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私たちが「24時間テレビ」に魅了される理由と“批判するだけ番長”の不思議

夏の風物詩「24時間テレビ」が放映され、平均世帯視聴率は関東地区12.0%を記録しました。番組に対する「批判」について、筆者が考察します。

日本テレビ(2021年2月、時事通信フォト)
日本テレビ(2021年2月、時事通信フォト)

 夏の風物詩「24時間テレビ」が放映されました。平均世帯視聴率は関東地区12.0%(速報値)を記録し、瞬間最高視聴率はTOKIO城島茂さんらの「募金リレー」でゴールする場面で23.4%でした。メインパーソナリティーを務めたKing & Prince平野紫耀さんが主演したスペシャルドラマ「生徒が人生をやり直せる学校」は15.3%という結果でした。

 今回は全体的におとなしいコンテンツが目立ち、「マンネリ化」などネガティブな論調も見られています。実際はどうだったのでしょうか。

抜群の募金力を誇る24時間テレビ

 24時間テレビの募金の使い方に異論を唱える人がいます。(公社)24時間テレビチャリティー委員会として、事業報告書/決算報告書/事業計画書について情報公開を行っています。批判をされる方はまず、公開されている情報を確認すべきです。

 24時間テレビについて、「参加者にギャラを支払うことはおかしい」と言われる方がいます。しかし、1回の放送で億単位の募金を集めて高い視聴率を取る24時間テレビの存在は貴重です。障害者支援という大義があるため、スポンサーもつきやすくなります。番組終了後には、賛否を含めて話題になるため、啓蒙や教育的効果も期待できます。

 米国の「レイバー・デイ・テレソン(Labor Day Telethon)」(1966~2014年)は「労働者の日」に合わせて開催されていたチャリティー番組です。米国筋ジストロフィー協会が活動を広く理解してもらうために、俳優のジェリー・ルイスさんが発起人総合司会として開催するようになりました。

 2011年、ジェリー・ルイスさんが高齢を理由に司会を退きましたが、2010年まで、「労働者の日」の前日夜から当日夜にかけて、著名人がギャラなしのボランティアとして出演し、コンサートやショーを開催しました。「レイバー・デイ・テレソン」が2014年までに集めた募金は日本円に換算して2000億円を超しています。

※The Jerry Lewis MDA Labor Day Telethon(MDA Telethon Final Tote Board Numbersの節)https://w.wiki/3wzc

 24時間テレビでは毎年、10~15億円相当の募金が集まります。累計では約400億円程度を集めています。集まった募金は災害復興や障害者支援に使われ、支援を必要とされる人に届いています。「レイバー・デイ・テレソン」はすでに活動を終えましたが、24時間テレビはいまだに活動を継続しています。

 英国に本部がある国際救護団体「Charities Aid Foundation」の「world giving index 2018」では、日本の寄付活動が先進国最低の128位にあることを明らかにしています。日本では、寄付をするという意識が大きく欠落しているのです。この点から鑑みれば、24時間テレビの社会的意義は大きいと考えることができます。

芸能人が参加する効果と意義について

 芸能人が参加する効果を考えてみましょう。芸能人にはファンや支援者が多いため、メディアへの影響力が強く、多額の募金が集まりやすいというメリットがあります。

 ところが、24時間テレビを見て、モヤモヤする人がいます。障害者の頑張りに「感動しました」「勇気をもらいました」と表現されることに違和感を覚えるのです。しかし、視聴者が何かを感じようが、それ自体に問題があるわけではありません。

 24時間テレビは「恣意的である」。だから、偽善的、あざといという声があります。これは「障害者に対する扱いがあまりに一面的」という意見です。

 しかし、番組の目的は障害者理解を深めることであり、啓蒙や教育的効果が期待できるなら否定する理由には当たらないと考えます。リアルな障害者像を伝えることも必要ですが、それだけでは番組は成立しません。事実、募金という成果を上げています。

 筆者が初めて、ボランティア活動に従事したのは小学生の頃でした。ユニセフ活動として全校に募金箱を設置し、活動を推進しました。中野区から表彰されたこともあります。あれから長い月日が経過しましたが、今でも障害者支援活動を継続しています。

 活動内容は健常者と障害者が共同生活を行いながら、ボランティアスピリッツを育むというものです。1980年(国際障害者年)にスタートし、全国50カ所で行い、参加者の累計も2万人を超えました。開催のたびに地元選出の国会議員や行政、社会福祉団体からの参加もあります。開催のたびに多くの新聞社やテレビ局が訪れ、ニュースになります。

 しかし、新型コロナ感染拡大の影響により、ここ2年は開催していません。密になる環境が避けられないことや、障害の程度によっては、ワクチン接種をしていたとしてもリスクがあるからです。障害者保健が充実していない等の問題もあります。

 日テレが24時間テレビの実施に踏み切ったことは賢明な判断といえるでしょう。障害者支援活動の一端を担う者として敬意を表します。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

筆者への連絡先
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