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オファー絶えない今田美桜“福岡で一番かわいい女の子”から“令和の象徴女優”へ

朝ドラ「おかえりモネ」や映画「東京リベンジャーズ」で存在感を放つ今田美桜さん。女優としてのこれまでを振り返り、その魅力に筆者が迫ります。

今田美桜さん
今田美桜さん

 NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土 前8:00)が、8月6日に放送された第60話で折り返し地点を迎えました。同作は、宮城県気仙沼市出身のヒロイン・百音(清原果耶さん)がふるさとに貢献するため、気象予報士として成長していく姿を描いたストーリーです。

 今週(第14週)は、東京の気象情報会社で働く百音の上司・朝岡(西島秀俊さん)が気象キャスターを降板。後任として、今田美桜さん演じる朝の報道番組で中継コーナーを担当する、いわゆる“お天気お姉さん”の神野マリアンナ莉子が抜てきされます。次週以降は、常ににこやかな一方、実は野心に燃えた莉子の内面が深掘りされていくこととなるでしょう。

“福岡で一番かわいい女の子”のキャッチコピー

 今田さんは大ヒット中の映画「東京リベンジャーズ」でヒロイン役を務めるなど、近年、大活躍の若手女優。現在24歳で、高校2年生のときに地元・福岡市で市内のモデル事務所にスカウトされ芸能活動を始めました。

 観光向けのPR動画やポスターに出演したところ、それを見た現事務所にスカウトされ、活動場所を東京に。“福岡で一番かわいい女の子”というキャッチコピーで売り出され、グラビア活動と並行して本格的に女優業をスタートさせました。

 2017年7月放送のドラマ「僕たちがやりました」(関西テレビ・フジテレビ系)では読者モデルを務める今どきの女子高生、同年10月放送の「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」(フジテレビ系)では高橋一生さん演じる政治家が入れ揚げる風俗嬢を演じ、華やかな容姿と都会的なオーラで話題に。翌年、オーディションで抜てきされたドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(TBS系)の真矢愛莉役でブレークを果たします。

「花のち晴れ」は2000年代の大ヒットドラマ「花より男子」の続編として制作された同名漫画が原作です。今田さんが演じた愛莉は「ツインテールの小悪魔美女」というキャラクター。しかし、今田さんはビジュアルもさることながら、癖のある役どころに体当たりで挑み、その再現度の高さで注目を集めました。

 これをきっかけに「Yahoo!検索大賞2018」女優部門を受賞。今田さん自身も、愛莉は人生のターニングポイントになったとインタビューで答えています。

「自分を前面に出す、愛莉役を演じたことで、私自身も、少しずつ自分を外に出せるようになってきた気がするんです。役が、私自身まで変えてくれた“愛莉”は、そんな大切な存在です」(ダ・ヴィンチニュース)

令和を象徴する女優に

 キラキラと輝く宝石のような瞳と透明感あふれる色白の肌。今田さんはそこにいるだけで、パッと周囲を照らす存在感があり、近年では多数のCMに出演しています。

「洋服の青山」「第一生命」「コーセー」「ユニクロ」など、名だたる企業CMに抜てき。ニホンモニターが発表した「2020タレントCM起用者数ランキング」の女性部門では、広瀬すずさんと同率1位を獲得し“CM女王”に輝きました。

 特に印象的なのは、妻夫木聡さんや吉岡里帆さんらと5人きょうだいを演じている「ジャンボ宝くじ」のCM。今田さんはギャルの次女・ミオ役で冷静なツッコミを入れたり、きょうだいとはしゃいだりとユニークなやりとりを繰り広げています。

 このCM同様、ドラマや映画でも物語のスパイスとなるコミカルな役どころを演じることが増えている今田さん。映画「勇者ヨシヒコ」や「銀魂」シリーズを手掛ける“コメディーの奇才”福田雄一監督作品にも常連で、2020年公開の「ヲタクに恋は難しい」では、オタクキャラが集う中で唯一の一般的なリア充女子として登場しました。

 さらに、同年放送されたドラマ「親バカ青春白書」(日本テレビ系)で恋多き女子大生を演じ、永野芽郁さん演じるヒロインの恋をサポート。福田監督の作品ではありませんが、今年は「恋はDeepに」(日本テレビ系)で、主人公の頼れる相談相手として印象を残しています。

 今田さんはどの作品でも、メインキャラクターと相反する性格を持つ役柄を演じており、少し俯瞰(ふかん)した立場で印象に残るせりふを放つことが多いように思えます。「おかえりモネ」で演じている莉子も“誰かの役に立ちたい”という思いが強く、深く考えがちな百音とは対照的に、自分の目標に向かって真っすぐ突き進むキャラクター。第57話で百音に語りかけた「人の役に立ちたいとかって、結局自分のためなんじゃん?」というせりふは、ネット上でも大きな議論となりました。

 ただ、ともすれば、相手を傷つけてしまいそうな言葉をさっぱりと、そして、愛嬌(あいきょう)のある形で伝えられるのが今田さんの魅力。「NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おかえりモネ Part2」で本人は「正直さも莉子の魅力の一つなので、嫌みっぽくならないようサラッとケロッと言うように心掛けています」と注意した点を語っています。

 自分にも相手にもうそはつかない。伝え方に配慮して、正直な気持ちをぶつける。今田さんは令和を象徴するキャラクターとして、エンタメ界に欠かせない女優となっていくのかもしれません。

(ライター 苫とり子)

苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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