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「何言ってんの?」 まず否定から入る5歳上の夫に嫌気…妻の前に現れた“援軍”

「いや」「でも」といった否定の言葉で会話に応じがちな人がいます。そうした人がもし、自分のパートナーだったらどうでしょうか。何でも否定から入る夫を持つ妻の実例を紹介します。

「何でも否定」夫に妻はどうする?
「何でも否定」夫に妻はどうする?

「いや」「でも」「っていうか」「違うね」「ばかだねー」。こうした“否定語”で会話に応じる癖がある人は職場にもいると思いますが、家の中にそういう人が1人いると気持ちがなえてきませんか。

 否定語で切り出す本人はもちろん、無意識です。毎度、この調子でこちらの意見をシャットアウトされると、いつしか、「どうせ否定されるし」「言っても無駄か」というネガティブモードになっていくので、会話が減る要因にもなります。自分に意見があるのはいいことですが、相手を打ち負かしてやろうという“上から目線”の言葉には注意してください。ちりも積もれば離婚に発展…ということもあり得ます。

 今回は、否定から入る夫にうんざりしていた妻が“援軍”の登場で逆襲を果たしたエピソードをご紹介します。

「はあ? 何言ってんの?」問題

 真穂さん(34歳、仮名)は夫の忠司さん(39歳、同)が5つ年上ということもあり、付き合っていた当初から、偉そうな態度が気になっていました。結婚し、対等なパートナーとして家計や子どものことを相談したいのに、真穂さんが何か言うと、忠司さんは「いやいや、違うっしょ」「っていうか」「はあ? 何言ってんの?」と真穂さんが萎縮する言葉を最初に言いました。

「いつも否定ばっかりしないで、私の考えも聞いてよ」と真穂さんが言うと、忠司さんは「全部否定しているわけじゃないよ。まあ、10回に8回くらいは否定しているかもしれないけど、それって、真穂がおかしなことを言ってくるからだろ」と相手にしてくれません。

「子どもに小さいときからスマホで動画を見せるのはよくないって、ウェブで読んだわよ」と真穂さんが言えば、「すぐ、メディアを信じるなよ。ばかだな。質がいい教育アプリだってあるだろ。絵本の読み聞かせだって、君よりスマホの方がうまいよ」と返すという具合です。

 忠司さんの反論は間違っているわけではないので、真穂さんはそれ以上言い返すことができなくなってしまいます。夫の方が一枚上手の頭脳を持っていて、言い込められるというのか…。ところが、ある日、保育園の両親面談で事態は変わりました。

 子煩悩な忠司さんは複数の保育園へ見学に行き、厳選しました。食育に力を入れている、近隣で評判の園に娘さんを入園させたのです。その保育園は「両親の子どもへの関わりが大事だ」と、事あるごとに園長自らが面談をし、両親そろって出席することが必須でした。

 ある日の面談で、園長先生が忠司さんと真穂さんに「ご両親のどちらか、会話をするときに『何言ってんの』から始めていますよね」と指摘したそうです。娘さんがお友達と遊んでいるとき、頻繁に「何言ってんの?」と言ってトラブルになっているというのです。

「おそらく、お父さまがそういう物言いをされているのだと思いますが、直接、娘さんに言わなくても、ご両親がそういうコミュニケーションを取っていることを子どもはしっかりと見て、聞いています。このままでは、娘さんはお友達とうまくコミュニケーションを取れなくなりますよ」と注意されました。これには忠司さんもかなりこたえました。

 それから、真穂さんへの言葉掛けが変わったのです。真穂さんが何か言った後、すぐに反応するのではなく、一度、言葉をのみ込んでから話をするようになりました。「もしかしたら、夫も小さい頃、両親のやりとりを見て、夫婦の在り方ってそんなもんだって無意識に思っていたのかもしれないですね」と真穂さん。他人に指摘されることで改心できた、いい例でした。

義母の“爆発”で食卓が静まり返り… 

 先述の真穂さんが言ったように、両親のやりとりを幼い頃から見ていて、無自覚に自分も同じようなコミュニケーションを取っていたというケースはよくあります。麗奈さん(36歳、仮名)の夫、悠太さん(34歳、同)もその一人でした。

 悠太さんは「っていうか」が口癖で、麗奈さんが「今日はいい天気だねー」と言うと「っていうか、雨降るかもしんないよ」と謎のマウントを取ってくるような夫でした。ささいなことにもいちいち否定的な悠太さんに「嫌みったらしい夫だな」と感じつつも、おおらかな麗奈さんはあまり気にしないようにして過ごしていました。

 麗奈さんは義理のお母さんと仲良しで、近所に住んでいることもあり、よく、2人で買い物や映画に行っていました。娘のいない義母は麗奈さんを実の娘のようにかわいがっていました。悠太さんは「口うるさい母親に会うのは面倒くさい」と、あまり行動を共にしなかったそうです。

 ある日、義母の誕生日に家族が集合しました。悠太さんのお兄さん一家も一緒です。お酒も入って、みんなで楽しく話をしていたとき、麗奈さんが悠太さんに「今日、泊まっていく?」と聞きました。すると、悠太さんが「っていうか、なんで、麗奈が泊まるとか言うんだよ。麗奈の実家じゃないじゃんか。面倒くせえな」と言いました。それを聞いた、ほろ酔いの義母が突然、怒りを爆発させます。

「あんたね、前から気になっていたけど、麗奈ちゃんに毎度毎度、『っていうか』って言うのやめなさいよ! お父さんそっくりだよね! 本当に最悪。それを言われた相手の気持ちを考えなさいよ。あんたが『っていうか』って言うたびにママは怒りがたまっていたのよ。麗奈ちゃんが何も言わないから黙っていたけど、もう許せないね。その癖を直さない限り、麗奈ちゃんと一緒に住まわせないからね」

 突然の義母の怒り爆発に、義父もお兄さん一家もびっくりしました。しかし、その後でお兄さんが「おまえ、変なところ、おやじそっくりだよな。やめとけよ」と一言。とばっちりを受けた義父も、みんなの前で激しく怒られた悠太さんもしょんぼり。麗奈さんに謝りましたが、義母の怒りは収まらず、その日は悠太さんだけ帰らされました。

 次の日、帰宅した麗奈さんに悠太さんは改めて、「無意識だった。ごめん」と謝り、それからは物言いに気を付けてくれるようになったそうです。

 時代は日々変化して、夫婦の形も変わっています。今の30代、40代のご両親は昭和の時代の真っただ中に、猛烈に仕事をしていた世代。「俺が稼いで食わせてやっている」の精神で専業主婦の妻を軽んじていた夫も多かったはずです。そんな両親の姿を見て育った夫や妻が無意識のうちに同じような言動を取っているのかも…と意識すると、腹立ちも少しは収まるかもしれません。

 もちろん、親のせいばかりではありません。「人の振り見てわが振り直す」タイプであれば、心優しい大人に成長するはず。今からでも遅くはありません。「感じの悪い人」の振りを見て、意識改革をしましょう。会話の頭文を変えるだけで、夫婦の仲良し度は向上します。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。LINE登録で「夫婦仲チェックシート」を無料プレゼント(https://fufunaka.com/archives/lp/line)。

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