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放置してOK? 皮膚にできる“赤い点状のもの”の正体とは シミ、ほくろと何が違う?

いつの間にか、自分の体にできていることのある、赤くて小さな点状のもの。痛みやかゆみがなくても、放置してよいのか気になります。その正体について皮膚科医に聞きました。

赤い点々の正体は?
赤い点々の正体は?

 ふと、自分の体を見たとき、赤くて小さな点状のものができていた経験はありませんか。皮膚にできる赤い点状のものといえば、にきびなどの吹き出物が代表的ですが、特に痛みやかゆみを伴わない、赤いほくろのようなものを見つけ、困惑したことがある人も少なくないようです。

 ネット上では「いつの間にか、腕にたくさんできていた」「赤いボールペンで突いたような点々だよね」「シミ、ほくろとは違うもの?」「痛くないし、放置していても問題ない?」など、さまざまな声が上がっています。いつの間にか体にできていることのある“赤い点状のもの”について、アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。

「ルビースポット」「チェリースポット」とも

Q.体にできることのある、赤くて小さな点状のものの正体は何でしょうか。

佐藤さん「この赤いほくろのようなものは『老人性血管腫』といい、『ルビースポット』『チェリースポット』とも呼ばれます。皮膚の毛細血管の増殖によってできる良性の皮膚腫瘍で、大きさは数ミリほど、形状は平たん、もしくはドーム状です。特に痛みやかゆみはなく、無症状です。また、体のどこにでもできますが、特に顔や首、前胸部、背部、腕など上半身にできやすいです。

老人性血管腫ができる原因は分かっていませんが、加齢に伴って増えてきます。『老人性』とありますが、実際には20代でも見られますし、成人に比べて頻度は少ないですが、子どもにもできます。ただ経験的には、やはり、年齢とともに増えてくる印象があります。一度出現したら自然消失することはなく、大きくなることもあります。なお、他の病気との関連はありません」

Q.老人性血管腫はシミやほくろとは違うものなのでしょうか。

佐藤さん「老人性血管腫は“赤ほくろ”とも呼ばれますが、実際はシミやほくろとは全く違うものです。シミやほくろはメラニン色素が増殖して黒く見えるものですが、老人性血管腫は毛細血管の組織が増殖してできた腫瘍なので、メラニンは関係ありません」

Q.老人性血管腫が出やすい人の特徴はありますか。

佐藤さん「先述した通り、老人性血管腫のはっきりとした原因は分かっていません。ただ、よくできやすい顔や胸元、腕は日光に当たりやすい部分なので、紫外線による影響が考えられます。また、こすれなどの物理的な刺激の影響もあるでしょう。加齢とともに増える傾向にあるので、皮膚の老化に原因があるのかもしれません。

性別、生活習慣、持病の有無の関連はありませんが、遺伝性の要因があるといわれており、親族に老人性血管腫がある人がいるなら、体質的に老人性血管腫ができやすい傾向にあります」

Q.老人性血管腫を放置するとどうなりますか。大きくなったり、痛みが出たりすることもあるのでしょうか。

佐藤さん「老人性血管腫は良性の皮膚腫瘍ですが、無症状なので、放置しても特に問題ありません。ただ、少しずつ大きくなるものもあるので、見た目が気になるようなら除去する治療をしてもよいと思います」

Q.除去する治療とはどんなものですか。完全に治す(消す)ことはできるのでしょうか。

佐藤さん「赤い色素に反応するレーザーを照射することで血管腫が縮小し、消失します。またはメスによる切除手術、電気メスによる焼灼(しょうしゃく)術などもあります。なお、『老人性血管腫』のみでは、公的医療保険は適用されません。

いわゆる『赤あざ』である単純性血管腫には、認可された色素レーザーを用いれば保険診療のレーザー治療が可能なのですが、これは、単純性血管腫が毛細血管の生まれつきの異常による病気のためです。老人性血管腫は加齢によるもので、先天性疾患である単純性血管腫とは異なる疾患のため、原則的には保険適用外の自由診療となります」

(オトナンサー編集部)

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佐藤卓士(さとう・たかし)

医師(皮膚科・形成外科)・医学博士

アヴェニュー表参道クリニック院長。京都大学農学部卒業。九州大学医学部卒業。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽(けんさん)を積み、現在に至る。日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会所属。アヴェニュー表参道クリニック(https://www.a6-clinic.com)。

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