもしれません」

「昨年、現在の芸名である『永山瑛太』に改名し、今年3月には所属事務所を退社したことからも、本人の中で変化を望んでいる時期ではないでしょうか。その点、『リコカツ』出演は絶好のタイミングで、これまでの永山さんのイメージからは想像もできないようなキャラクターを演じています」

 加えて、永山さんが持つ真面目な人間性は「離婚」を描く作品には欠かせない要素であると宝泉さんは話します。

「過去に出演した『最高の離婚』もそうでしたが、コミカルな部分がありつつも離婚という問題を真面目に捉えて表現できる役者だからこそ、視聴者は感情移入して作品を見るはずです。真面目な人間性に加え、コミカルなキャラクターもそつなく演じられる永山さんは、まさにうってつけの存在でしょう」

従来のイメージを覆せるか

 永山さんには、最近の俳優には見られない、珍しい特徴があると宝泉さんは話します。

「個人発信が少なく、私生活もオープンにしない謎めいた部分が多くある印象で、最近の俳優にはあまり見られない珍しい存在だと感じています。多くを語らない寡黙な点もどこか、昔の俳優のような印象がありますが、これからもこのスタンスを貫いてほしいと思うのです」

「生活感を表に出さないことで今後、年を重ねるにつれて、大人の渋い雰囲気が増しますし、俳優としても希少な存在であることを示せるでしょう。このような自分自身の見せ方についても、事務所から独立したことで、よりコントロールしやすくなるはずです」

 宝泉さんは、従来のイメージを覆すことが俳優としての価値をさらに高めることにつながると言います。

「どちらかといえば、陰のあるキャラクターを演じることが多く、それが似合っていた永山さんですが、先のことを考えれば、どこかのタイミングで新たな一面を見せることが必要でした。その点、今回の『リコカツ』での演技が評価されていることは、永山さんにとってプラスになるでしょうし、個人的にはプレーボーイ的な役どころも今後、見てみたいです」

「同じようなパターンで言えば、寡黙で真面目な印象が強かった阿部寛さんが『結婚できない男』や『テルマエ・ロマエ』で個性的なキャラクターを演じたことが例に挙げられるでしょう。これまでのイメージを覆すようなギャップを見せることが、どんな役を演じても力を示せることにつながり、俳優としての存在価値を高めることになるはずです」

(オトナンサー編集部)

宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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