オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

吐き気や頭痛も…飲み物の「がぶ飲み」に潜むリスクとは? 摂取量の目安は?

水分補給のために水や飲み物を「がぶ飲み」してしまうと、吐き気や頭痛を起こしたり、意識がもうろうとしたりすることがあるようです。なぜでしょうか。

「がぶ飲み」は危険?
「がぶ飲み」は危険?

 厳しい暑さが続き、熱中症リスクが高まる中、必須なのが水分補給です。汗を大量にかくとつい、水や飲み物を「がぶ飲み」してしまう人もいると思いますが、水分だけを一気にたくさん取ることで吐き気や頭痛を起こしたり、意識がもうろうとしたりするなど、逆に体調が悪化するケースもあるようです。

 ネット上では「いつも、よかれと思って一気飲みしていた」「水ばかり大量に飲み過ぎて、気持ち悪くなったことがある」「どうやって水分補給すればよい?」など、さまざまな声が上がっています。暑い時期にやりがちな「がぶ飲み」に潜むリスクについて、内科医の市原由美江さんに聞きました。

大量摂取には危険性も

Q.まず、熱中症について教えてください。

市原さん「熱中症は暑い環境下で体の中に熱がこもり、さらに脱水によって、汗による熱の放散が十分できないために起こるものです。症状は軽度から重度までさまざまで、軽症であれば、目まいや立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛、こむら返りなどが起き、中等症の場合は頭痛、吐き気、倦怠(けんたい)感などの症状もみられます。重症になると、意識障害やけいれん、40度以上の発熱などの症状があります」

Q.水分を一気に大量に摂取する、いわゆる「がぶ飲み」に体調悪化のリスクがあるというのは事実でしょうか。

市原さん「事実です。水分を大量に摂取すると『水中毒』という状態になることがあります。通常、水分を摂取すると余分な水分は腎臓で処理され、尿として排出されます。しかし、腎臓の能力以上に水分摂取をした場合、血液が希釈され、血液中のナトリウム濃度が低下する『低ナトリウム血症』の状態になります。低ナトリウム血症の症状としては、頭痛や吐き気、嘔吐(おうと)、倦怠感ですが、進行すると意識障害にもつながります。水中毒は特に精神疾患のある人に起こりやすいです」

Q.一度に(一気に)摂取すると危険な水分量の目安はありますか。

市原さん「大量の汗をかいたときでなければ、1日当たり1〜1.5リットルの水分摂取が適切とされています。夏場は特に、500ミリリットルのペットボトル飲料を一気に飲みたくなるかもしれませんが、一度に摂取するのではなく、小まめに摂取すると水中毒を防げます。できれば、午前中に計500ミリリットル、午後に計500ミリリットルというように分けて摂取しましょう。その500ミリリットルも何回かに分けて飲むことが大切です」

Q.水分量の目安は飲み物の種類によって異なるのでしょうか。

市原さん「水分の種類による大きな違いはありません。ただし、糖尿病の症状による口の喝きで水分を取る場合、スポーツドリンクなどの糖質が多い飲料を大量に摂取すると血糖値がさらに上昇し、さらに喝きが悪化して、水分を大量に摂取することになるので危険です」

Q.がぶ飲みについて、特に注意した方がよいのはどんな人ですか。

市原さん「先述のように精神疾患のある人は注意が必要です。精神疾患自体による不安や幻覚、妄想などからの多飲、精神疾患用の薬の副作用による口の喝きのための多飲があります。また、精神的なストレスによって多飲が引き起こされる『心因性多飲症』のケースもあります」

Q.がぶ飲みによって体調に異変が生じたとき、どうするのがよいですか。

市原さん「軽度の低ナトリウム血症による症状であれば、水分摂取を制限すると改善しますが自己判断は難しいです。内科を受診しましょう」

Q.医学的観点から推奨する、正しい水分補給の方法とは。

市原さん「繰り返しになりますが、1日当たり1〜1.5リットルの水分をなるべく小まめに、例えば、30分に1回は水分摂取するように意識するとよいでしょう。必ず摂取した方がよいタイミングとしては朝起きたとき、食事のとき、運動や入浴の前後、そして、寝る前です。お茶や水など、糖質が含まれていないもので水分補給をすることが基本ですが、大量に汗をかく場合などはスポーツドリンク、脱水気味のときは経口補水液にするなど調整も必要です」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

コメント