東京国際映画祭で特集上映 吉田恵輔監督に聞く 監督目指したきっかけ、映画の面白さ…
第34回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門で特集に選ばれた吉田恵輔監督に、映画作りの面白さや印象的な俳優などについて聞きました。
第34回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門で特集に選ばれた吉田恵輔監督(「吉」は正しくは「土」に「口」)。同部門は、日本の映画を対象に、海外に紹介する観点から選考された作品を上映する部門です。同映画祭は10月30日から11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催されます。
オトナンサー編集部では、吉田監督に単独インタビューを実施。映画作りの面白さや印象的な俳優などについて聞きました。
自分でいいのか、純粋にうれしい気持ち
Q.Nippon Cinema Now部門の特集に選ばれた感想をお願いします。
吉田監督(以下敬称略)「僕でいいのかなと思いましたが、純粋にうれしいです。やっときたか、という気持ちがあるわけではありません」
Q.映画監督になろうと思われたきっかけはありますか。
吉田「物心がついたときから言っていました。ジャッキー・チェンさんが好きで、映画監督になれば会えると信じていました。仕事がそうなるかは分かりませんでしたが、小学校のときに映画監督になるための本を読んで、映画監督になるには学校の勉強は関係なく、遊ぶ方が重要だと書いてあったのでそうしました(笑)
学生時代は遊び人でした(笑)ボクシングを中学生から始めて、高校生のときはダンスをしていました。今は何をして遊ぶかばかり考えていて、映画どころではありません(笑)」
Q.映画作りの面白さを教えてください。
吉田「完成するまでどうなるか分からないし、俳優やスタッフたちがプラモのパーツのように集まって、作品が作られていくのはスリリングです。その代わり、精神的には削られます。不安がありますから。幸せだなと思う瞬間より、焦りや不安がほとんどだと思います」
Q.心労の方が多いのですね。
吉田「そうですね。でも楽しいです。ボクシングも殴られるのは痛いんだけど楽しいです。スリリングなものが好きなんでしょうね。昔はスノーボードもしていました。大きいけがをしたのでもうやめましたけど。無謀なことをするので早死にするタイプです」
Q.これまでのお仕事で、特に印象的な俳優さんはいらっしゃいますか。
吉田「映画『空白』の古田新太さんはカルチャーショックでした。お芝居がうまい俳優さんは、自分で選んでいることもあっていっぱいいましたが、古田さんは種類が違うなと思いました。語弊があるといけませんが、これが芝居だと思わされる力があり、言葉にはできない説得力がありました。
もうちょっとこうしてほしいという発想が出てこなくなり、言うと崩れそうな気がするし、言ったことがにせものっぽくなると感じました。松坂桃李さん、窪田正孝さんたちとも種類が違います。感覚的なものなので言語化しにくいです。映画『愛しのアイリーン』を撮ったときのフィリピンチームの感覚が一番近いです」
Q.これまでの作品の中で、特に思い入れのある作品を教えてください。
吉田「『アイリーン』ですね。夏編があって冬編があって、フィリピン編があります。僕の中で、作家の神様はこの作品の原作者の新井英樹さんで、その人と一緒にものを作るのは楽しいことでした。あとは海外スタッフとの仕事は、これまでとは仕事のやり方が違うので記憶に残りました。
映画『犬猿』はスタッフも優秀で、あまりにもうまくいきすぎて、撮影がスムーズに終わってしまいました。だから、あまり記憶に残っていません。『アイリーン』はトラブルも多かったので印象に残っています」
Q.映画論を教えてください。
吉田「ばかにするわけではありませんが、『あんなの映画じゃない』という人に『では、映画って何ですか』と問いたいです。これは映画だ、これは映画じゃないと僕は言わないようにしていますが、そういうことを言う人は結構います。今はもうすごく曖昧で、スクリーンで上映しないストリーミング作品も映画になっています。だから、聞いてみたいです」
第34回東京国際映画祭は10月30日から開催。
(オトナンサー編集部)
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