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後ろから散々あおって来た車が、目の前でクラッシュして土手へ落下…自分が助けるべき?

後ろからあおって来た車が目の前で単独事故を起こして土手に落下したので、警察などを呼んであげた、との投稿がSNS上で話題に。「その気持ちは大切にしたい」と称賛の声が上がっていますが、自分に助ける義務はあるのでしょうか。

事故を起こして土手に落下した車=Kさん(@kaepreza)提供

 後ろからあおって来た車が自分の車を抜いた後、そのまま単独事故を起こし土手に落下、自分は巻き込まれなかったものの、警察や救急車を呼んで疲れた――。こんな趣旨の投稿が先日、SNS上で話題となりました。これについて「この場合周りに救護義務あるのかな」「単独事故なら通報とか救護義務はないんだと思うのだけど、だからっつって運転席であ~う~死にかけてる姿を写真とか動画に撮って放っておいたら怒られるのかな」「この場合は単独事故の現場に通りかかった形になりますので救護義務は法的にはないですが、Kさんのような気持ちはドライバーとして大切にしたいですね」などの声が上がっています。

 こうしたケースで、事故の目撃者に何らかの法的義務は生じるのでしょうか。オトナンサー編集部では、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

事故関係車両かどうかの判断は難しい

Q.いわゆる「救護義務」とは何でしょうか。

刈谷さん「救護義務とはその名の通り、交通事故によって負傷した者がいた場合、救急車を呼んだり、その場で介抱したりするなどの適切な措置を講じることによって、負傷者を救護すべき義務のことをいいます。この救護義務は、道路交通法第72条第1項に定められています。交通事故を起こした車両の運転手や同乗者は『負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置』を取らなければならない、とされているのです。そして、自分の運転によって人にけがをさせたにもかかわらず、この義務を怠った場合、いわゆる『ひき逃げ』として、けがをさせたこととは別の罪として『10年以下の懲役または100万円以下の罰金』という厳罰で臨むこととされています。また、同乗者についても、この義務を怠った場合は『1年以下の懲役または10万円以下の罰金』が科されます」

Q.単独事故を目撃した、あるいはその近くを通過しただけであれば、救護義務はないのでしょうか。つまり、警察や救急車を呼ぶかどうかは道徳的問題と言えますか。

刈谷さん「道交法上、単なる目撃者に救護義務を負わせる規定は存在しません。救急車を呼んだり負傷者を介抱したりするかどうかは、目撃者の良心に委ねられているということでしょう。ただし、今回のケースのように追い越しをかけられていた車両であっても、接触していればもちろんのこと、接触していなくとも、場合によってはその交通事故に関係する車両と見られることがあり、その判断は簡単にできるものではないので要注意です。関係していると判断された場合、その運転者にも救護義務があることになるので、目の前で事故が発生した場合は、道義的な観点からも法律的な観点からも、すぐに警察に通報し、救急車を呼ぶなどの措置を取ることが無難だと言えます。なお、ドライバーが苦しんでいる写真や動画を撮影し、SNSなどにアップすると『肖像権侵害』として損害賠償に発展する恐れがあるほか、何よりも不謹慎なので控えることをお勧めします」

(オトナンサー編集部)

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刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。