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TV番組スタッフの「2階が自宅のお店は安くてうまい」説は本当か、専門家に聞いた

「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」という番組のスタッフが唱えている「2階が自宅のお店は安くてうまい!」という説。本当かどうか、飲食店コンサルタントに聞きました。

2階が自宅のお店は安くてうまい?
2階が自宅のお店は安くてうまい?

 毎週火曜夜、日本テレビ系列で「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」という番組が放送されています。番組では個人経営の飲食店を対象に、デカ盛りなのに驚くような安価で料理を提供している店や、性格が個性的な店主がいる店、安価なのに料理がおいしい店などを紹介していますが、この番組スタッフが「2階が自宅のお店は安くてうまい!」という説を唱えて話題になりました。幾つもの飲食店を取材する中で気付いたそうです。

「2階が自宅のお店は安くてうまい」というのは、本当なのでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

Q.1階がお店で、2階以上が住居の個人経営の飲食店はそれ以外の形態の飲食店よりも、安価で料理を提供できるのでしょうか。

成田さん「安価で料理を提供できる可能性は高いでしょう。2階以上が住居になっている個人経営の飲食店の場合、ほとんどの店舗は店主が所有する物件だと思われます。店舗が賃貸物件の場合は毎月、家賃がかかりますが、この場合はかかりませんのでその分、料理や飲み物の価格を割安に設定することもできます」

Q.店によってそれぞれだとは思いますが、他の形態の店に比べ、どれくらい安く提供できるものなのでしょうか。

成田さん「個人経営の飲食店において、家賃の比率はその店舗の売り上げの8~10%が妥当といわれています。店主の裁量にもよりますが数字だけでいえば、同じ程度の割合、価格を安く提供できます」

Q.「2階が自宅のお店は安くてうまい」という説は本当だと思われますか。

成田さん「経営的な視点から見れば、『2階が自宅のお店は安くてうまい』という傾向はあると思います。先述したように家賃の負担がない分、料理や飲み物の価格を安くでき、また、よい材料を仕入れることも可能で、調理法と料理人の腕によっては、おいしい料理が出せるからです。

ただ、『うまい』と思うのは『奇をてらった盛り付けで客をびっくりさせて、喜ばせたい店主の思い』や『安価でも、おなかいっぱい食べてもらいたいおかみの思い』など、客の想像を超えるようなホスピタリティーも関係しているかもしれません。人はうれしい気持ちや高揚感で、料理をより一層おいしく感じる傾向があり、すごくおもてなしされたり、コストパフォーマンスが良かったりした場合、おいしく感じる傾向があるからです。

もっとも、調理法や料理人の腕次第でおいしさは変わるので、今述べた傾向がすべての店にあてはまるとは限りません」

Q.グルメサイトの評価や「2階が自宅のお店は安くてうまい」店を探すこと以外で、安くておいしい飲食店を見つける目安があれば教えてください。

成田さん「飲食店の経営は家賃や宣伝広告費、人件費など売り上げに対する販売管理コストを抑えられれば、料理の単価を安くしたり、特別なサービスをしたりしても利益が出ます。飲食店経営の専門家の間では、交通の便が悪く、家賃が安そうな物件の飲食店▽宣伝チラシなどを手作りしている飲食店▽スタッフがいつもテキパキ働いている飲食店――は比較的、販売管理コストが抑えられている傾向があり、『安くてうまい店が多い』と言われています」

(オトナンサー編集部)

成田良爾(なりた・りょうじ)

飲食店専門経営コンサルタント

ヴィガーコーポレーション代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級、他。飲食業界25年以上。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化させてきた実績を持つ。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れており、食文化普及の他、職業訓練校講師(フードビジネス科)や子育て女性就職支援事業講師なども歴任。現在も多くの飲食店経営者のサポートを手掛ける。飲食店専門のコンサルティング「オフィスヴィガー」HP(http://with-vigor.com/)。

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