「トマトジュース」にはなぜ、食塩入りと食塩無添加がある?
食塩入りの「トマトジュース」と、食塩が入っていないトマトジュース、両方存在するのはなぜでしょうか。食品メーカーに聞きました。
健康維持のために「トマトジュース」をよく飲む人も多いかと思いますが、食塩入りの製品と、食塩を使わない製品の違いが気になることはないでしょうか。スーパーでは「食塩不使用」「食塩無添加」と表示された製品を多く見かけますが、「食塩入り」の製品もあります。トマトジュースに食塩を入れる理由や、食塩を使わないトマトジュースが製造されるようになった背景について、カゴメ(東京都中央区)広報グループの太田里彩さんに聞きました。
食塩でうま味、甘みを引き出す
Q.食塩入りのトマトジュースと、食塩無添加のトマトジュースは何が違うのでしょうか。
太田さん「当社の場合、原料のトマトが異なります。トマトジュースのおいしさや製法に強いこだわりを持っている会社として、食塩入りと食塩無添加とで、最終的な風味の仕上がりを考慮して、それぞれ原料となるトマトの品種を変えています。食塩入りはトマトのうま味や甘みを引き立たせた味わいを、食塩無添加はトマトそのものの味わいを楽しむことができます」
Q.トマトジュースはもともと、食塩入りの製品が主流だったのでしょうか。また、トマトジュースに食塩を入れる理由について、教えてください。
太田さん「当社は1933年から、トマトジュースを製造・販売していますが、当初は食塩入りの製品が主流でした。当時、日本ではまだ、トマトジュースが普及しておらず、現在のようにトマトの品種開発も進んでいなかったため、食塩を入れて、トマトのうま味や甘みを引き立たせ、トマト特有の青臭さを感じにくくして、おいしく、飲みやすい味に仕上げていました」
Q.では、食塩を使わないトマトジュースが製造されるようになったのは、いつごろからでしょうか。また、食塩を使わないトマトジュースが登場した背景について、教えてください。
太田さん「当社では1978年から、食塩無添加のトマトジュースを販売しています。当社は約7500種のトマトの種を保有しており、長年にわたって、トマトの品種改良やトマトジュースの製法について、研究を進めてきました。その過程で、トマトそのものの味わいを生かした食塩無添加のトマトジュースを開発、販売しました。
また、お客さまの中には、塩分の摂取を気にされる人もいらっしゃいます。そのような人たちにも、トマトジュースをおいしく飲んでいただきたいと考えたのも、食塩無添加のトマトジュースを開発した理由の一つです。ありがたいことに、当社のトマトジュースは現在も、多くのお客さまに愛飲いただいています」
Q.食塩を使わない製品が主流となる中、なぜ、食塩入りの製品の製造を続けているのでしょうか。
太田さん「確かに、現在は食塩無添加の製品の方が売り上げの構成比は大きいのですが、食塩入りの製品に慣れ親しんだお客さまもいて、そのおいしさにも根強い人気があります。そこで、お客さまの好みに合わせて選べるよう、食塩入りの製品と食塩無添加の製品の両方を販売しています。
また、以前は食塩入りの製品のパッケージに『食塩入り』と表示していましたが、健康志向の高まりを受けて、食塩の添加量を減らし、2018年からは『低塩』と表示して販売しています」
Q.トマトジュースには、どのような健康効果があるのでしょうか。また、毎日飲んだ方がよいのでしょうか。
太田さん「『カゴメトマトジュース』には『リコピン』とアミノ酸の一種である『GABA(ギャバ)』が含まれています。リコピンには善玉コレステロールを増やす機能が、GABAには高めの血圧を下げる機能があることがそれぞれ報告されており、血中コレステロールが気になる人や血圧が高めの人におすすめです。
食塩入りの製品、食塩無添加の製品ともに、1日コップ1杯(200ミリリットル)を目安に継続的に飲むことを推奨していますが、腎臓の働きが弱い人や食塩の取り過ぎに注意している人などは医師の指示に従って、飲んでいただければと思います」
(オトナンサー編集部)
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