飲食店店員「ごゆっくりどうぞ」→どれくらい店にいていいもの? 「早く出て」アピールも?
飲食店で店員から、「ごゆっくりどうぞ」とよく言われますが、注文した料理を食べ終えてから店にいられるのは、どれくらいが限度なのでしょうか。

飲食店で注文した料理が運ばれてきた後、店員がよく使う言葉の一つに「ごゆっくりどうぞ」があります。しかし、その言葉に甘えて、注文した料理を食べ終えた後、一緒に食事した相手と長時間談笑したり、スマホをいじったりしていると「お下げしてもいいですか」と店員が食器を下げに来て、その後、水を何度もつぎ足しに来ることがあります。
まるで、「早く出て行ってほしい」と無言でアピールされているようにも感じますが、飲食店の店員から、「ごゆっくりどうぞ」と言われ、食べ終えてから店にいられるのはどれくらいが限度なのでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。
「食器を下げる=早く帰れ」ではない
Q.飲食店の店員が「ごゆっくりどうぞ」と言う意図は何ですか。
成田さん「一般に認識される言葉の意味通りで、飲食業界独自の特別な意味があるわけではありません。客に対して『どうぞ、ごゆっくり食事してください』『どうぞ、ごゆっくり楽しんでください』という思いを伝えることを意図しています。つまり、もてなしの気持ちやホスピタリティーから発しています」
Q.食べ終えた後、長時間談笑したり、スマホをいじったりしていると、店員が「お下げしましょうか」と言い、食器を下げてくれることがあります。これは「早く帰ってほしい」という飲食店側の意思表示なのでしょうか。
成田さん「飲食店側が『食べ終えたなら、早く帰ってほしい』ことを間接的に伝えるための意思表示だと思われがちですが、実は違います。早く帰ってほしいわけではなく、サービスの一環なのです。食べ終わった後の食器は汚れているので、目の前をきれいにして、客に心地よく過ごしてもらうためです。
本来、飲食店のサービスは料理を出す順番やタイミングを計り、食事のペースに合わせて料理の間隔を考え、空いた皿を下げて目の前をきれいにし、飲み物にも常に気を配るというように、客が心地よく過ごせるように気を配る仕事です。心地よく感じるタイミングや下げ方は客それぞれ異なるので、飲食店の店員は空気を読む力も必要ですね」
Q.食べ終えて、長時間談笑したり、スマホをいじったりしていると「お冷やはいかがですか」とまだコップに半分近く残っているのに、水をつぎにくる店員もいます。こちらは「早く帰ってほしい」という飲食店側の意思表示ではないのでしょうか。
成田さん「これも『お下げしましょうか』と同じく、早く帰ってほしいわけではありません。飲食店のサービスは注文された料理を提供して終わりではありません。客が店に滞在している間、『何か用はないか』『店内が暑くないか、寒くないか』など、客に気持ちよく帰ってもらうために、常に気を配っています。水をつぎ足しに客の近くに行くことで、『何か要望はないか』と様子を観察したり、声掛けしたりしているのです」
Q.では、店員に「ごゆっくりどうぞ」と言われ、食べ終えてから、店にいられるのはどれくらいが限度なのでしょうか。
成田さん「人気の飲食店などでは多くの客に利用してもらうことを理由に、あらかじめ滞在時間を決めて、客に守るようにお願いしている所もあります。しかし、基本的に店側から滞在時間の案内がなければ、『食べ終えてから、どれくらいまでに店を出ないといけない』といった決まりはありません。
気になる場合は、店員に『○時くらいまでいても大丈夫ですか?』と聞いてみるのもありです。仮に、滞在時間の案内をしてないにもかかわらず、長居した客に嫌な顔をする店員がいたとしたら、その店員は、もてなしの気持ちやホスピタリティーが不足していると思います。
ただ、昼食時など入店待ちの客が並んでいるときは、食べ終えて新たな注文がなければ、長居せずに店を出ないといけません。そうしたことは、いちいち飲食店が指示することではなく、客個人のマナーの問題ではないでしょうか」
Q.混雑する時間以外であれば、食べ終えた後も気の済むまで、店に滞在するのは間違いではないということですか。
成田さん「空席があり、入店待ちの客がいない場合は間違いではありません。飲食店側も、客に長居をしてもらえば、それだけ追加の注文を得られる可能性がアップします。長居をしていて徐々に客が増え、満席になったり、入店待ちの客が並び始めたりした場合は、こちらから店員に『席を空けた方がよいですか?』などと声掛けしてあげるとよいですね。店員と客の2者で相手の気持ちを思いやることで、お互いに気持ちよくいられるのではないでしょうか」
(オトナンサー編集部)
そんなん社交辞令と同じ決まり文句なんだから、どれくらい?とか思う考えるのが気持ち悪い