人気のタイ料理「カオマンガイ」、見た目そっくりな「海南鶏飯」との違いは?
近年、日本でも人気のタイ料理「カオマンガイ」。ゆで鶏とそのスープで炊いたご飯を一緒に食べる料理ですが、見た目がそっくりなシンガポールの名物「海南鶏飯」との違いはあるのでしょうか。
アジアご飯として、日本でも人気のタイ料理「カオマンガイ」。最近はレシピサイトにもさまざまなレシピが上がり、家庭でも作る人が増えています。カオマンガイは、軟らかくゆでた鶏肉を、そのゆで汁で炊き込んだお米に添えた料理ですが、ネット上では、同様の作り方で知られるシンガポールの名物「海南鶏飯」を挙げ、「国が違うのに見た目はそっくり」「違いは何?」「もしかして同じ料理?」と疑問を持つ人もいるようです。
カオマンガイと海南鶏飯に何か違いはあるのでしょうか。料理研究家の長田絢さんに聞きました。
「鶏肉+ゆで汁で炊いたご飯」は共通
Q.そもそも、カオマンガイとはどんな料理でしょうか。
長田さん「カオマンガイとは、タイ米を鶏の脂で炒め、鶏のスープでニンニクやショウガと一緒に炊き込んだご飯の上に、軟らかいゆで鶏を乗せた料理です。香辛料やハーブを効かせた、甘辛いタレをつけて食べます。お米が鶏肉のうま味をしっかりと吸収し、タレと香り豊かなハーブがアクセントになって、東南アジアらしい味わいです。
薄く切ったキュウリやパクチー、また、汁物として鶏のスープが添えられることもあります。ちなみに『カオ』は米、『マン』は油、『ガイ』は鶏を意味する言葉です。タイ国内には、カオマンガイを提供する屋台や専門店が多くあり、ファストフード感覚で親しまれています」
Q.カオマンガイと海南鶏飯には、何か違いはあるのでしょうか。それとも、同じ料理なのでしょうか。
長田さん「カオマンガイと海南鶏飯はどちらも、『鶏肉+その鶏のゆで汁で炊いたご飯』の料理です。ただし、カオマンガイはみそダレをベースに、たっぷりの香辛料やハーブが入っていることが多く、濃厚でこってりとした味のタレの場合が多いです。一方、海南鶏飯はショウガダレ、チリソースダレ、しょうゆダレなど、複数のタレを好みで混ぜ合わせながら食べるスタイルが多いようです」
Q.東南アジアの国々で、このような「鶏飯」が定着しているのはなぜでしょうか。
長田さん「中国・海南島の文昌市(ぶんしょうし)で、地鶏を蒸した料理を農家が食べていたことが発祥といわれており、中国系移民によって、アジア全体に広がっていったとされています。現在では、東南アジア各国に、それぞれの国で独自に進化したチキンライスが根付いており、庶民の味として愛されています」
Q.その他のアジアの国でも、鶏飯のメニューはあるのでしょうか。
長田さん「マレーシアでは、鶏肉を焼いた状態で提供する『ナシアヤム』という鶏飯料理が知られています。ベトナムには『コムガー』と呼ばれる鶏飯料理があり、タレに『ヌクマム』という調味料を使ったり、お米にターメリックを入れて炊いたりします」
Q.ちなみに、日本の特徴的な鶏飯メニューとは。
長田さん「奄美大島(鹿児島県)の代表的な郷土料理の一つである『鶏飯』が有名です。茶わんに盛った白ご飯に、ほぐした鶏肉や錦糸卵、シイタケ、漬物などの具材と、ネギ、きざみのり、かんきつ類の皮といった薬味をのせ、丸鶏から取ったスープをかけて食べます。カオマンガイとは、鶏肉とお米という食材の組み合わせこそ共通するものの、見た目も味も大きく異なり、違った楽しみ方ができる料理です」
(オトナンサー編集部)
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