オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

ラーメン、うどんはあるのに? 回転ずしチェーン店で「そば」を見かけない理由は?

全国展開する回転ずしチェーン店では、すしだけでなく、サイドメニューも充実していますが、「そば」を見かけることはほとんどありません。なぜでしょうか。

「そば」をほとんど見ないのはなぜ?
「そば」をほとんど見ないのはなぜ?

 全国展開する回転ずしチェーン店では、すしだけでなく、デザートやサラダ、麺類などのサイドメニューも充実していますが、不思議なのは、ラーメンやうどんはあっても、はま寿司以外の大手チェーン店には「そば」がないことです。代表的な日本の麺類であるそばが、なぜ、ほとんどの回転ずしチェーン店でメニューにないのでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

原価率のバランスを取る

Q.回転ずしチェーン店では、すし以外にもサイドメニューが豊富です。すしだけで勝負するのではなく、なぜ、サイドメニューに力を入れるのでしょうか。

成田さん「昨今の回転ずしチェーン店では、うどんやラーメン、カレーなどのサイドメニューがとても充実しています。これは、すしメニューの原価率が高く、利益が出にくいことが多いため、すしよりも原価率の低いサイドメニューで利益を補完し、全体の原価率のバランスを取る経営戦略と考えられます」

Q.サイドメニューで、そばを見かけることはほとんどありません。すしとそばの組み合わせが、あまりよくないのでしょうか。

成田さん「関東や関西など地域によって、汁の味付けが異なり、すしとそばの組み合わせが合う合わないの声は多少あるかもしれません。しかし、一般的に、すしとそばの組み合わせがあまり注文されないということはないでしょう。そばやうどんを提供する飲食店には、いなりずしがある店も多いですし、会席料理のコースでも、そばとすし、両方が入ることがあります」

Q.ではなぜ、ほとんどの回転ずしチェーン店で、そばがサイドメニューにないのでしょうか。

成田さん「そばがサイドメニューにないのは、アレルギーの問題が関係していると思われます。そばはアレルギー食材の中でも比較的重度になりやすく、また、店内のオペレーションの都合上、うどんとそばは同じ釜でゆでて提供する場合が多いので、うどんを食べた場合でも、アレルギーのリスクが発生します。

店内のオペレーションの都合で、うどん用とそば用の異なる釜が用意できない店では、アレルギーのリスクを避けられないことから、小さな子どもを含むファミリー層がターゲットの中心である回転ずしチェーン店では、そばの提供には慎重にならざるを得ません。このことが、回転ずしチェーン店でうどんはあっても、そばはほとんどメニューにない理由ではないでしょうか」

Q.一方、そばがサイドメニューにある回転ずしチェーン店もあります。そばをサイドメニューで提供できないチェーン店との違いは何でしょうか。

成田さん「ひと言で言えば、戦略の違いだと思います。そばがサイドメニューにある回転ずしチェーン店は、うどんとそばをゆでる釜を別々にするなどのシステム的なことも含めて、メインのすしと同じか、それ以上にサイドメニューに力を入れています。先述したように、サイドメニューの原価率は、すしの原価率に比べて低く抑えられるので、良質なすしネタを仕入れて、すしの原価率がさらに高くなっても、比較的原価率が低いサイドメニューが売れれば、全体の原価率のバランスが取れるのです。

サイドメニューにかなり力を入れている回転ずしチェーン店は、値段の割には、すしネタが新鮮でおいしいといったようにコストパフォーマンスもよくなっているはずです」

Q.今後、サイドメニューにそばがない回転ずしチェーン店で、そばが新たにメニューに加わる可能性はあるのでしょうか。

成田さん「良質のすしを安価で提供する手段の一つとして生まれたサイドメニュー戦略ですが、回転ずしチェーン店のサイドメニューが進化したことにより、回転ずしチェーン店は『おいしいすしが食べられるファミリーレストラン』に変わりつつあります。この傾向は客にとても喜ばれていますので、しばらく続きそうです。そのため、客のニーズがあれば、今後、新たにサイドメニューにそばを加える回転ずしチェーン店も出てくると考えられます。

サイドメニューにそばがない回転ずしチェーン店が、一定のクオリティーを維持したそばを新たにメニューに加えるには、良質なそばの仕入れや調理設備の投資が必要です。以前までは、そばを新たにメニューに加えることはハードルが高かったのですが、現在は物流技術が格段に向上しており、昔ほどハードルは高くないでしょう」

(オトナンサー編集部)

成田良爾(なりた・りょうじ)

飲食店経営コンサルタント

ヴィガーコーポレーション代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級、他。飲食業界25年以上。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化させてきた実績を持つ。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れており、食文化普及の他、職業訓練校講師(フードビジネス科)や子育て女性就職支援事業講師なども歴任。現在も多くの飲食店経営者のサポートを手掛ける。飲食店専門のコンサルティング「オフィスヴィガー」HP(http://with-vigor.com/)。

コメント