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都内飲食店で貸し切り客130人のドタキャン発生「信じられない事が起こった…」、法的問題は?

都内のとある飲食店で、130人による「ドタキャン」が発生、SNS上で話題となりました。お店に経緯を聞くとともに、ドタキャンを巡る法的問題について弁護士に取材しました。

貸し切りに備えて作っておいたという「炊き込みご飯」(同店提供)

 東京・下北沢にある飲食店で10月、貸し切り客130人による「ドタキャン事件」が発生、SNS上で大きな話題となりました。お店の公式ツイッターは当日、ドタキャンがなされる直前に「本日20:00頃マデ貸切となります」「雨でもいつでもお待ちしてます」と告知、その後「今、まさに信じられない事が起こったのですが、貸切のお客様がドタキャンとなりまして…(中略)130名って…という事でお席空いてます…まだ立ち直れてないですが…」とつぶやくと、「ざっと50万くらいの損害ですか」「許さない」「幹事が130人の参加者に連絡するのも大変なので、これは最初からイタズラだったのでは?」などの声が上がりました。

損害額は数十万円規模とみられる

 オトナンサー編集部が同店に取材したところ、ドタキャンをしたのは大学生の団体で、他大学と合同で大会の打ち上げをするはずだったといいます。約1カ月前に電話で予約が入りましたが、当日の予約時間になっても現れなかったため、電話すると「キャンセル」との返事が。その後、ダブルブッキングで同店をキャンセルし忘れていたことが判明したそうです。5種類の料理からなる、1人2780円のコースを仕込み済みで、損害額は数十万円規模と見られますが、「今後もお付き合いしたい、お店を使ってほしい」(同店関係者)ということで落着し、その後、実際に利用もあったといいます。ドタキャン当日、投稿を見たとおぼしき20~30人が来店、残った料理を注文する、心ある人もいたそうです。

 同店は、ドタキャンに対する法的措置について取材に対し「電話番号しか知らない相手なのでドタキャンされても実際には困難」としていますが、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士によると、「お店の予約」には原則として法的拘束力があります。

「お店を予約する行為は、客がお店の席を予約してお店がそれに応じれば、席を予約する契約が成立し、法的拘束力が生じます。お店を予約する際、料理を注文していれば、料理を提供してもらう契約も成立します。客が自身の都合でそれらの予約をキャンセルすれば、契約の一方的な解約になるため、それによって発生した損害をお店に対して賠償する責任が生じます。お店が、料理の注文に対して材料の注文や仕込みをすでに行っており、ほかの客への振り替えなどができない場合は『直接損害』として、お店側は客にその賠償を請求できます。席を予約しただけの場合には、料理の注文こそしていませんが、席が埋まったことでほかの客の予約や入店が不可能になったのであれば、期待売り上げや利益を失ったとして『間接損害』や『逸失利益』の賠償を請求できます。ただし実際には、具体的に発生した損害額の証明が難しく、お店側も客が常連であることや、次回の予約を取り付けることで、これら損害賠償の請求を控えていることが多いと思われます。とは言え、一見さんが多い有名店では、当日のキャンセルとして1人5000円(+消費税)を申し受けているお店もあるようです(実際に請求しているかは不明)。こうしておけば、損害賠償の予定(違約金)として、損害の証明がなくても賠償を請求することができます。そもそもドタキャンする人が大幅に減るでしょう」(牧野さん)

 ただし、電話をかけてきた人が未成年の場合、判断能力が未熟であることから契約取り消しが可能。また、お店側が損害賠償を請求するためには、電話をかけてきた人を特定し、かつ具体的に発生した損害を証明する必要があるそうです。

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。