戸塚純貴だけじゃない 筋肉に局アナ、賞なしの菅田将暉…意外なジュノンボーイ出身者たち
「演じたいイケメン」が集まる
ではなぜ、ドラマに強いかというと、伝統的にもっぱら俳優の登竜門と見なされ、機能してきたからです。このコンテストが始まった1988年は、光GENJIらを擁するジャニーズ事務所が何度目かの全盛期を迎えていました。歌って踊るイケメンを輩出するジャニーズに対し、すみ分けを計る必要があり、それが「ジュノンボーイ=演じるイケメン」という方向性につながったわけです。
それゆえ、ここには「演じたいイケメン」が集まりやすく、また、そういう人が役者を極めていく上でも適した状況が用意されています。菅田さんもそうですし、前出の戸塚さんも同様です。
ちなみに、戸塚さんもデビュー2年目に「仮面ライダーウィザード」にレギュラー出演。ライダー役ではなかったあたりが、彼らしいところです。その後、ジュノンボーイっぽくない路線を進んでいくわけですが、転機となる出会いがありました。
「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京系)や映画「HK 変態仮面」など、独特のコミカルな作風で知られる演出家・福田雄一さんに認められたのです。
福田さんの大ファンで、中学時代にはその作品を「友達とファミレスで再現」するほどだった戸塚さんは大喜び。「監督は僕の芝居を“素晴らしい負け芝居”だって言ってくれるんです。(略)自分でも“負けて勝つ”みたいなことを意識してお芝居していたので、福田監督に出会えた僕は本当に幸せだなって思います」(「JUNON」2015年6月号)と語っていました。
その後は「福田組」の常連となり、今回の「親バカ青春白書」も福田さんの脚本・監督です。情けないけど憎めない、あの大学生YouTuber役はまさに「負けて勝つ」芝居の真骨頂と言えます。
なお、現在のイケメンシーンでは、EXILEから始まったLDH系も一大勢力となっています。ただ、ジャニーズ同様、こちらも歌って踊るイケメンが中心です。ジュノンボーイの独自性は今後も揺らぐことなく、魅力的な「演じるイケメン」たちを世に送り出してくれることでしょう。
(作家・芸能評論家 宝泉薫)
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